自分がされて嫌なことは、人にしてはいけません。と、言うことは、だ。

らがまふぃん

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今世も恋愛とは無縁らしい

 「お父様、いい加減にしてくださいませ」
 父の座る机に、三人目の釣書を叩きつけると、酷く冷めた目で執務中の父を見下ろす。
 「同世代など軟弱者しかおりません。騎士団長のように屈強な殿方をと申しておりますのよ。何故わたくしの時間をムダにするのです。でもそうですわね。詐欺王子の護衛騎士はなかなかでした。あの方は年下はお嫌いかしら」
 「ファー、お願いだから、王族との時間をムダとか言わないで?王子もどうして詐欺なの?王子が何かしたの?」
 「お顔と中身が別物ですわ。詐欺もいいところでしてよ」
 ファーに言われたくないんじゃないかなあ、という父親の発言は聞こえない。
 Sッぽいクセにヘタレチキンが。期待した分ガッカリだよ。
 「とにかくもうお見合いはいたしません。わたくし、伴侶は自分で見つけて参ります。お父様の見る目のなさにはもうウンザリですの」
 「まだ二回しかお見合いしてないよ?!三人目この彼はね、私たちと同じ、侯爵家の子だ。サーティス・フレイネス」
 「名前が弱そう」
 「名前で決めないでっ。あの二人だって、超優良物件だったんだからね?!」
 鼻で嗤ってやった。
 「このピ―――が」
 放送禁止用語を使ってやったら、お父様が膝から崩れ落ちた。
 「ファー!お父様に向かってそのような」
 「おまえはピ―――だな」
 お母様も膝から崩れ落ちた。


∴**。・**∵**。・**‥*∴


 「初めまして、ガーディニー嬢。サーティス・フレイネスです。よろしくお願いします」
 柔らかな水色の髪に、水色の目が優しく細められた。
 何だかんだあって、これで最後だと見合いを受ける。これでダメなら自分で探す。見つからなかったら、前世と同じくお一人様で。そう決めた九歳の秋。
 人生最後のお見合いは、名前に違わず弱そうな男だ。八歳というから弱いのは仕方がないか。年下というだけで却下したい。だがこれまでの見合い経験で学んだことから、人は見た目ではないということだ。
 彼は見た目も年齢も裏切る、隠れドSかもしれない。
 「サファイア・ガーディニーと申します。よろしくお願いいたします」
 期待を込めて挨拶をしてみた。
 「とても可憐な方ですね。初めてのお相手があなたのように可憐ですと、あなたにフラれてしまったら、次が探せませんね。困ったな」
 「そうですか。困ったことになって困りましたね。ご愁傷様です」
 ムリだ。何このゾワゾワする感じ。八歳の子が言うセリフですか?ホスト?ホストクラブなのここ?
 「それではご機嫌よう」
 もちろん席に着かずに即行回れ右だ。
 「え?あ、お、お待ちください、ガーディニー嬢っ」
 掴まれた手から全身に鳥肌が広がる。
 「無礼者があああぁっ!」
 振り返り様に、鳩尾みぞおちに拳を叩き込んでやった。ホストは表現出来ない声を吐き出しながら吹っ飛んだ。お互いの両親の目が点。だがそんなことはどうでもいい。
 アイツ、ムリ。ダメ、絶対。
 ホストの両親に近付く。
 「どこの家の方々だったかしら?ねぇ?」
 金輪際近付かずに済むよう名前をきちんと覚えよう。そう思って声をかけて思う。わざわざ本人たちに聞かなくても、自分の両親に聞けば良かったな、と。しかし、ホストの両親の顔色が悪いな。息子を殴ってすみませんでしたー。名前は名乗ってくれそうもないからもういいや。
 一族郎党根絶やしにするぞ、と言外に込められている?!と思われていると、サファイアは知らない。
 「さ、息子さんはあちらですわ。次はないと思いますが、ご機嫌よう」
 ホストキモい。もう関わりたくない。
 次はない、ご機嫌よう?殺られる!と思われていると、やっぱりサファイアは気付かないのだった。

 そうしてお気に入りナンバー3だということも、例の如く。



*つづく*
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