ファンプレ! 〜ファンタジー・ロールプレイング〜

上坂 涼

文字の大きさ
11 / 37
本編

第4話 続々 ファイヤーボールってどんな魔法?

しおりを挟む
「ちゃんと口で説明しろアホ」
「金星、オレの動きを見て感じるんだ。オレが本当に伝えたいことを⋯⋯!」
 巻原が大きなため息を吐く。いい加減ツッコミ疲れたようである。
「ファイヤーボールという魔法はどんなものなのかを話していたんだ」
「ちょっ! なんで言っちゃうんだよ鷲津!」
「お前が面倒くさいからだ。とっとと話を進めろ。打倒九十九つくもなんだろ?」
「な⋯⋯」
 鷲津のはっきりとした物言いに時田は動きを止めた。それからしゅんとして石段に座り、両膝を抱えてしまう。時田は空気が読めないことも多く、マイペースな性格だが、メンタルは弱かった。
「あ、あの、時田先輩⋯⋯? 大丈夫ですか?」
「放っておけば治る」
「旦那が言ってるんだから、間違いないわよ」
「⋯⋯旦那?」
 巻原の言葉に金星は首をかしげ、
「オレが嫁かよ!」
 時田は両膝を抱えたままの姿勢で、わぁっと叫んだ。その様子を見た巻原がフッと笑う。
「ほら元気」
「あーもう! 続き話しますよ。話せば良いんでしょ」
 時田はそう言いながら、すっくと立ち上がり、こほんと咳払いをした。
「そもそもファイヤーボールって何属性なのかって話です。炎なのか、闇なのか」
「そりゃあ炎なんじゃないの?」
 巻原の返答に時田がちっちと指を振る。
「ファイヤーボールって、もちろん火球って意味もあるんですが、人魂だとか狐火だとかスピリチュアル的な意味もあるんですよ」
 鷲津が腕を組んで言った。
「それなら用途で使い分ければ良いだろう。火属性なら火っぽくして、闇属性なら闇っぽくすれば良い」
「そんな曖昧じゃいかんでしょうが⋯⋯! オレの中のファイヤーボールの定義を決めたいんでしょうが! 同じ名前なのに効果変わるとか嫌なんでしょうが!」
「知らんがな」
 わぁっと熱くなる時田を巻原は冷ややかな目で一蹴した。金星がおずおずと手を上げる。
「あ、あの。そういうことでしたら、明確に内容をイメージ出来るネーミングにしてみるのはどうでしょうか?」
「なに!?」
「ひぃ⋯⋯! すみません! すみません!」
 時田は身体をひねり、金星にビシッと人差し指を向けた。黒のジャケットがばさりという音を立てて翻る。
「それは良いアイデアだ金星! やるなぁ!?」
「ひぃ⋯⋯! ありがとうございます! ありがとうございます!」
 関西の訛りで同じ言葉を連呼するのなんか面白いなぁと鷲津は密かに一人でニヤついた。
「ちょっと! いちいちオーバーリアクション取らないでくれる? 金星ちゃん怖がってるでしょ」
 時田はきょとんとした。それから少しして申し訳なさそうにこめかみを掻く。
「あれ⋯⋯そんなにオーバーでした? ごめんな金星」
「だ、だいじょうぶです。少し驚いただけなので。きっと⋯⋯いずれ慣れると思います」
 ふうと巻原は息を吐いた。機嫌悪そうに両腕を組み、時田を静観する。一方の時田は極めて冷静を意識しつつ、話を進めた。
「金星のアイデアを採用するなら、炎系はバーニングボール。闇系はダークネスボールって感じかな」
「は、はい。そんな感じが良いかと思います」
 鷲津も頷いて言う。
「その名前を聞いてすぐイメージする内容を考えながら決めるのが良いかもな」
「そうなるとファイヤーボールはバーニングボールの下位互換って感じね」
 と、巻原も微笑を作ったところで皆の意見がまとまった。
 ⋯⋯ところが。
「じゃあバーニングボールとダークネスボールってどんな魔法なんだ!? みんな一緒に考えてくれ!」
 あ、これキリがないやつだ。
 そう思った時田以外の三人は互いの顔を見合い、意思疎通する。
「そろそろ昼休みも終わりね。二人は次の教室どこなの?」
「う、うちは総合研究棟の特別講義ホールでDTM入門の授業です」
「俺は情報学部棟一階の講義室でプログラミングの基礎を受ける」
「私は総合研究棟の三階。金星ちゃんと途中まで同じね。せっかくだし入り口まで一緒に行こっか」
「は、はい!」
 じゃ。というような感じで三人はパッと二手に分かれて、時田から離れていった。
「え!? ちょっと! まだ昼休み5分あるでしょうよ! なんで!?」
 中央で噴出していた水の柱が消える。
 この広場の噴水は十二時五十五分から十六時までの間、稼働を停止する。もちろん節約という意味もあるが、昼休みが終わる合図としての意味合いが強かった。
 周りの人もみるみるうちに消えていき、時田のみが中央噴水広場に取り残された。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~

shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて 無名の英雄 愛を知らぬ商人 気狂いの賢者など 様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。 それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま 幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

処理中です...