美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛

らがまふぃん

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エリアストとアリスの形編

 こちらの内容は、妊娠・出産にかかわる、非常に繊細な内容を取り扱っております。不快に思うことや、表現があるかと思いますので、何でも大丈夫、気にしない、という方のみ、お読みください。あくまでも作品であるとご理解いただける方のみお読みいただきますよう、お願い申し上げます。
 時系列的には、序盤は新婚旅行から少し経った頃、中盤辺りからは、ディアン新王即位一年後くらい以降といった感じです。


*∽*∽*∽*∽*


 「寒くないか、エルシィ」
 窓際のロッキングチェアに座り編み物をするアリスの膝掛けを掛け直し、お腹に軽くて温かなクオーターケットをそっと掛け直す。
 「はい。エル様のお陰で、少しも寒くありませんわ。ありがとうございます、エル様」
 二人仲良く微笑み合う。クオーターケットの上から二人、そっとお腹に手を添えると、もこもこと優しくお腹が動いた。

*~*~*~*~*

 エリアストがアリスを見つける前、ディレイガルド現当主ライリアストと妻アイリッシュは、当然の如く跡継ぎを望んでいた。公爵家を運営する力は充分あるが、誰にも興味を示さず、淡々と物事を行う息子に不安があった。これでは跡継ぎが出来ないと、気を揉んでいた。
 けれど、アリスを見つけた。
 しかし、エリアストのアリスへの執着は、最初から凄まじかった。
 剥き出しの欲望をぶつけていた。ただ、自分の想いを一方的に。
 それが、いつからか。アリスをおもんぱかれるようになっていた。アリス以外に接するときも、アリスの言葉を一つ一つ考えて行動していたことがわかるほどには変わっていた。
 アリスの望みのままに。
 そう行動していることが、ありありと伝わった。
 アリスが望みを口にすることは滅多にない。だから、口にしない望みを、エリアストは守ろうとする。

 エリアストが傷つきませんように。
 エリアストが健やかでありますように。
 エリアストが、幸せでありますように。

 それを叶えるためには、自分がどう行動すれば良いか。アリスの願いだから、エリアストは自分自身も大切にするようにしている。アリスの本懐は、アリスの願い関係なしに、自身を大事にして欲しいところではあるのだが。
 こうしていつの間にか、アリス至上主義が出来上がっていた。
 そんなエリアストが、アリスの望みに躊躇ためらいを見せていることがあった。
 子どもだ。
 アリスは子どもが好きだ。
 慈善活動で、孤児院に積極的に関わりを持っている。何度かアリスと孤児院を訪問し、たくさんの子どもに囲まれて嬉しそうなアリスを見ているのだ。アリスがエリアストとの子どもを望まないはずがない。
 その願いに躊躇う理由はひとつ。
 エリアストは、出産のリスクを恐れている。
 命を懸けて、命を生み出すのだ。
 絶対の安全など存在しない。だが、その、危険とわかっていることに、アリスを晒さなくてはいけないことが、どうしても耐えられない。
 そんなエリアストの気持ちが伝わっていたのだろう。
 ライリアストとアイリッシュは、二人の間に子どもが出来なければ傍流から養子を迎えればいい、とエリアストには伝えていた。
 そんな両親の気遣いは、エリアストにとって正直どうでも良かった。
 エリアストは、アリスと自分の子どもを、アリスに何の危険もなく授かる方法が欲しいのだ。



*つづく*
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