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新婚旅行編
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この作品は、拙作、美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前々作) と 美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れる程の愛(前作) の間のお話しになります。こちらの作品のみでもお楽しみいただけるとは思いますが、前々作の 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 をお読みいただいてからの方が、より楽しめるかと思います。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。今作品後、前作の 美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れる程の愛 が続きます。前作を先にお読みいただいてももちろん差し支えございません。よろしかったらお付き合いください。
*∽*∽*∽*∽*
アリスが私と婚約を結んだのは、十三の時。
学園で、見つけた、と思った。
すべて言われるままに行動をしてきた自分が、初めて欲しいものが出来た。
何としてでも手に入れる。
誰にも邪魔はさせない。周囲や親はもちろん、アリスにさえ。
そうして手に入れたアリスは、とても小さかった。
私は標準的な体型だ。そんな私の腕の中に、すっぽりと収まってしまう小さなアリス。けれど、その心は、誰よりも大きかった。
人として未熟な私を、根気強く人にしてくれた。
アリスは誰よりも幸せにならなくてはならない。
幸せにならない方がおかしい。
その幸せをもたらすのは、私でなくてはならない。
他の誰か、何かによってアリスが幸せになるなんて、あり得ない。
*~*~*~*~*
「部屋はひとつだ。それぞれになど必要ない」
アリスをディレイガルド邸に迎え入れる準備が着々と進む中、アリスのための何もかもが嬉しくて、ご機嫌だったはずのエリアストの、冷たい声が響いた。
「あなたはそれがいいのでしょうけれど、アリスちゃんは一人になりたいこともあるでしょう」
部屋の仕様を決めているときのことだ。アリスの好みの部屋にするため、エリアストと母アイリッシュが話をしていると、話の流れの中で、部屋が別々であると知ったエリアスト。急に部屋の温度が下がり、控えていた侍女たちが困ったように眉を下げ、腕を摩る。恐ろしいとは思うが、慣れたものだ。
「母上。エルシィがそんなことを望むと本気でお思いですか」
ブリザードが吹き荒れている錯覚が見える。
エルシィが、自分が側にいるのに一緒にいたいと思わないことがあるなどあり得ない。
謎の自信に裏打ちされた強気の発言に、アイリッシュは呆れた溜め息を吐く。
「もう。自分の都合ばかり押しつけていると、さすがのアリスちゃんだって、「エル様キライ」なーんて言うかもしれないわよ?」
「似ていないし似るはずもないのでエルシィを真似ようとするのは止めてください」
「気にして欲しいのはそこじゃないのよ、エリアスト」
もう、と頬を膨らませるアイリッシュを気にすることなく、エリアストはアリスの好みそうなファブリックを選ぶべくカタログに目を落とした。そうしながら、寝室を挟んでそれぞれにあてがわれる予定だったという部屋を、大幅に改造すべく思考を巡らせる。
こうして出来上がった部屋に、アリスと二人。
式を終え、湯殿が調うまでの僅かな空いた時間。明日から二週間は、何も予定はない。アリスとの部屋で、幸せな話をしている。
「エルシィ、二週間しかないから、あまり遠くへは行けないが、以前話していた通り、無理のない日程で二カ所、行こうと思う」
エリアストの膝の上で、くったりとその胸に頭を預け、呼吸が整わないままアリスは、真っ赤な顔で弱々しく返事をする。そんな姿も愛おしすぎて、アリスの顔中にキスの雨を降らせながら、小さな体を抱き締める。
