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序章 ある研究員の記録『ZERO』IS SLEEPING
第10話下 lithium
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「回避(ブレイク)!!回避(ブレイク)!!」
左側を、ワイバーン型が抜けていって・・・・・散った。
「!?」
直後、四機のWGが飛んでいった。だがそれは、戦略機動隊所属では無い。
青紫色の、丸みを帯びた形状、見たことも無い機体だ。
ザーフが叫んだ。
「ウィザドニアのMark8(マークアハト)!?」
「ザーフ、起きたのか? いやいい、Mark8って?」
「ウィザドニア・インダストリアル製のWG、先行量産型ができてつい先日ウィザドニア国軍に配備されたばかりの最新型。でもあのカラーリングは恐らく王立学園所属だ!!」
「なぜそんなものがここに!?」
「わからん。大体、ここまでフリークスの侵攻を許したこと自体無い」
「いつもどこで戦っているんだ?」
「高槻の辺りだ。悪くて中書島まで」
「じゃあ相当攻め込まれているな」
「みんな!! あれを!!」
見れば、ヘリの進行方向、町が見える。浜大津だ。しかし、明らかにまずい。
「燃えてる!?」
町のあちらこちらで火災が発生している。規模は少ない。だが、
「このままだと町が全て焼けるぞ!!」
アヴェントが叫んだそばから、また町の一角が火を噴いた。よく見れば、町のいたるところにフリークスがいた。
その時、ザジルが叫んだ。
「横だ!!」
ヘリの右側、ワイバーン型がこちらに向かって突っ込んでくるのが見えた。
「どけえ!!」
そう言ってザーフは俺を押しのけ、片手で2メートルほどの長い筒のような物を構える。
対フリークス用の個人携帯型魔力砲だ。
「発射(ファイア)!!」
衝撃と共に緑色の光球が発射された。それはもの凄い速さで飛んで行き、ワイバーン型に直撃した。
ワイバーン型はバランスを崩し、下のほうに落ちていった。
「ワイバーン型がここまで来るとは・・・パイロット、浜大津総合学校はまだか!?」
「分かっている・・・くそ、ウィザードシステムが使えない!!」
「使えない!?」
俺は思わず聞き返した。
「使えないって!?」
「ああ。おかげさまで無線を使うしか通信手段が・・・あった!!10時の方角。確認した!!」
浜大津総合学校だ。だが、
「校内にフリークスを確認・・・・・発光信号!?」
空に緑色の光が上がった。校舎の間からだ。
それと同時にノイズまじりの無線が入った。
『じょ・・・のへ・・・聞こ・・・か・・・・・・えます・・・・』
「周波数は185に合わせてください。民間用はそれです!!」
ラビラトスの指示通り、パイロットが無線のダイアルを回した。
『上空のヘリ、聞こえますか!?聞こえますか!?』
「こちら戦略機動隊。回収要請を出したのはお前か!?」
「よかった、通じました!!・・・はい、そうです!!」
「そうか、グラウンドまで行けるか!?」
「はい、なんとか!!」
「こちらからも支援する!!・・・お前達も手伝ってくれ!!」
「「「了解」」」
その時、見た、前方、大きなクモのようなやつがいる。機械のような、生物のようなそれは明らかに
「フリークス!?」
「タランチュラ型だ!! 攻撃来るぞ!!」
そう言った時、赤色のレーザーがヘリのすぐ近くを突き抜けていき、山に直撃した。
「あんなものに当たったらひとたまりも無いぞ!!」
「分かっている。しっかりつかまれよ!!」
直後、タランチュラ型を緑色の光が貫いた。
「・・・・・へ?」
一つだけでない、二つ、三つ、合計四つの緑色の光がタランチュラ型を貫いた。
「何がどうなっている!?」
アヴェントの叫び、その解答として、俺の端末が鳴った。通信だ。出る。
『先輩、聞こえますか!? 聞こえますか!?』
「交野か!?」
上空から、何かが飛んできた、それは緑色のラインを描きながら向かってきて、目の前で停止し、ホバリングした。
それは騎士だったった。
鉄でできた騎士だ。
