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番外編
それぞれの婚約者話 シュリ×スフレ
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“フレイはオレだけの呼び方だからね。他の人に呼ばせたらダメだよ、フレイ”
婚約者になる前から、そう言ってスフレの特別になりたがったシュリ。婚約出来る歳になると、直ぐさまスフレの元へ求婚に走った。自身の釣書を手にして。
好き、という感情に、種類があると気付いたのはいつだったか。
シュリは気付いたときには、スフレが特別だった。
そんな日常が、突如変化する。
何か、どこか違和感のある女生徒が近付いて来た。
オプト伯爵家の娘、スウィーディー。
初めのうちは違和感だったものが、徐々に形を帯びてくる。
狙いはリスラン。
だが、リスランの何を狙っているのかが掴みきれなかった。
王太子の立場か、国の機密情報か、王太子妃の座か、リスラン自身か。あるいは、まったく予想だにしていない何かか。
それを見極めるために泳がせているのだが。
気持ち悪い。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いっ!
スウィーディーに触れられる度、シュリは全力で顔を背け、青ざめて今にも吐きそうな顔でリスランに目で訴える。
もういいからコイツ殺そう。
今までの努力が水の泡になるから耐えろと、リスランだけではなくスフレにも言われ、吐き気と殺意を一生懸命抑えながら耐える日々。
スウィーディーのことがあった日は、スフレからのご褒美があったから耐えられた。
スフレからのご褒美。それは、ひとつだけ、シュリの望みを叶えるというもの。
あるときは膝枕を所望し、あるときは膝の上で抱っこしたままあーんしてもらい、またあるときは、鎖骨の下にキスマークをつけてもらい。
スフレとスウィーディーのギャップに苦しみながらの、とにかく忍耐の日々であった。
スウィーディー、絶対あの世に送ってやる。
これ以上スウィーディーに時間を割いていたら、ワーテラー公爵令嬢様が足りなくなってしまうとリスラン様は考えているだろう。だから、一番被害を被っているオレに、刑の裁量を委ねてくれるはずだ。
オレの中で、アイツの刑は西の砦一択。
処刑なんて生温い。
散々苦しんでから死ね。
こうして数ヶ月に及んだ煩わしい日々からやっと解放され、シュリは戻って来た日常を謳歌する。
「フレイ、熱心に何を読んでいるのかな」
「シュリ様、ごきげんよう。これは、“世界の有名な石二十選”ですわ」
「石?宝石のこと?」
「いいえ。石です。例えばこれですが――」
スフレが読んでいた本は、歴史的に有名な石を紹介するものだった。何故有名になるに至ったか、その詳細が物語のように綴られた作品。大抵が、歴史に名を残すほどの人物の首を晒すために置かれていた石、とか、動かそうとすると何故か不慮の事故に遭う石、とか。
「フレイ、ストップ!いい、いい、もういい!何でそんな怖いモノ読んでるの?!」
「怖い、ですか?いえいえ、それは表面を捉えただけのものですわ、シュリ様。これらは、理由があって選ばれたもの故、有名になったのです。その選定理由がまた秀逸なのですよ」
シュリの婚約者は、見た目おっとり癒やし系のご令嬢。けれど、その頭脳は驚くほど多角的に物事を捉える才女だ。
スウィーディーの件も、様々な切り口から意見や提案をしてくれた、影の立役者である。国王たちには、時間をかけすぎと言われてしまったが、それでもスフレのおかげで、思ったよりも早い段階でノヴァを呼び寄せられたのだ。
「ホントにオレの婚約者殿は」
苦笑しながら、シュリはそっとスフレの髪を撫でる。
ほんのりと頬を染めて微笑むスフレのその顔が、シュリは一番好きなのだ。
「さて、愛しい婚約者殿。そろそろ本ではなく、オレに構って?」
*おしまい*
婚約者になる前から、そう言ってスフレの特別になりたがったシュリ。婚約出来る歳になると、直ぐさまスフレの元へ求婚に走った。自身の釣書を手にして。
好き、という感情に、種類があると気付いたのはいつだったか。
シュリは気付いたときには、スフレが特別だった。
そんな日常が、突如変化する。
何か、どこか違和感のある女生徒が近付いて来た。
オプト伯爵家の娘、スウィーディー。
初めのうちは違和感だったものが、徐々に形を帯びてくる。
狙いはリスラン。
だが、リスランの何を狙っているのかが掴みきれなかった。
王太子の立場か、国の機密情報か、王太子妃の座か、リスラン自身か。あるいは、まったく予想だにしていない何かか。
それを見極めるために泳がせているのだが。
気持ち悪い。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いっ!
スウィーディーに触れられる度、シュリは全力で顔を背け、青ざめて今にも吐きそうな顔でリスランに目で訴える。
もういいからコイツ殺そう。
今までの努力が水の泡になるから耐えろと、リスランだけではなくスフレにも言われ、吐き気と殺意を一生懸命抑えながら耐える日々。
スウィーディーのことがあった日は、スフレからのご褒美があったから耐えられた。
スフレからのご褒美。それは、ひとつだけ、シュリの望みを叶えるというもの。
あるときは膝枕を所望し、あるときは膝の上で抱っこしたままあーんしてもらい、またあるときは、鎖骨の下にキスマークをつけてもらい。
スフレとスウィーディーのギャップに苦しみながらの、とにかく忍耐の日々であった。
スウィーディー、絶対あの世に送ってやる。
これ以上スウィーディーに時間を割いていたら、ワーテラー公爵令嬢様が足りなくなってしまうとリスラン様は考えているだろう。だから、一番被害を被っているオレに、刑の裁量を委ねてくれるはずだ。
オレの中で、アイツの刑は西の砦一択。
処刑なんて生温い。
散々苦しんでから死ね。
こうして数ヶ月に及んだ煩わしい日々からやっと解放され、シュリは戻って来た日常を謳歌する。
「フレイ、熱心に何を読んでいるのかな」
「シュリ様、ごきげんよう。これは、“世界の有名な石二十選”ですわ」
「石?宝石のこと?」
「いいえ。石です。例えばこれですが――」
スフレが読んでいた本は、歴史的に有名な石を紹介するものだった。何故有名になるに至ったか、その詳細が物語のように綴られた作品。大抵が、歴史に名を残すほどの人物の首を晒すために置かれていた石、とか、動かそうとすると何故か不慮の事故に遭う石、とか。
「フレイ、ストップ!いい、いい、もういい!何でそんな怖いモノ読んでるの?!」
「怖い、ですか?いえいえ、それは表面を捉えただけのものですわ、シュリ様。これらは、理由があって選ばれたもの故、有名になったのです。その選定理由がまた秀逸なのですよ」
シュリの婚約者は、見た目おっとり癒やし系のご令嬢。けれど、その頭脳は驚くほど多角的に物事を捉える才女だ。
スウィーディーの件も、様々な切り口から意見や提案をしてくれた、影の立役者である。国王たちには、時間をかけすぎと言われてしまったが、それでもスフレのおかげで、思ったよりも早い段階でノヴァを呼び寄せられたのだ。
「ホントにオレの婚約者殿は」
苦笑しながら、シュリはそっとスフレの髪を撫でる。
ほんのりと頬を染めて微笑むスフレのその顔が、シュリは一番好きなのだ。
「さて、愛しい婚約者殿。そろそろ本ではなく、オレに構って?」
*おしまい*
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