ファンプレ! 〜ファンタジー・ロールプレイング〜

上坂 涼

文字の大きさ
19 / 37
本編

第9話 ノームイケメン化計画

しおりを挟む
「ねえ時田。四大精霊とかは出さないの?」
「うーん」
 デロデロデロン。
 時田は手を頭に回して唸る。
 デデデン。
「確かにカノブレイズ王国の設定から進んでいないので、アリっすね」
 ドガバキ。
「アリもなにも絶対に取り入れるべきでしょ。設定を練るための参考が圧倒的に足りていないのよアンタ。なにより知識をこねくりまわして、アイデアを閃こうとする根気が足りない」
「まあ、そうっすねぇ。自分でも分かってるんですが、こだわりというか⋯⋯自分のセンスに合わないというか⋯⋯オリジナリティを出したいというか」
「⋯⋯」
 ボロンボロン。
 時田の煮え切らない態度に巻原は苛立ちを覚える。もっと言ってやろうと考えたが、思いとどまる。人にはそれぞれのプライドと考えがある。他人の正解を押し付けたところで響くわけもない。失敗して、成功して、失敗して。そうやって己で気付いていくしかないのだ。
「そんなことより」
「さっきからなんなんだこの耳障りな音は」
 巻原が言うよりも早く、鷲津が音をあげた。
「す、すみません! どうやっても良い音が鳴らなくて⋯⋯! この音をヘッドホンで聴いていると、頭がおかしくなってしまいそうで⋯⋯直接音を鳴らしてましたっ!」
 金星はそう言って、パソコンをぱたりと閉じた。時田がお茶を啜ってから金星を見る。
「DTMだっけ? なんだか大変そうだな」
「そ、そうなんです⋯⋯。ピアノを長い間やっていたので正直余裕かと思っていたんですが、まずソフトの細かい操作がよく分からなくって」
 今度は鷲津が金星に訊ねる。
「ちなみになんのSEを作っていたんだ?」
「た、宝箱の音を⋯⋯」
 鷲津は黙って金星の肩に手を置いた。
「金星。今日はもう休め」
「べ、別に疲れてないです!」
「まあまあ。金星ちゃんも今日のところは制作を終わりにして、気分転換しなよ。ちょうど四大精霊の話をしてたところだから」
 もう片方の肩に巻原の手が乗る。
「⋯⋯わかりました。仕方ないですね」
「気分転換だとか仕方ないで話に加わられるのも複雑なんですが」
「アンタがいつまで経っても続きを書かないから、手伝ってあげてるんじゃない。泣いて感謝してほしいくらいよ」
「まあ⋯⋯はい。ありがとうございます」
 そう時田は口を尖らせて言った。楽観的な時田も最近の筆の進み具合に焦りと自己嫌悪を覚えていた。どうにかしたいのに、適当に取り繕った物語では妥協したくない。そのプライドに邪魔されて、時田は身動きが取れなくなりつつあった。
 九十九に勝つためには、ゲームを進めるほどに目が醒めていくような極上のストーリーと、心が躍るようなシナリオが不可欠だ。それを考えるのがオレの役目。そう思えば思うほどに、自分の今書いている物語がくすんで見えてくる。
 ——これではダメだ。九十九に勝つことは出来ない。
 自分の中にいる九十九という存在が段々と膨らんでいき⋯⋯禍々しい気をまとって自分に覆いかぶさろうとしてくる。そのような想像をしてしまうほどに、時田は追い詰められ始めていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~

shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて 無名の英雄 愛を知らぬ商人 気狂いの賢者など 様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。 それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま 幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...