灰色の装甲、バイザー型のセンサー、背中には羽のようなものが付いている。大きさは大体30メートルほど、
以前見たときはもっとがっしりとしていたが、今はスリムになっている。武装も前のようにごちゃごちゃしておらず、非常にシンプルな二つの剣のみになっていた。背中の羽からは緑色の粒子がでている。魔力粒子だ。バイザーが緑色に光り、こちらを捉えた。
俺はこれを、知っていた。
これは交野の、
「『ミュートゥス・ギア』・・・『ヴィントシュトース』か!!」
『はい先輩。エルメス局長に頼まれて応援に来ました!!』
「エルメス局長が・・・しかしどうやってここまで?」
『私が誘導しました』
その声は、
「アレサ!?」
『はい。交野様と同じようにエルメス局長に頼まれて』
「まだ動けないじゃあ無かったのか」
『体の方の調節にはまだまだ時間がかかりますが、意識は動けます』
『ウィザードシステムが使えないため、衛星を使って探したんです』
「操縦は?」
『久しぶりなので前より腕は落ちていると思いますが、行けます!!』
「分かった。今から民間人の回収を行う、完了するまで援護を頼む」
『了解!!』
通信が切れた。
「今の、同じクラスの交野か!?というかあれはなんだ!?」
ザーフが驚いた表情で聞いてきた。当然だろう。
「WGを超えるもの、とだけ言っておこうか。とにかく交野が援護している間に回収する。行って下さい!!」
「なんだかよくわからんが了解した!!」
上空から『ヴィントシュトース』が援護している中、機体が下降し、浜大津総合学校に向かう。校舎が見えてきた。
「ザジルとラビラトス、右の方の監視を頼む、見つけたら言ってくれ!!」
「何を見つければいいの!?」
「フリークス以外に決まっているだろうが!!」
機体はさらに下降し、校舎のすぐ上まで来た、が、
「ザジル、確認できたか!?」
「いや、こっちにはいない。グラウンドはどうだ!?」
「駄目だ、いない・・・どこに行った!?」
「グラウンドの向こう側!!」
アヴェントが言った方を見ると、走ってくる奴が二人、一人は金髪ケモ耳の幼女、もう一人は緑髪の女・・・って
「リナイ!? イータ!?」
間違いない、しかしリナイ達が置かれている状況は非常にまずかった。それは、
「タランチュラ型レベル1、多数確認!!上から来ている!!」
「援護!!」
ヘリについてる機銃を撃つ。リナイたちに当たらない様に、しっかりと狙いをつける。
効果は無いかもしれないが、足止め程度にはなるだろう。
「このまま強制着陸する。気をつけろ!!」
ヘリが地面すれすれの位置まで降下する。リナイ達との距離は約100メートル。
「急げ、急ぐんだ!!早く来い!!!」
距離約50m。だがフリークスの方が速い。
「発射(ファイア)!!」
ザジルが個人携帯型魔力砲で一番近くの一匹を撃破する。
残り10m
「走れええええええええええ!!!」
リナイとイータがヘリに飛び込んだ。それと同時に俺は叫んだ。
「回収(リカバリ)!!!」
「急速離脱!!!」
ヘリが一気に上昇し、高度を上げていく。眼下にはフリークス達で埋め尽くされようとしている浜大津総合学校のグラウンドがあった。
「このまま山城基地に向かって下さい。ここは危険です」
「同感だ。管制塔に連絡を入れる」
そう言ってパイロットは無線で呼びかけた。
「こちらG35、ヤマシロ・タワー、応答願う」
『こちらヤマシロ・タワー』
「民間人の回収に成功した。今から山城基地に帰投する」
『あー、もしかして・・・まだその空域にいるのか?』
「そうだが」
『そうかだったら・・・当たるなよ!!!』
その時だった。無数の光が、フリークスの群れを貫いた。
「・・・へ?」
『先輩、上です!!』
交野からの通信、上を見るとそこには、
「航空艦!?」
それもただの航空艦ではない。
デカイ。
とにかくデカイ。
三胴型、長さは目算で15キロメートルはある。いやしかし、どっかでみたことがあるような・・・て、
「リナイ・イナク!?」
ギガル皇国第二航空艦隊旗艦、リナイ級リナイ型航空戦艦『リナイ・イナク』
まさにそれは先日淡路島で見たものだった。
(ギガル皇国の第二航空艦隊の旗艦が何故ここに!?)