今夜は初夜。それを考えるだけで、幸せすぎてどうにかなってしまいそうだ。だが、アリスの気持ちが追いつかないなら待つ。すごくすごく残念だけど、待つ。明日は予定を入れていない。旅行へ行くのは明後日からだ。アリスの体を慮っての日程だが、初夜をただ手を繋ぎ、抱き締めて眠るだけに終わったとしても、それはそれは幸せな一日。明日はただまったりアリスと過ごすことだって、夢のようだ。
アリスを、もう、ファナトラタ家へ帰さなくていい。
そう思うだけで、エリアストの心はこの上なく幸せだった。
*つづく*
改装ではなく、改造です。間違ってないです。
それはそれで幸せな一日、ではなく、それはそれは幸せな一日、で間違ってないです。
*∽*∽*∽*∽*
アリスが私と婚約を結んだのは、十三の時。
学園で、見つけた、と思った。
すべて言われるままに行動をしてきた自分が、初めて欲しいものが出来た。
何としてでも手に入れる。
誰にも邪魔はさせない。周囲や親はもちろん、アリスにさえ。
そうして手に入れたアリスは、とても小さかった。
私は標準的な体型だ。そんな私の腕の中に、すっぽりと収まってしまう小さなアリス。けれど、その心は、誰よりも大きかった。
人として未熟な私を、根気強く人にしてくれた。
アリスは誰よりも幸せにならなくてはならない。
幸せにならない方がおかしい。
その幸せをもたらすのは、私でなくてはならない。
他の誰か、何かによってアリスが幸せになるなんて、あり得ない。
*~*~*~*~*
「部屋はひとつだ。それぞれになど必要ない」
アリスをディレイガルド邸に迎え入れる準備が着々と進む中、アリスのための何もかもが嬉しくて、ご機嫌だったはずのエリアストの、冷たい声が響いた。
「あなたはそれがいいのでしょうけれど、アリスちゃんは一人になりたいこともあるでしょう」
部屋の仕様を決めているときのことだ。アリスの好みの部屋にするため、エリアストと母アイリッシュが話をしていると、話の流れの中で、部屋が別々であると知ったエリアスト。急に部屋の温度が下がり、控えていた侍女たちが困ったように眉を下げ、腕を摩る。恐ろしいとは思うが、慣れたものだ。
「母上。エルシィがそんなことを望むと本気でお思いですか」
ブリザードが吹き荒れている錯覚が見える。
エルシィが、自分が側にいるのに一緒にいたいと思わないことがあるなどあり得ない。
謎の自信に裏打ちされた強気の発言に、アイリッシュは呆れた溜め息を吐く。
「もう。自分の都合ばかり押しつけていると、さすがのアリスちゃんだって、「エル様キライ」なーんて言うかもしれないわよ?」
「似ていないし似るはずもないのでエルシィを真似ようとするのは止めてください」
「気にして欲しいのはそこじゃないのよ、エリアスト」
もう、と頬を膨らませるアイリッシュを気にすることなく、エリアストはアリスの好みそうなファブリックを選ぶべくカタログに目を落とした。そうしながら、寝室を挟んでそれぞれにあてがわれる予定だったという部屋を、大幅に改造すべく思考を巡らせる。
こうして出来上がった部屋に、アリスと二人。
式を終え、湯殿が調うまでの僅かな空いた時間。明日から二週間は、何も予定はない。アリスとの部屋で、幸せな話をしている。
「エルシィ、二週間しかないから、あまり遠くへは行けないが、以前話していた通り、無理のない日程で二カ所、行こうと思う」
エリアストの膝の上で、くったりとその胸に頭を預け、呼吸が整わないままアリスは、真っ赤な顔で弱々しく返事をする。そんな姿も愛おしすぎて、アリスの顔中にキスの雨を降らせながら、小さな体を抱き締める。
今夜は初夜。それを考えるだけで、幸せすぎてどうにかなってしまいそうだ。だが、アリスの気持ちが追いつかないなら待つ。すごくすごく残念だけど、待つ。明日は予定を入れていない。旅行へ行くのは明後日からだ。アリスの体を慮っての日程だが、初夜をただ手を繋ぎ、抱き締めて眠るだけに終わったとしても、それはそれは幸せな一日。明日はただまったりアリスと過ごすことだって、夢のようだ。
アリスを、もう、ファナトラタ家へ帰さなくていい。
そう思うだけで、エリアストの心はこの上なく幸せだった。
*つづく*
改装ではなく、改造です。間違ってないです。
それはそれで幸せな一日、ではなく、それはそれは幸せな一日、で間違ってないです。
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