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母子を救う4
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「お婆さん洗面器を用意してもらえますか?」
紫音はお婆さんにそう言って、また母親のお腹に手をあて癌細胞と胃の細胞の境目の細胞を分解し、胃から癌細胞を切り離した。
そして穴の空いた胃の部分の細胞を修復して穴を埋めていった。
そうやって全部の癌細胞を胃から切り離し、胃を修復した後で
「吐き気がしますから洗面器に吐き出してくださいね」
と言って胃を収縮させて癌細胞を喉元まで持ち上げていった。
母親は、うぇっ・・とえづきながら喉元に競り上がって来た物を洗面器の中に吐き出した。
洗面器の中の癌細胞の塊を見ながら紫音が言った。
「これが貴女を苦しめてきた腫瘍です。他の場所にも出来ていないか見ておきますね」
紫音は、傷付き異常になっているDNAがないか全身を調べていった。
「他の場所には腫瘍はありませんね。これでもう貴女の病気は治りましたよ」
母親は、紫音にそう言われてもにわかには信じられない様子で唖然としていた。
この何ヶ月間も自分を苦しめ、医者にも見離された病気がこれ程いとも簡単に治るものなのだろうか?
それもまだ幼くも見えるこの少女が、ただ自分の体に暫くの間手を当てていただけなのである。
しかし目の前にある自分が吐き出した黒い肉片を見ながら、今まで胃の辺りにあった不快感と痛みが全くなくなっているのと、体全体の爽快感とを実感するにつれ、病気が治ったと確信するようになっていった。
これでもう病気に苦しめられずに働くことが出来る。
そう思い目の前に希望が広がった瞬間に母親の目からは涙が溢れていた。
「ありがとうございます・・・ありがとう・・ござい
ます・・・」
母親は紫音に手を合わせ拝むように上体を伏せて、涙を流したまま動かなかった。
「さぁ今度はあの子の目を治しましょうか」
「え・・・」
「あ・あの子の目も・・な・治るんですか?」
「えぇ・・最初会った時に調べておきましたから」
「お・お願いします。どうか・・どうか治してやってください」
「安心してください。まだ寝てるでしょうけど、寝たままでも出来ますから」
紫音は母親とシュリ婆の三人で女の子の寝ている部屋に入り女の子の枕元に座ると、目に手を当てた。
女の子の目は水晶体が白く濁っており、それが目の見えない原因だった。
紫音は水晶体の濁った蛋白質を水に分解して目の外に出した。
女の子の目から白濁した涙が溢れて出てきた。
そして正常な蛋白質を水晶体に作り出していった。
両目の治療を終えてから、眼球と視神経に異常がないのを調べ終えると、紫音は母親に向き直って言った。
「娘さんの目は治りましたよ。起きるまでお母さんが付いてやってくださいね」
「本当ですか?この子の目は本当に見えるようになったんですか?」
「はい。この子の目が覚めればわかりますよ」
紫音はお婆さんにそう言って、また母親のお腹に手をあて癌細胞と胃の細胞の境目の細胞を分解し、胃から癌細胞を切り離した。
そして穴の空いた胃の部分の細胞を修復して穴を埋めていった。
そうやって全部の癌細胞を胃から切り離し、胃を修復した後で
「吐き気がしますから洗面器に吐き出してくださいね」
と言って胃を収縮させて癌細胞を喉元まで持ち上げていった。
母親は、うぇっ・・とえづきながら喉元に競り上がって来た物を洗面器の中に吐き出した。
洗面器の中の癌細胞の塊を見ながら紫音が言った。
「これが貴女を苦しめてきた腫瘍です。他の場所にも出来ていないか見ておきますね」
紫音は、傷付き異常になっているDNAがないか全身を調べていった。
「他の場所には腫瘍はありませんね。これでもう貴女の病気は治りましたよ」
母親は、紫音にそう言われてもにわかには信じられない様子で唖然としていた。
この何ヶ月間も自分を苦しめ、医者にも見離された病気がこれ程いとも簡単に治るものなのだろうか?
それもまだ幼くも見えるこの少女が、ただ自分の体に暫くの間手を当てていただけなのである。
しかし目の前にある自分が吐き出した黒い肉片を見ながら、今まで胃の辺りにあった不快感と痛みが全くなくなっているのと、体全体の爽快感とを実感するにつれ、病気が治ったと確信するようになっていった。
これでもう病気に苦しめられずに働くことが出来る。
そう思い目の前に希望が広がった瞬間に母親の目からは涙が溢れていた。
「ありがとうございます・・・ありがとう・・ござい
ます・・・」
母親は紫音に手を合わせ拝むように上体を伏せて、涙を流したまま動かなかった。
「さぁ今度はあの子の目を治しましょうか」
「え・・・」
「あ・あの子の目も・・な・治るんですか?」
「えぇ・・最初会った時に調べておきましたから」
「お・お願いします。どうか・・どうか治してやってください」
「安心してください。まだ寝てるでしょうけど、寝たままでも出来ますから」
紫音は母親とシュリ婆の三人で女の子の寝ている部屋に入り女の子の枕元に座ると、目に手を当てた。
女の子の目は水晶体が白く濁っており、それが目の見えない原因だった。
紫音は水晶体の濁った蛋白質を水に分解して目の外に出した。
女の子の目から白濁した涙が溢れて出てきた。
そして正常な蛋白質を水晶体に作り出していった。
両目の治療を終えてから、眼球と視神経に異常がないのを調べ終えると、紫音は母親に向き直って言った。
「娘さんの目は治りましたよ。起きるまでお母さんが付いてやってくださいね」
「本当ですか?この子の目は本当に見えるようになったんですか?」
「はい。この子の目が覚めればわかりますよ」
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