だが、そんなに悠長はしてられない。
「全速離脱です!!急いでください!!いつ流れ弾が当たってもおかしくない!!」
「いや、それは無い」
イータが、否定した。
「何故そう言いきれる」
「私がこちらの存在を『リナイ・イナク』に伝えた。」
その言葉通りだった。
無数の赤い光がフリークスを貫きながらも、こちらを掠める光は一つもない。
本当のようだった。
「まったくリナイ様がいるというのに・・・何たる不祥事、後で本国に連絡しなければ」
「大丈夫、だよ。無事、だから、伝えて」
「・・・そうでありました。ではそのように」
イータはリナイに向かってそう言った。
まるで王とその従者のようだ。
「・・・イータ、お前は何者だ」
「・・・ここまで聞いてしまえば仕方があるまい。答えよう」
イータはきりっとした声で言った。
「私は、ギガル皇国近衛軍所属、イータ・ナシュトゥル。そしてこちらにおられるのは」
一泊入れて、キメ顔で、イータはぶちまけた。
「ギガル皇国第二神にして、ギガル皇国皇位継承権第二位、ギガル皇国第二航空艦隊総司令であらせられる。『鉄神』リナイ・イナク様である!!」
俺は、リナイを見た。
そして気づいた。
目の前の金髪ケモ耳幼女から、大きな霊圧が出ていることに。
それに気づいたと同時に、リナイから神々しい雰囲気が出ていることにも気づいた。
それは、絶対触れては、犯してはいけない、領域、
聖域。
神聖なもの。
(本物だ)
目の前にいるのは、本物だ。
神だ。
本物の、神だ。
俺がそれについて半ば思考停止に陥っている中、ラビラトスが言った。
「ねえ、イータさん」
「なんだ?」
「それ、ばらす必要・・・あった?」
「「「・・・・・・・」」」
無いな、と、みんなの意見が一致した。
WRSSC-03『こんな夜分に何の用だ? Mark8の実践テストの報告は明日の筈だが』
WRSSC-02『緊急事態とも言うべきことが発覚しました』
WRSSC-04『緊急事態? 私達二人の『夜のお楽しみ』を中断して来たんだから・・・相当なことよねぇ、生徒会長』
WRSSC-01『お前らの嗜好なぞどうでもいい。副会長、説明を』
WRSSC-02『先ほど、実践テストを終えたMark8から送られてきた戦闘データを解析したところ、こんなものが』
WRSSC-03『・・・これは!?』
WRSSC-04『へー、あっそう。そういうこと。確かにこれは『緊急事態』ね。副会長、あなたの見立ては?」
WRSSC-02『形状は異なりますが、恐らく『ヴィントシュトース』と推測されます』
WRSSC-03『『ヴィントシュトース』だと!?あいつは死んだ筈、だれも動かせるわけが・・・まさか』
WRSSC-01『交野勝が生きている、ということだ』
WRSSC-04『待ちなさい。何故、そう言いきれるのかしら? 『神の力』の中でも『ミュートゥス・ギア』は別よ。『選ばれし者』以外にも動かせる可能性は無きにしも非(あら)ずよ』
WRSSC-03『・・・何か、確たる証拠、またはそれに順ずる何かがあるのか? お前が確信できる何かが」
WRSSC-01『もう一枚の画像を出せ』
WRSSC-02『はい』
WRSSC-04『・・・・・あれまあ』
WRSSC-03『・・・・・どこでこれを?』
WRSSC-02『付近を飛行中のヘリからです・・・右目の眼帯など、細部は違いますが、恐らく』
WRSSC-03『・・・・・『彼』だろうな。間違いなく』
WRSSC-04『・・・ははは、何、あいつはまだ恥を、醜態を晒すつもりなの? あんな顔して・・・相変わらず愚かね、じっとしていてだれにも目を向けられずコソコソと生きていけばいいものを』
