余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~

流雲青人

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2章

パーティーへの招待状

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 日は沈み、夜が来た。
 アンジェは王城から帰宅し、邸宅で夕食を食べ終えてリビングでリアとリディスの三人で楽しく世間話に花を咲かせていた。

 リアが慣れない仕事で大変だが、充実した生活だと楽しそうに語っていると


 「お話中、申し訳ありません。少しお時間よろしいですか?」


 ルーンがテヲと共にやって来た。

 夕食はルーンも共にとっていた。
 けれど、食事後直ぐに仕事があると書斎に篭ってしまっていた。


 「旦那様。どうかなさいましたか?」


 「実はアンジェとリアさん宛にルツ殿下からパーティーへの招待状を預かっていまして…」


 ルーンは手に持っていた招待状に視線を向けると、表情を曇らせる。
 そしてリアもまた表情を曇らせた。
 明らかに『ルツ』の名前を聞いて。


 「……副団長。私をパーティーの警備に付かせてくれなかったのはやはりルツ殿下と何か関係があるんですか?」


 いつも優しい笑顔を浮かべるリアの表情から笑顔が完全に消え去っている。
 そして明らかに声のトーンも下がっている。

 そんなリアの様子にアンジェは戸惑う。
 何せ、今目の前にいるリアがアンジェの知るリアとはまるで別人だからだ。


 「……詳細はこの招待状に記載されているそうです。警備に関しては不満な点があると思いますが、今回ばかりは受け入れて下さい」


 ルーンはそう言うと、招待状をアンジェとリアへと差し出した。
 二人はそれを受け取り、早速封を切った。

 アンジェにはカードが一枚。
 そしてリアには……


 「カードと…手紙?」


 封筒にはカードと手紙が添えられていた。
 リアは渋々とその手紙に目を通す。
 そしてあからさまに顔を曇らせた。


 「…………これは、喜ぶべきなのでしょうか?」


 そう言ってリアは手紙をアンジェ達へと見せる。

 手紙に記されていた内容。
 それは、パーティー時にリアを護衛として傍に置きたい、という事。
 そしてドレスを身につけての出席……と言うことが記されていた。


 本来なら護衛として傍に置く場合、パーティー等の社交の場では魔導師団の人間ならば魔導師団の制服を着ての出席が決まっている。
 だからリアは困り果てていた。
 自分の実力を買って護衛に選んでくれたのか…。
 それとも、ルツの私情で護衛に選ばれたのか…。


 「まぁ…どんな理由でもお仕事ですから精一杯務めさて頂きますけど…」


 「お姉ちゃん、大丈夫? 無理してない?」


 「心配してくれてありがとう、アンジェ。私は大丈夫よ。ルツ殿下のことはハッキリ言って大嫌いだけど、仕事は仕事って割り切って頑張るわ」


 そう言ってリアは笑った。
 しかし、その笑顔は全く笑ってなどいない。

 実力を認められ、護衛として置かれたのなら光栄な事であろう。
 しかし、リアの中のルツの印象は最悪である。
 なにせ、リアの愛しくて堪らない存在であるアンジェを侮辱した相手なのだから。


 「あの、旦那様は出席なさるのですか?」


 「私はパーティー会場の警備員として出席します」


 「そうなんですね」


 ルーンの言葉にアンジェはしょんぼりと落ち込む。
 これまでグレジス夫人として幾つものパーティーへ出席してきた。
 けれどいつも隣にはルーンが居た。
 

 (ふ、不安だ……)


 あまりパーティーに良い思い出が無いアンジェは、一気に不安へと駆られた。


 (フローラ様……パーティー、どうするんだろう)


 けれど、不安よりもフローラの事で気づけば頭はいっぱいになっていた。

 今日、仕事終わりにフローラの元へ寄ったがフローラは留守で渋々家へ帰宅したアンジェは、無性にフローラの事が気になり始めた。


 「先に今日は失礼します。明日も早いので」


 アンジェはそう言い残すと、急いで部屋へと戻った。
 そしてベッドにクッションを詰め込み、膨らみを作るとヨシっと拳を握りしめる。

 それからフローラに貰ったネックレスを手にフローラの部屋を頭に思い浮かべた。


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