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一人から二人へ
初めての御主人様_4
しおりを挟む「……良かった、まだ返事来てなかった……」
ほっと胸を撫で下ろし、スマホを握ってベッドへと寝転がる。待ち遠しくもあり、怖くもあるこの時間に、しえるは胸を高鳴らせながら身体を震わせた。
「あ、ダメだ。これで私メッセージ開きっぱなしにしたら、べるのさんに既読なのバレちゃうよね……? 待ってたみたいな……。通知で我慢しよう、ずっと開いてたの分かったら、気持ち悪がられちゃうかもしれないし……」
嫌われることはどうしても避けたい。
“危なかった……”
SNSのアプリを閉じ、枕の隣に置く。時間を潰そうと、本棚を漁り漫画を読み始めた。
――十分。
――三十分。
――一時間。
――一時間半。
漫画の効果は絶大で、気づいたら漫画を読み始めて二時間が経とうとしていた。事前にトイレへ行っていたこともあり、尿意に邪魔されることなく集中してしまっていた。掃除を始めたのに、漫画を見つけたら読みふけってしまうのと同じ現象かもしれない。もしくは、試験勉強を始めたのに、漫画を読み始めてしまった時と。
“――しまった――! 返事は――!?”
慌ててしえるはスマホを手に取って通知を確認した。ゲームのスタミナ回復、スケジュールのリマインド、動画のコメント。様々な通知に交じって、見たことのあるアイコンが目に留まった。
「べるのさん!」
今から一時間半前に、べるのから返事は来ていた。漫画に夢中になり過ぎて、まったく気が付かなかった。仕方ないと言えば仕方ない。特に、このSNSのダイレクトメールの通知に関して、音やバイブ音で知らせる設定にはしていなかったからだ。通知を見逃してしまっては気づかないのも当然である。
“……何のためにあんなに意気込んでたんだろう、私”
少し落ち込んだが、気を取り直してダイレクトメール一覧画面を開いた。
“……良いことが、書いてありますように……”
恐る恐る、べるののアイコンをタッチする。
『しえるさん、こんにちは。お返事、こちらこそいつもありがとうございます。今日はちょっと、ビックリしました。しえるさんの元に、ご主人様についてのコメントが多く書かれているのは拝見していました。が、それほど多いとは思っておらず……。行っても大丈夫かな、と感じたので言ってしまいますが、実は、僕もしえるさんが誰かに命令されたり、調教されている姿を見てみたいな……と思っています。……できれば、それが自分であってほしい、と。でもそれは、しえるさんは画面の向こう側の人で、絶対触れ合ったりすることが出来ないと思っているし、僕はただの一ファンなので、あり得ないかなと思って言わないでいました。それに、気持ち悪いとか、嫌だなと感じてしまったら、申し訳ないなと思う気持ちもあって。でも、しえるさんが許してくれるなら、文字だけでも良いから、しえるさんと触れあいたい。僕の方を向いてほしい。動画の中だけでも、繋がりが欲しい。そう思っています。もしかしたら、恋をしているのかもしれません。……僕の方こそ、こんなこと言ってごめんなさい。気持ち悪かったら無視してください。それでは、また』
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