WRSSC-03『だがイレギュラーとしては十分だ。そうだろう?』
WRSSC-01『ああ』
WRSSC-01『仮にも歴史研究部の副部長を務めた男だ。用心するに越したことは無いだろう』
『朽木光男が復活した』
左側を、ワイバーン型が抜けていって・・・・・散った。
「!?」
直後、四機のWGが飛んでいった。だがそれは、戦略機動隊所属では無い。
青紫色の、丸みを帯びた形状、見たことも無い機体だ。
ザーフが叫んだ。
「ウィザドニアのMark8(マークアハト)!?」
「ザーフ、起きたのか? いやいい、Mark8って?」
「ウィザドニア・インダストリアル製のWG、先行量産型ができてつい先日ウィザドニア国軍に配備されたばかりの最新型。でもあのカラーリングは恐らく王立学園所属だ!!」
「なぜそんなものがここに!?」
「わからん。大体、ここまでフリークスの侵攻を許したこと自体無い」
「いつもどこで戦っているんだ?」
「高槻の辺りだ。悪くて中書島まで」
「じゃあ相当攻め込まれているな」
「みんな!! あれを!!」
見れば、ヘリの進行方向、町が見える。浜大津だ。しかし、明らかにまずい。
「燃えてる!?」
町のあちらこちらで火災が発生している。規模は少ない。だが、
「このままだと町が全て焼けるぞ!!」
アヴェントが叫んだそばから、また町の一角が火を噴いた。よく見れば、町のいたるところにフリークスがいた。
その時、ザジルが叫んだ。
「横だ!!」
ヘリの右側、ワイバーン型がこちらに向かって突っ込んでくるのが見えた。
「どけえ!!」
そう言ってザーフは俺を押しのけ、片手で2メートルほどの長い筒のような物を構える。
対フリークス用の個人携帯型魔力砲だ。
「発射(ファイア)!!」
衝撃と共に緑色の光球が発射された。それはもの凄い速さで飛んで行き、ワイバーン型に直撃した。
ワイバーン型はバランスを崩し、下のほうに落ちていった。
「ワイバーン型がここまで来るとは・・・パイロット、浜大津総合学校はまだか!?」
「分かっている・・・くそ、ウィザードシステムが使えない!!」
「使えない!?」
俺は思わず聞き返した。
「使えないって!?」
「ああ。おかげさまで無線を使うしか通信手段が・・・あった!!10時の方角。確認した!!」
浜大津総合学校だ。だが、
「校内にフリークスを確認・・・・・発光信号!?」
空に緑色の光が上がった。校舎の間からだ。
それと同時にノイズまじりの無線が入った。
『じょ・・・のへ・・・聞こ・・・か・・・・・・えます・・・・』
「周波数は185に合わせてください。民間用はそれです!!」
ラビラトスの指示通り、パイロットが無線のダイアルを回した。
『上空のヘリ、聞こえますか!?聞こえますか!?』
「こちら戦略機動隊。回収要請を出したのはお前か!?」
「よかった、通じました!!・・・はい、そうです!!」
「そうか、グラウンドまで行けるか!?」
「はい、なんとか!!」
「こちらからも支援する!!・・・お前達も手伝ってくれ!!」
「「「了解」」」
その時、見た、前方、大きなクモのようなやつがいる。機械のような、生物のようなそれは明らかに
「フリークス!?」
「タランチュラ型だ!! 攻撃来るぞ!!」
そう言った時、赤色のレーザーがヘリのすぐ近くを突き抜けていき、山に直撃した。
「あんなものに当たったらひとたまりも無いぞ!!」
「分かっている。しっかりつかまれよ!!」
直後、タランチュラ型を緑色の光が貫いた。
「・・・・・へ?」
一つだけでない、二つ、三つ、合計四つの緑色の光がタランチュラ型を貫いた。
「何がどうなっている!?」
アヴェントの叫び、その解答として、俺の端末が鳴った。通信だ。出る。
『先輩、聞こえますか!? 聞こえますか!?』
