妄想女医・藍原香織の診察室

Piggy

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迷走編

65話【on the way to work】新條 浩平 20歳:3P?(新條編)①

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 部屋を出たら、ちょうど藍原先生が出てくるところだった。やった、今日も一緒に電車に乗れる――と舞い上がりそうになったところで、先生の後ろにいる男に気づく。

 ふわっとシャンプーの香る藍原先生と、誰もが振り返るようなモデル体型のきれいな顔をした青年。……なんだ、これ。俺も結構背は高いけど、その俺と同じくらいか、もっと高いかもしれない。外国人みたいな美形で、青年というか、俺より若く見えるぞ。いや、若いというより、これはもう住む世界が違うんじゃないかってくらい、年齢不詳の美形だ……藍原先生と並んでると、すごくお似合いなくらい。

 ……ひょっとして、俺、フラれたのか? そうか、大橋にいわれて、確かに俺になんか藍原先生はもったいないって思ってはいたけど。……こんなに早く、フラれたのか? それともあれか、先生、エロくて流されやすいから、こんな美形モデル男子に口説かれて、つい一晩を……ってやつか? どっちなんだ、これは。

「あっ、し、新條くんっ、これにはわけがあって……っ」

 藍原先生が一生懸命言い訳しようとしてる。……ってことは、まだ俺、フラれたわけじゃないのか?
 真っ赤になってあわあわする藍原先生と、茫然としてる俺を交互に見比べて、その男が、ニコッと笑った。

「……香織さんの、恋人ですか?」

 途端に先生が飛び上がって男のほうを見た。

「凛太郎くん、どうしてわかるの!?」

 あ、よかった。俺、まだ藍原先生の中では、恋人ってことで合ってるみたいだ。……てことは。やっぱり、あれか。先生、ついうっかり流されちゃったか……。覚悟はしてたけど、予想より早く来たな……しかも、こんな美形……。

「ふふ、わかりますよ。僕、そういうのには敏感なんです。香織さんの慌てようとか、こちらの方の様子とか見れば」

 なんだこの男、余裕な発言だな。ムッとしてるのが顔に出たのかな、凛太郎とかいうその男が、俺に向かって微笑みかけてきた。

「大丈夫ですよ、僕、香織さんとは何もないですから」
「え」

 そうなの? じゃあどうして、部屋から出てきたわけ? 交互にふたりを見比べていると、藍原先生がしどろもどろに話し出した。

「えっと、凛太郎くんは、あたしの患者さんの付き添いの人で……昨夜たまたま、泥酔してるのを見つけて、それで家に泊めてあげただけで……」

 いや、泥酔したからって、こんな若くて綺麗な男を、独り暮らしの家に泊めるか? ……藍原先生なら、やりかねないか……。人を疑うってことを、知らない人だからな……。
 俺の心中を察してか、男が穏やかな表情でいった。

「本当に、それだけですよ。僕、ゲイなので。香織さんとは、何にもありません」
「ゲ……っ!?」

 おい、マジかよ。ニコニコしながら、朝っぱらから何いってんだ、こいつは!? ……いや、いわれてみれば、めちゃくちゃゲイ受けする感じはするけどさ。……ほんとに? 言い訳じゃなくて?

「だから香織さんも、僕を泊めてくれたんです」

 藍原先生のほうを見ると、真っ赤になりながらコクコクとうなずいている。

「……そうなの? 俺てっきり、先生がつい流されちゃったのかと……」
「な、流されてはいないわ、何とか! 大丈夫よ新條くん、ちゃんと別々に寝たし、凛太郎くん、朝まで爆睡してたから」

 何とか……ってのはちょっと気になるけど、とりあえず、本当なんだな。凛太郎くんも、まったく焦る様子もない。

「新條さんも、ご心配でしょう。こんなに可愛くて感じやすい女性が彼女だと」

 そりゃそうだよ、藍原先生絶対モテるから、いつ誰に盗られてもおかしくないし……って、おい。なんでゲイのおまえが、藍原先生が感じやすいって知ってんだよ。

「あっ、じゃあ、そんなわけで、駅まで案内するから!」

 結局俺は、藍原先生と凛太郎くんとやらと三人で、駅に向かうことになった。……なんだかなあ、もやもやするというか、邪魔だというか。いや、このふたりに並ばれると、むしろ俺のほうが邪魔者みたいで居心地が悪い。

