幻想彼氏

たいよう一花

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Act 2

15. 深く繋がる夜 1

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皓一はベッドの上で目を覚ました。寝返りを打とうとして、手足が動かないことに気付く。先週初めて真也に抱かれたときと同じ状況だ。どうやら目隠しもされている。
皓一は動かせる範囲で身をよじって、不安気に声を上げた。

「真也……真也?」

「ああ……起きたか、皓一」

「俺、また風呂場で眠ってしまったのか?」

「そうだ。疲れているんだな……。だが、ちょうど良かった。少し眠って回復しただろう? 気分はどうだ?」

「うん……いい。んっ……!」

唇が重ねられ、真也の上半身がピッタリと吸い付くように皓一の体に添わされる。皓一の背中に回された真也の両手が、首筋から背骨の窪み、尻へと這わされ、指先が後ろの蕾をなぞるように刺激しはじめると、皓一は快感に体を震わせた。

「ぁっ……、んう……真也……」

「おまえの後ろ……ひくひくしてるぞ……ほら……」

ぐちゅ、と指先が中へ押し込まれ、皓一が切ない喘ぎ声をあげる。
真也は皓一の唇を捕らえたまま、キスの合間にいやらしい言葉を繰り返し、皓一をあおるようにくちゅくちゅと濡れた音を響かせた。

「ああっ……う、んんぅ……真也、真也……」

「どうした、そんなに腰をくねらせて。どこか痒いところでもあるのか? ……ククッ」

「違ッ……うう、真也、焦らさないでくれ……」

皓一は息を乱し、真也の指を呑みこんでいる後ろに、無意識に力を込めた。前の昂りは痛いほどに勃ちあがり、真也の腹で擦られ、だらだらと先走りの汁をしたたらせている。

目隠しをされている皓一には見えないが、真也の下半身からはいくつも触手が生え、うぞうぞとうごめいていた。前回と同じように、柔らかく太い触手が皓一の折り曲げた脚に巻き付いて拘束し、他の触手は皓一の臀部や太腿を這いまわって、もの欲しそうに涎を垂らしている。
そして触手の中でも特別な役割を持つ一本が、皓一の後ろの穴を弄っていた。だらだらと蜜を垂らしながら孔周りを刺激していたそれは、花弁のようにクパッと先端を開き、皓一の後ろに吸い付く。花弁の内側には繊毛が敷き詰められていて、それらが新たな刺激を皓一に与えた。

「ひうぅっ……!」

のけ反り嬌声を上げながら、皓一が快感に体を震わせる。

皓一の後ろを弄っている触手は、「番(つがい)」と交わるための、真也の交接器だ。他の触手とは違って体内から子種を注ぐための管(くだ)があり、「番」の相手を悦ばせるための様々な機能が備わっている。よく伸び縮みし、自在に大きさや形を変化させることができるため、真也はそれを皓一の体の負担とならないよう、一度目の交接時には直系2cmほどに調整していた。しかし今回は、一回り大きい直径3cmほどに膨らませている。真也はそれを行為の度に徐々に太くして、擬態した姿の「真也」のペニスの大きさと形に近づけようと考えていた。そうすれば、本来の交接器のみ擬態を解き、皓一の目隠しと拘束を取り除いて、より地球人のセックスに近い形で愛し合うことが出来る。

きっと皓一は、いつもいつも目隠しと拘束のセックスばかりしていては、不満を覚えるに違いない――真也はそう思い、地球人にとって自然な形でのセックスができるよう、計画を練っていたのだ。
もちろん3回に1回くらいは、目隠し拘束プレイを楽しもうと真也は画策している。無数の触手を皓一の体に絡みつかせ、どこもかしこもぬるぬるに濡れながらの交接は、真也にとって他では得られない最高に興奮するセックスなのだ。
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