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新生活
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身の回りの物を持ってエリカの家を出た紫音とシュリ婆は、城のそばに用意された建物に入って驚いた。
家具調土品から、日常に使う小物や化粧道具、更には二人の衣装に至るまで、必要なものが思い付かないくらいに全て揃えてあったからである。
「これは……すごいのぉ。ここまで気のつくお方だとは思わなんだ」
「国も上手く納めてらっしゃいますからね。苦労人な方なんだと思いますわ」
二人が用意されたものを見ながら話し合っているところへゼルダ王子がやって来た。
「お邪魔して構いませぬか」
「あら、ゼルダ様。どうぞお入りになって」
紫音は嬉しそうにゼルダを王子迎え入れると、ゼルダ王子は失礼しますと言って入ってきた。
「どうですか?一応思い付くものは全て用意しておきましたが」
「え?それじゃ、ここにある物を見立てて下さったのは王子様ですか?」
「えぇまぁ……女の方の服やらは私にはわかりませんので、レイカに選ばせました」
ゼルダはそう言うと照れ臭そうに笑った
「ほぉ…そうじゃったか」
「何か足りないものはございませんか?」
「いやいや、充分じゃ。今も二人でようもこれだけ気が付いて揃えてくれたものじゃと感心しておったところじゃ」
「父もできる限り揃えよと言っていましたので。お気に召していただければ宜しいのですが」
「気に入るも何も……文句の付けようがないくらいじゃ」
「そう言って頂けると苦労した甲斐があります。さて……昼食を用意させておりますが、運ばせてよろしいでしょうか?」
「あら、もうそんな時間ですわね」
「そう言えばお腹がすいたのぉ」
「じゃ王子様、お願いしてよろしいかしら」
「分かりました、いま運ばせます。それと……」
ゼルダ王子は少し言いにくそうに間をおいてから口を開いた。
「私も同席させていただいて宜しいでしょうか?これからの打ち合わせもありますので…」
「えぇ、どうぞどうぞ。食事は大勢で食べる方が美味しいですから」
「ありがとうございます。じゃ早速運ばせましょう」
そう言ってゼルダ王子は出ていき、又すぐに戻ってきた。
「実は私が、紫音殿のお世話というか、父との引き継ぎ役をさせて頂く事になりました」
「え?王子様自らですか?」
「ええ。私でしたら父にすぐ伝えられますから。それに私だけで決められる事もありますので」
「ありがとうございます。王子様に余計な仕事を増やしてしまいましたわね」
「いえ、とんでもない。これは私が買って出た事でもありますので」
ゼルダ王子はそう言って紫音を見つめた。
紫音はゼルダ王子の見つめる目を受け止めていたが、ふと視線を外すとうつ向いた。
そこへ食事が運ばれてきた。
次々と運ばれてくる食事を見て二人は感嘆の声をあげた。
「これは豪勢じゃのぉ」
「わぁ、すごい。ご馳走ですわね」
紫音ははしゃいでいたが、わざと明るく務めているようでもあった。
ゼルダ王子はそんな紫音をしばらく見つめていたが
「さぁ、さめない内に食べましょう」
と言って二人を促して食卓についた。
家具調土品から、日常に使う小物や化粧道具、更には二人の衣装に至るまで、必要なものが思い付かないくらいに全て揃えてあったからである。
「これは……すごいのぉ。ここまで気のつくお方だとは思わなんだ」
「国も上手く納めてらっしゃいますからね。苦労人な方なんだと思いますわ」
二人が用意されたものを見ながら話し合っているところへゼルダ王子がやって来た。
「お邪魔して構いませぬか」
「あら、ゼルダ様。どうぞお入りになって」
紫音は嬉しそうにゼルダを王子迎え入れると、ゼルダ王子は失礼しますと言って入ってきた。
「どうですか?一応思い付くものは全て用意しておきましたが」
「え?それじゃ、ここにある物を見立てて下さったのは王子様ですか?」
「えぇまぁ……女の方の服やらは私にはわかりませんので、レイカに選ばせました」
ゼルダはそう言うと照れ臭そうに笑った
「ほぉ…そうじゃったか」
「何か足りないものはございませんか?」
「いやいや、充分じゃ。今も二人でようもこれだけ気が付いて揃えてくれたものじゃと感心しておったところじゃ」
「父もできる限り揃えよと言っていましたので。お気に召していただければ宜しいのですが」
「気に入るも何も……文句の付けようがないくらいじゃ」
「そう言って頂けると苦労した甲斐があります。さて……昼食を用意させておりますが、運ばせてよろしいでしょうか?」
「あら、もうそんな時間ですわね」
「そう言えばお腹がすいたのぉ」
「じゃ王子様、お願いしてよろしいかしら」
「分かりました、いま運ばせます。それと……」
ゼルダ王子は少し言いにくそうに間をおいてから口を開いた。
「私も同席させていただいて宜しいでしょうか?これからの打ち合わせもありますので…」
「えぇ、どうぞどうぞ。食事は大勢で食べる方が美味しいですから」
「ありがとうございます。じゃ早速運ばせましょう」
そう言ってゼルダ王子は出ていき、又すぐに戻ってきた。
「実は私が、紫音殿のお世話というか、父との引き継ぎ役をさせて頂く事になりました」
「え?王子様自らですか?」
「ええ。私でしたら父にすぐ伝えられますから。それに私だけで決められる事もありますので」
「ありがとうございます。王子様に余計な仕事を増やしてしまいましたわね」
「いえ、とんでもない。これは私が買って出た事でもありますので」
ゼルダ王子はそう言って紫音を見つめた。
紫音はゼルダ王子の見つめる目を受け止めていたが、ふと視線を外すとうつ向いた。
そこへ食事が運ばれてきた。
次々と運ばれてくる食事を見て二人は感嘆の声をあげた。
「これは豪勢じゃのぉ」
「わぁ、すごい。ご馳走ですわね」
紫音ははしゃいでいたが、わざと明るく務めているようでもあった。
ゼルダ王子はそんな紫音をしばらく見つめていたが
「さぁ、さめない内に食べましょう」
と言って二人を促して食卓についた。
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