幻想機動輝星

sabuo

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序章 ある研究員の記録『ZERO』IS SLEEPING

第35話 ライヘンバッハの滝

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「君はなぜ嘘をつくんだい?」
「怖いから」
「何に?」
「色々とさ。将来の事とか、人間関係の事とか」
「綾乃の事も?」
「それもある…他にも歴史研究部の面子の事とか…自分が嘘をついている事とか」
「なぜ、やめられなかったの?」
「もう、後戻りできなかった」
「言い出す勇気がなかった、の間違いでは」
「そういう訳では…いや、そうだな。俺には勇気がなかったんだ。学力も、魅力も」
「ペ○ソナ3のステータス?」
「言うと思ったよコノヤロウ」
「本当のステータスは?」
「さっきの順で、『今ひとつ』『もうすこし』『これといって』」
「最低ランク」
「うん。個人的には『意気地なし』『阿呆』『醜男』だが」
「そこまでいうの」
「うん」
「それで嘘をつき続けたと」
「うん。色んな事を偽装して、嘘をついた。テストはカンニングしまくったし、日記にも嘘しか書かなかった…そのうち、なんで嘘をついているのか分からなくなってきた」
「本末転倒」
「ああ、だがそれも終わりだ」


「もう、嘘をつく必要は無いんだ」





滝があった。
大きな滝だ。底は見えない。
その近くに、ライターがいた。

「やあ、終わったのかい?」
「ああ」
終わったよ、いろいろと。
「時間が無いから短刀直入に言おう…ここから先、何が起こるかわからない」
「分からない? どういう事だ」
「君が目覚めるのが遅すぎた。準備は完璧に終わったけど…とにかく、僕の計画の想定外の事が現在進行形で起きている」
「やばいのか?」
「やばいってレベルじゃないよ…だから、最後の手段を使って、マシにする」
「最後の手段?」
「君の記憶を消す」
「俺の記憶を?」
「君は知りすぎた…特にレオスを知ってしまった事が大元の原因だ」
「…知ったというか、察しただけなんだが」
「それだけでも十分まずい…レオスの正体を『知っている』か『知らない』だけで本当に大きく変わる…だから君の小説の様な日記は本当に助かった」
「と、いうのは?」
「ただでさえ駄文なのに深夜のテンションで書いて、さらに執筆スピードが遅いせいで説明足らずとか訳わかんない所があるからさ」
「褒められている気がしないのは気のせいだろうか」
「とにかく、時間が無い…やってくれるね? 君は知っている筈だ」
「…拒否権無いんだろうな」
「レオスの正体を知ったときから、もう君は覚悟しているだろう」
「まあな…その為には自分も騙す。その覚悟だ。それに変わりは無い」
俺は歩みを進める。
滝に向かって、
「…ここって、『ライヘンバッハの滝』か?」
「よく分かったね…本当はここで、長話をしたかったんだが…もう時間が無い」
「ホームズ風にしたかった訳」
「うん…無駄に終わったけどね」
まったく、
「次からは余裕を持って行動するんだな。お前は昔からそうだった」
「…僕の正体も察したわけ?」
「レオスの正体を知ったらいやでも分かるさ」
バレバレだ。口調からしてもう。
「…で、ここから落ちれば言い訳?」
「そうだ…モリアーティ教授のようにね」
「じゃあお前はそこの崖をよじ登っていく訳だ」
「そゆこと」
「指には気をつけろよ」
そう言って俺は飛び降りようとした。が、ライターが呼び止めた。
「ねえ、君には夢があったよね」
「ああ、あるけど」
「その夢の心配はしなくていいの?」
大切な物のはずだ、とライターは言った。
「あともうちょっとで完成の筈だよ? 僕が言うのもアレだけどさ、記憶が無くなったらまた遠ざかるよ」
「…なんだ、その事か」
大丈夫だ、問題ない。


「俺は夢を完成させた」


俺は飛び降りた。












「        」
目の前に、白い髪を持った女の子がいた。
あたりはオレンジ色に染まっていた。
「           」
何を言っているのだろうか?
「           」
不意に俺は右手を伸ばした。
血だらけだった。

「さよなら」
      
え? どうして?

女の子の体が光った。


「よせええええええええええええええええッ!!!!!」

それは、俺の声だった。
だが、俺は声を出していない。
だがそんな事も考えられない内に、
辺りが真っ白になって、

吹っ飛ばされた。

揺れる、揺れる、揺れる、
落ちる、落ちる、落ちる、

そして、何かがひしゃげる音がして、
辺りが真っ暗になった。







以下、判別不能。
資料終わり。



   
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