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過去からの縁
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紫音は、ハシバ家の一員として朝食を食べていた。
それは、今日からゼルダの嫁として扱いたいとのハシバ国王の申し出だった。
隣にはゼルダがいて、向かいにはレイカと、母親がわりに同席させられたシュリ婆が座り、上座にハシバ国王が座っていた。
朝食が終わり、寛くつろいでいる時にハシバが小箱を紫音に渡した。
「紫音様、どうかこれを受け取って下さい。」
「お父様ったら、様と呼ぶのはおやめ下さいと、さっきもお姉さまに言われたばかりなのに」
レイカは笑っていた。
「うむ、そうであったな。どうも、お義父さまと呼ばれるのは心地良いが・・・」
「お義父さま、どうぞ気を使わずに紫音と呼んでください」
「む、では紫音や、これを受け取ってはくれぬか」
「これは?」
「まぁ、空けて見てくれ」
紫音は小箱を開けた。
中には大粒の、紫色に近いサファイアの指輪があった。
それは、紫音にとって見覚えのあるものであった。
「それはな、我が家に代々伝わるもので、わしの妻も身に着けておった。ゼルダに妻が出来たら渡そうと思っていたのだ」
「こ、これは・・・・」
「ん?紫音、どうかしたのか?」
目を見張っている紫音にゼルダが言った。
紫音は、なぜゼルダに惹かれたのか、なぜイシュタル国に関わる事になったのかわかった。
紫音はぽつりぽつりと話し出した。
遠い昔、紫音は東を目指して急いでいた。
その国に会わなければならない人がいたからだった。
それは、この宇宙の源の力ともいう存在で、何千年に一度か人として現れ、あるいは必要がなければ、現れてはこない人だった。
先を急ぐ紫音は、一人の男と出会った。
怪我をして動けずにいるその男を治療して、たっての願いでその男の元に何日か逗留とうりゅうした。
彼は革命軍のリーダーで、情に厚く魅力にあふれる人物であった。
専横を極めるこの国の王を倒して、平和な国を作る希望に燃えていた。
この国の未来と理想を熱く語る彼に、紫音はいつしか惹かれていった。
しかし、それは口に出せない思いだった。
彼には妻と子供がいた。
怪我に倒れた兵士たちを治療しながら、彼の活動を手助けしていた紫音は、何日か経って彼に別れを告げた。
その時の自分を見つめる彼の瞳に、愛があるのを感じていたが、彼女は手も握らずに去る決心をしていた。
紫音は彼に贈り物をした。
地中深くから岩を取り出し、酸化アルミニウムと少量の鉄とクロムを入れ、熱と圧力を加えた。
岩は小さくなり、酸化アルミニウムが結晶化し、鉄とクロムと、その他微量の要素によって、紫がかった青い宝石になった。
それを指輪にして、その宝石に紫音の力を封じ込めた。
それは彼の持っているエネルギーと反応して、彼自身を守る力と、彼の能力を引き出す働きをした。
紫音はその指輪を贈り、彼の元を去った。
紫音が語り終えると、一同はため息をついた。
「そうでしたか・・・・」
ハシバが言った。
「その指輪は、初代イシュタル国の国王が持っていたもので、その指輪のお陰でこの国を治める事ができたと、常々言っていたそうです。その為に我が家の家宝になっていました」
それは、今日からゼルダの嫁として扱いたいとのハシバ国王の申し出だった。
隣にはゼルダがいて、向かいにはレイカと、母親がわりに同席させられたシュリ婆が座り、上座にハシバ国王が座っていた。
朝食が終わり、寛くつろいでいる時にハシバが小箱を紫音に渡した。
「紫音様、どうかこれを受け取って下さい。」
「お父様ったら、様と呼ぶのはおやめ下さいと、さっきもお姉さまに言われたばかりなのに」
レイカは笑っていた。
「うむ、そうであったな。どうも、お義父さまと呼ばれるのは心地良いが・・・」
「お義父さま、どうぞ気を使わずに紫音と呼んでください」
「む、では紫音や、これを受け取ってはくれぬか」
「これは?」
「まぁ、空けて見てくれ」
紫音は小箱を開けた。
中には大粒の、紫色に近いサファイアの指輪があった。
それは、紫音にとって見覚えのあるものであった。
「それはな、我が家に代々伝わるもので、わしの妻も身に着けておった。ゼルダに妻が出来たら渡そうと思っていたのだ」
「こ、これは・・・・」
「ん?紫音、どうかしたのか?」
目を見張っている紫音にゼルダが言った。
紫音は、なぜゼルダに惹かれたのか、なぜイシュタル国に関わる事になったのかわかった。
紫音はぽつりぽつりと話し出した。
遠い昔、紫音は東を目指して急いでいた。
その国に会わなければならない人がいたからだった。
それは、この宇宙の源の力ともいう存在で、何千年に一度か人として現れ、あるいは必要がなければ、現れてはこない人だった。
先を急ぐ紫音は、一人の男と出会った。
怪我をして動けずにいるその男を治療して、たっての願いでその男の元に何日か逗留とうりゅうした。
彼は革命軍のリーダーで、情に厚く魅力にあふれる人物であった。
専横を極めるこの国の王を倒して、平和な国を作る希望に燃えていた。
この国の未来と理想を熱く語る彼に、紫音はいつしか惹かれていった。
しかし、それは口に出せない思いだった。
彼には妻と子供がいた。
怪我に倒れた兵士たちを治療しながら、彼の活動を手助けしていた紫音は、何日か経って彼に別れを告げた。
その時の自分を見つめる彼の瞳に、愛があるのを感じていたが、彼女は手も握らずに去る決心をしていた。
紫音は彼に贈り物をした。
地中深くから岩を取り出し、酸化アルミニウムと少量の鉄とクロムを入れ、熱と圧力を加えた。
岩は小さくなり、酸化アルミニウムが結晶化し、鉄とクロムと、その他微量の要素によって、紫がかった青い宝石になった。
それを指輪にして、その宝石に紫音の力を封じ込めた。
それは彼の持っているエネルギーと反応して、彼自身を守る力と、彼の能力を引き出す働きをした。
紫音はその指輪を贈り、彼の元を去った。
紫音が語り終えると、一同はため息をついた。
「そうでしたか・・・・」
ハシバが言った。
「その指輪は、初代イシュタル国の国王が持っていたもので、その指輪のお陰でこの国を治める事ができたと、常々言っていたそうです。その為に我が家の家宝になっていました」
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