「交野か!?」
上空から、何かが飛んできた、それは緑色のラインを描きながら向かってきて、目の前で停止し、ホバリングした。
それは騎士だったった。
鉄でできた騎士だ。
灰色の装甲、バイザー型のセンサー、背中には羽のようなものが付いている。大きさは大体30メートルほど、
以前見たときはもっとがっしりとしていたが、今はスリムになっている。武装も前のようにごちゃごちゃしておらず、非常にシンプルな二つの剣のみになっていた。背中の羽からは緑色の粒子がでている。魔力粒子だ。バイザーが緑色に光り、こちらを捉えた。
俺はこれを、知っていた。
これは交野の、
「『ミュートゥス・ギア』・・・『ヴィントシュトース』か!!」
『はい先輩。エルメス局長に頼まれて応援に来ました!!』
「エルメス局長が・・・しかしどうやってここまで?」
『私が誘導しました』
その声は、
「アレサ!?」
『はい。交野様と同じようにエルメス局長に頼まれて』
「まだ動けないじゃあ無かったのか」
『体の方の調節にはまだまだ時間がかかりますが、意識は動けます』
『ウィザードシステムが使えないため、衛星を使って探したんです』
「操縦は?」
『久しぶりなので前より腕は落ちていると思いますが、行けます!!』
「分かった。今から民間人の回収を行う、完了するまで援護を頼む」
『了解!!』
通信が切れた。
「今の、同じクラスの交野か!?というかあれはなんだ!?」
ザーフが驚いた表情で聞いてきた。当然だろう。
「WGを超えるもの、とだけ言っておこうか。とにかく交野が援護している間に回収する。行って下さい!!」
「なんだかよくわからんが了解した!!」
上空から『ヴィントシュトース』が援護している中、機体が下降し、浜大津総合学校に向かう。校舎が見えてきた。
「ザジルとラビラトス、右の方の監視を頼む、見つけたら言ってくれ!!」
「何を見つければいいの!?」
「フリークス以外に決まっているだろうが!!」
機体はさらに下降し、校舎のすぐ上まで来た、が、
「ザジル、確認できたか!?」
「いや、こっちにはいない。グラウンドはどうだ!?」
「駄目だ、いない・・・どこに行った!?」
「グラウンドの向こう側!!」
アヴェントが言った方を見ると、走ってくる奴が二人、一人は金髪ケモ耳の幼女、もう一人は緑髪の女・・・って
「リナイ!? イータ!?」
間違いない、しかしリナイ達が置かれている状況は非常にまずかった。それは、
「タランチュラ型レベル1、多数確認!!上から来ている!!」
「援護!!」
ヘリについてる機銃を撃つ。リナイたちに当たらない様に、しっかりと狙いをつける。
効果は無いかもしれないが、足止め程度にはなるだろう。
「このまま強制着陸する。気をつけろ!!」
ヘリが地面すれすれの位置まで降下する。リナイ達との距離は約100メートル。
「急げ、急ぐんだ!!早く来い!!!」
距離約50m。だがフリークスの方が速い。
「発射(ファイア)!!」
ザジルが個人携帯型魔力砲で一番近くの一匹を撃破する。
残り10m
「走れええええええええええ!!!」
リナイとイータがヘリに飛び込んだ。それと同時に俺は叫んだ。
「回収(リカバリ)!!!」
「急速離脱!!!」
ヘリが一気に上昇し、高度を上げていく。眼下にはフリークス達で埋め尽くされようとしている浜大津総合学校のグラウンドがあった。
「このまま山城基地に向かって下さい。ここは危険です」
「同感だ。管制塔に連絡を入れる」
そう言ってパイロットは無線で呼びかけた。
「こちらG35、ヤマシロ・タワー、応答願う」
『こちらヤマシロ・タワー』
「民間人の回収に成功した。今から山城基地に帰投する」