 凛太郎くんの住まいは、俺たちと同じ方向だった。混雑した通勤電車に三人で乗る。ゲイとはいえ、油断はできない。まず俺が乗って、藍原先生と向かい合うように立つ。藍原先生のすぐ後ろに、凛太郎くんが乗り込んできた。背の低い藍原先生を、俺と凛太郎くんでサンドイッチする形だ。凛太郎くんは藍原先生の背後に密着してるけど、でも俺はふたりをチェックできる向きで立ってるから、この男が藍原先生に何かしようとしたら、すかさず反撃してやる。

 藍原先生は、いつものように俺にくっついている。鉢合わせしたのがまだ尾を引いているのか、頬がうっすらと赤くて居心地悪そうだ。いや、もしかして早速、凛太郎の奴がこっそり先生に後ろからイタズラしてるのか……!? 満員電車で下半身のほうはよく見えないけど、腕を動かしている様子もないし、それは大丈夫そうだ。……と、思っていたら。
 不意に、誰かの指先が俺の手に触れた。ドキッとする。……藍原先生? まさか、知り合いが真後ろに立ってるこの状況で……また俺と、何かするつもりか……!?
 ドクンと胸が鳴って、急に鼓動が速くなる。先生、さすがにそれはまずいよ……まずいけど、でも、すげえ燃える……凛太郎くんが見ている前で、気づかれないように、俺と……。うわ、ヤバい。また勃起してきた。俺、先生と電車に乗って、勃起しないでやり過ごせたこと、ない気がする……。

 俺に触れた指先が、そっと肌を伝ってしっかりと俺の手を握り……ん? 何だかちょっと、おかしい。藍原先生の指って、こんなに太かったっけ? それに、いつもよりちょっと冷たくて、何だか大きい気がする……。
 ふと前を見ると、凛太郎くんと目が合った。

「!」

 ……え、ちょっと待って。何、その目は? 凛太郎くんが俺をじっと見つめて、うっすらと微笑んで……え、え、もしかして、この手……凛太郎くんの手!?
 ヤバい! それはさすがにヤバい! こいつ、ゲイってマジだったか! なんでそんな目で俺の手掴んでんだよ!? 勘弁してくれよ、俺は完全なるストレートなんだよ!
 慌てて手を引っ込めようとしたけど、凛太郎くんの手は意外と力強くて、密着した電車の中で、うまく手を抜けない。両手をしっかりと掴まれて、俺は引っ張られるように、藍原先生の体を通り越してその奥にいる凛太郎くんの股間めがけて……!

「わっ、ちょっ、や、やめろよ……っ」

 小さい声で何とか凛太郎くんにいう。しかし凛太郎くんは平然と笑うだけ。

「……大丈夫ですよ、新條さん」

 何が大丈夫なんだよ、おまえは大丈夫でも、俺は大丈夫じゃねえんだよ!? どんな美形だって、男のチンコなんか触りたくもねえ! マジ勘弁!!
 藍原先生の背後で無言の攻防が繰り広げられて、とにかく手を引こうとしていた俺は、そのあとの凛太郎くんの動きに驚いた。
 俺を掴んだ凛太郎くんの手は、彼の股間ではなく……そのまま、藍原先生のスカートの中へ、俺をいざなった。俺の手のひらがぴたりと先生の両のお尻の下に張りつき、先生がビクンと背筋を伸ばす。

「しっ、新條くん……ッ!?」
「えっ、あっ、これは、ちが……っ」

 な、なんなんだ? これ、どうなってんだ? 凛太郎くんはにっこりと微笑んだまま、俺の手の上から藍原先生のお尻を揉む。先生はビクッと肩をすくめて、俺の胸に顔をうずめた。

「し、新條くん……っ」

 違うんだ、先生。これは、俺がやってるんじゃなくて、俺の手を使って、凛太郎くんが……。いや、でも、触ってるのは確かに俺で、俺のチンコは、今日も先生のお尻と先生の吐息を食らってムクムクと大きくなっているのですが。

 凛太郎くんが身を屈めて、藍原先生の耳元で囁いた。

「……香織さん。感じて、いいんですよ?」
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