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別れ
しおりを挟む24歳で結婚してから、約2年の短い結婚生活だった。
きっかけは、ごく些細な口喧嘩。
でもお互いの生き方に関わることだったからどちらも譲るわけにはいかなかった。
これは長引くな、と直感した私は実家へ帰った。
それから2ヶ月。彼からの連絡はないまま時間だけが経った。
迎えに来てくれることを期待していたわけではない。
プライドの高い人だから。
そして離婚。
養育すべき子供も、さしたる共有財産もなかった私達のお別れは、罵り合うことさえないまま終わりを告げた。
実家へ戻ってから3ヶ月が経過した頃、ふたりで区役所へ離婚届を提出しに行った。
ふたりで行くのは珍しいのだろうか?
自分の人生の節目だからこそ、自分で決着をつけたかった。
「じゃあね」と言って区役所を後にする彼の姿を後ろから見送った私。
未練があったわけじゃない。
彼が振り向くか確認したかったのだ。
プライドの高い男に求めるのは無理な相談だったが。
「こんなものか...」
子供を作っていたら。
戻れる実家がなかったら。
たらればを並べて後悔に時間を費やす女にはなりたくなかった。
でも。
でも。
嫌いで別れたわけじゃなかった。
ふたりが愛を育んだマンションを彼は今日引き払う。
私は夜になってから、便宜上聞いていた彼の新居を訪れた。
突然の来訪に驚く彼。
引っ越しの荷物がそこら中に散乱している。
そんな中で、ろくに会話もしないまま私は無言で服を脱ぎ始める。
「...」
彼はじっと見つめていたが、私が下着姿になったところで抱きしめ、無言のまま唇を交わすと、私を押し倒した。
服を着た私はそのまま、何も言わずに彼の新居を出た。
やり直したかったわけじゃない。
自分自身を納得させたかったわけでもない。
あんなことの出来る女と思ってもらって構わない。
ほんの少しでも罪悪感を持ってくれるなら。
ほんの少しでも葛藤してくれるなら。
あなたの中で私は生き続けることができる。
さようなら、私が愛したプライドの高いあなた。
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