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プロポーズ
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タノールの城に腹心の部下を残し、ハシバ国王達三人はザイールの城に戻ってきた。
モハドや部下達の出迎えを受けながら、城の広間に落ち着くとモハドが話しかけてきた。
「国王様、タノールはどうでしたか?」
「うむ、デオポルトという奴に、手厚い歓迎を受けた
わ」
「やはり、奴が・・・油断のならない者でしたから、もしやとは思っていましたが」
「しかし、一人の犠牲も出さずに降伏してくれた。すべては紫音様のおかげじゃ」
ハシバ国王は、その時の様子をモハドに語った。
「そうですか・・・すごい方だ」
そう言ってモハドは紫音を見た。
その時ゼルダが口を開いた。
「父上。紫音殿も疲れておられる事ゆえ、そろそろ下がってよろしいでしょうか?」
「おお、ゆっくり休んでくれ。紫音様、お疲れ様でした。おかげで助かりました。」
「お力になれれば、私も嬉しゅうございます。それでは失礼いたします。」
紫音とゼルダは、共にハシバ国王の元を辞して広間を出た。
「紫音殿、少し話しませんか?」
「いいですわね。」
二人は庭に出てベンチに座った。
何か飲み物を取ってきましょうと言って、ゼルダが城に入っていき、カップを二つ持って戻ってきた。
カップを受け取った紫音は、口をつけて一口飲んだ。
「おいしい」
「そうですか、良かった・・・紫音殿、お疲れ様でした」
「ゼルダ様もお疲れ様でした。大変ではなかったですか?私と同じように行動するのは疲れると思いますが。」
「いいえ、身体だけは丈夫にできていますから」
笑いながら言うゼルダに紫音は微笑んだ。
「実はその・・・」
「紫音殿にお願いと言うか・・・」
「何でしょう?」
「わたくしの・・・妻になっていただけますまいか」
晴天の霹靂へきれきであった。
紫音は危うくカップを落としそうになった。
「つまり、その・・・わたしと結婚してください」
紫音はゼルダを見た。
ゼルダは真剣な目で紫音を見つめていた。
紫音は視線を外した。
「ゼルダ様・・・嬉しく思います。でも、私は普通の者ではありません」
「それは良くわかっています」
「私の持っている力の事だけではなく・・・」
紫音は言葉を区切った。
しばらく沈黙が流れた。
「私には死というものがありません。その代わりに役目を終えたら消えていくのです。そして又、何処かに現れるのです。それは私の意志とは無関係にです」
ゼルダはじっと聞き入っていた。
「あなたの事は嫌いではありません。出来ればそばに
いて力になりたいと思っています。でも・・・」
「紫音殿、私も悩みました。あなたが消えていくこと
もシュリ婆から聞いて知っています」
紫音はゼルダの言葉に聞き入った。
「しかし、私は一日でもいい。あなたを妻と呼びたい
のです。あなたに・・・夫と呼ばれたいのです。」
「私は、先の事を気にしてあなたを諦めたとしたら、
一生後悔すると思いました。そしてあなたと夫婦になれば、例えあなたがいなくなっても、その思い出を胸に生きていけるとも思いました」
「たとえ一日だけの夫婦であろうとも、私は後悔しま
せん。どうか私の妻になってください。」
紫音はゼルダを見つめた。
「考えさせてください・・・というのは、だめですね」
「あなたが消えていかないという保障があれば待ちますが」
「そうですわね」
紫音はゼルダから目を逸らし、しばらく沈黙したあとまたゼルダを見つめた。
「お受けします。あなたの妻にしてください」
「おお、紫音殿・・・」
ゼルダは紫音を抱きしめた。
「紫音殿、ありがとう」
紫音も、ゼルダの背中に手を回し力を込めた。
求め合っていた二人の思いが、今一つになった。
二人はどちらからともなく唇を重ねあった。
夕闇が二人を包んでいた。
モハドや部下達の出迎えを受けながら、城の広間に落ち着くとモハドが話しかけてきた。
「国王様、タノールはどうでしたか?」
「うむ、デオポルトという奴に、手厚い歓迎を受けた
わ」
「やはり、奴が・・・油断のならない者でしたから、もしやとは思っていましたが」
「しかし、一人の犠牲も出さずに降伏してくれた。すべては紫音様のおかげじゃ」
ハシバ国王は、その時の様子をモハドに語った。
「そうですか・・・すごい方だ」
そう言ってモハドは紫音を見た。
その時ゼルダが口を開いた。
「父上。紫音殿も疲れておられる事ゆえ、そろそろ下がってよろしいでしょうか?」
「おお、ゆっくり休んでくれ。紫音様、お疲れ様でした。おかげで助かりました。」
「お力になれれば、私も嬉しゅうございます。それでは失礼いたします。」
紫音とゼルダは、共にハシバ国王の元を辞して広間を出た。
「紫音殿、少し話しませんか?」
「いいですわね。」
二人は庭に出てベンチに座った。
何か飲み物を取ってきましょうと言って、ゼルダが城に入っていき、カップを二つ持って戻ってきた。
カップを受け取った紫音は、口をつけて一口飲んだ。
「おいしい」
「そうですか、良かった・・・紫音殿、お疲れ様でした」
「ゼルダ様もお疲れ様でした。大変ではなかったですか?私と同じように行動するのは疲れると思いますが。」
「いいえ、身体だけは丈夫にできていますから」
笑いながら言うゼルダに紫音は微笑んだ。
「実はその・・・」
「紫音殿にお願いと言うか・・・」
「何でしょう?」
「わたくしの・・・妻になっていただけますまいか」
晴天の霹靂へきれきであった。
紫音は危うくカップを落としそうになった。
「つまり、その・・・わたしと結婚してください」
紫音はゼルダを見た。
ゼルダは真剣な目で紫音を見つめていた。
紫音は視線を外した。
「ゼルダ様・・・嬉しく思います。でも、私は普通の者ではありません」
「それは良くわかっています」
「私の持っている力の事だけではなく・・・」
紫音は言葉を区切った。
しばらく沈黙が流れた。
「私には死というものがありません。その代わりに役目を終えたら消えていくのです。そして又、何処かに現れるのです。それは私の意志とは無関係にです」
ゼルダはじっと聞き入っていた。
「あなたの事は嫌いではありません。出来ればそばに
いて力になりたいと思っています。でも・・・」
「紫音殿、私も悩みました。あなたが消えていくこと
もシュリ婆から聞いて知っています」
紫音はゼルダの言葉に聞き入った。
「しかし、私は一日でもいい。あなたを妻と呼びたい
のです。あなたに・・・夫と呼ばれたいのです。」
「私は、先の事を気にしてあなたを諦めたとしたら、
一生後悔すると思いました。そしてあなたと夫婦になれば、例えあなたがいなくなっても、その思い出を胸に生きていけるとも思いました」
「たとえ一日だけの夫婦であろうとも、私は後悔しま
せん。どうか私の妻になってください。」
紫音はゼルダを見つめた。
「考えさせてください・・・というのは、だめですね」
「あなたが消えていかないという保障があれば待ちますが」
「そうですわね」
紫音はゼルダから目を逸らし、しばらく沈黙したあとまたゼルダを見つめた。
「お受けします。あなたの妻にしてください」
「おお、紫音殿・・・」
ゼルダは紫音を抱きしめた。
「紫音殿、ありがとう」
紫音も、ゼルダの背中に手を回し力を込めた。
求め合っていた二人の思いが、今一つになった。
二人はどちらからともなく唇を重ねあった。
夕闇が二人を包んでいた。
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