美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛

らがまふぃん

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アリスデビュタント編

最終話

 「ディレイガルドと少し話をしたい。席を外してもらえるか」
 デビュタントの翌日、王太子ディアンが、エリアストを尋ねて来た。何事かと周りは目を白黒させるが、慌てて部屋を後にした。エリアストは机から離れることなく、ディアンを軽く睨む。それだけでディアンの背中には汗が伝う。
 「仕事の邪魔をして、すまない」
 「まったくですね」
 冷たい空気が漂う。
 「あのぅ、少々お伺いしてもよろしいでしょうか」
 頑張って口を開くディアンに、さっさと用件を言えとばかりに冷気が強まる。
 「奥方に、奏上を述べさせたのは、何故かな、と。奏上を変えることも、出来たのではないかな」
 法を扱う者は、式典を扱う者と切り離せない。式典を扱う者と議論し、デビュタントの奏上を変更することも、難しいが可能だ。エリアストはその立場にいるのだ。だからこそ不思議だった。家族以外がアリスの名を呼ぶことを許さないほど執着しているエリアスト。それが、あの内容の奏上を容認していたことがわからない。
 「貴様は無能か」
 「すみません」
 「貴様如きがエルシィの気持ちを理解しようものなら地の果てまでも追い詰めて生き地獄を味わわせるがな」
 無能で良かったです。
 エリアストはひとつ息を吐く。
 「デビュタントは貴族であれば必須。人生最大のイベントと言ってもいい。そうなるとどうするか」
 「幼い頃から奏上を練習している、ということかな。ああ、なるほど」
 そこで気付く。アリスは、自分のせいで他の人たちの幼い頃からの努力をないことになど出来ない、ということだろう。それはアリスの心を軋ませる行為だと。
 「私が法を扱う者この道を選ぶことが出会った直後であれば、それも可能だっただろう。だが、遅すぎた。私の人生の汚点だ」
 そこまでですか。でも出会ったの学生の時でしょ?法相の道を選んでいても、口出しは出来なかったのでは。いや、ディレイガルドだ。人を使えばどうとでもなるか。実際若奥方が学園に入る頃から、ディレイガルドゆかりの者が法務に携わり始めていたからな。その頃、法相の道に決めたのかなーなんて思っていたけど。
 「そんなことを聞くために私の時間を奪ったのか、王太子」
 ひっ。
 「すみませんすみません、ですが、これからのことを考えると、いろいろ知っておいた方がいいのかなとっ」
 ディアンが王になったら、いずれ当主となるエリアストとは切っても切れない縁となる。恐ろしいが、少しでも為人ひととなりを、行動パターンを、思考回路を把握したい。遠くで見つめているだけではダメなのだ。
 エリアストはジッとディアンを見た。
 ディアンはダラダラと汗を流すが、嘘などついていなし、つく必要もない。
 「ふむ。まあいい。邪魔をするなよ」
 「はいっ」
 時々は許してくれるらしい。前途洋々とは言えないが、悪くない感触に、ディアンは顔を綻ばせた。



*アリスデビュタント編おしまい*

アリスのデビュタントのお話し、いかがでしたか。
王女様や商人一家が纏めて一掃されました。
エル様の恨みは相当深かったようです。
この後番外編一話を挟んで、新章夢幻の住人編をお届けいたします。
引き続きお付き合いくださると嬉しいです。
感想 5

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