『あー、もしかして・・・まだその空域にいるのか?』
「そうだが」
『そうかだったら・・・当たるなよ!!!』
その時だった。無数の光が、フリークスの群れを貫いた。
「・・・へ?」
『先輩、上です!!』
交野からの通信、上を見るとそこには、
「航空艦!?」
それもただの航空艦ではない。
デカイ。
とにかくデカイ。
三胴型、長さは目算で15キロメートルはある。いやしかし、どっかでみたことがあるような・・・て、
「リナイ・イナク!?」
ギガル皇国第二航空艦隊旗艦、リナイ級リナイ型航空戦艦『リナイ・イナク』
まさにそれは先日淡路島で見たものだった。
(ギガル皇国の第二航空艦隊の旗艦が何故ここに!?)
だが、そんなに悠長はしてられない。
「全速離脱です!!急いでください!!いつ流れ弾が当たってもおかしくない!!」
「いや、それは無い」
イータが、否定した。
「何故そう言いきれる」
「私がこちらの存在を『リナイ・イナク』に伝えた。」
その言葉通りだった。
無数の赤い光がフリークスを貫きながらも、こちらを掠める光は一つもない。
本当のようだった。
「まったくリナイ様がいるというのに・・・何たる不祥事、後で本国に連絡しなければ」
「大丈夫、だよ。無事、だから、伝えて」
「・・・そうでありました。ではそのように」
イータはリナイに向かってそう言った。
まるで王とその従者のようだ。
「・・・イータ、お前は何者だ」
「・・・ここまで聞いてしまえば仕方があるまい。答えよう」
イータはきりっとした声で言った。
「私は、ギガル皇国近衛軍所属、イータ・ナシュトゥル。そしてこちらにおられるのは」
一泊入れて、キメ顔で、イータはぶちまけた。
「ギガル皇国第二神にして、ギガル皇国皇位継承権第二位、ギガル皇国第二航空艦隊総司令であらせられる。『鉄神』リナイ・イナク様である!!」
俺は、リナイを見た。
そして気づいた。
目の前の金髪ケモ耳幼女から、大きな霊圧が出ていることに。
それに気づいたと同時に、リナイから神々しい雰囲気が出ていることにも気づいた。
それは、絶対触れては、犯してはいけない、領域、
聖域。
神聖なもの。
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神だ。
本物の、神だ。
俺がそれについて半ば思考停止に陥っている中、ラビラトスが言った。
「ねえ、イータさん」
「なんだ?」
「それ、ばらす必要・・・あった?」
「「「・・・・・・・」」」
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WRSSC-04『へー、あっそう。そういうこと。確かにこれは『緊急事態』ね。副会長、あなたの見立ては?」
WRSSC-02『形状は異なりますが、恐らく『ヴィントシュトース』と推測されます』
WRSSC-03『『ヴィントシュトース』だと!?あいつは死んだ筈、だれも動かせるわけが・・・まさか』
WRSSC-01『交野勝が生きている、ということだ』
WRSSC-04『待ちなさい。何故、そう言いきれるのかしら? 『神の力』の中でも『ミュートゥス・ギア』は別よ。『選ばれし者』以外にも動かせる可能性は無きにしも非(あら)ずよ』
WRSSC-03『・・・何か、確たる証拠、またはそれに順ずる何かがあるのか? お前が確信できる何かが」
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WRSSC-02『はい』
WRSSC-04『・・・・・あれまあ』
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