死んだら異世界だった件について！

プロローグ

生きるとは何か考えたことはあるか？
生命とは永遠ではない。
人や動物はいつかは死んでまた新しい生命が誕生する。
そうして命というのは巡回している。
人は短い人生の中で一生懸命に働き、生きて社会の役に立とうとしている。
しかしそれは何の意味があるのだろうか？
俺には到底理解ができない。
一生懸命働いて得られるものは金だけだろ。
家族のため？社会のため？ふざけんな！正直死にたくも思っている。
毎日学校行って勉強して、退屈だ。
けど、生き物って死んだらどうなるんだろう。
死後の世界はあるのだろうか。
もしも、死後の世界があるのならそれは、毎日が楽しい天国だとありがたい。
そんなことを思いながら放課後の学校から帰ろうとした。
外は夕日が綺麗で不思議に落ち着く感じだった。
学校から少しばかり離れた信号が青だったから小走りで渡ろうとした時だった。

『ぶぉぉぉぉん。』

信号は確かに青だった。
横から大型のトラックが勢いよく飛び出してきたのだ。
骨が砕けるような痛みが全身を走りぬけた。
一瞬だが俺は後悔をした気がした。
もう少しだけ人生を楽しめばと…。
しかし、体が不思議な何かで包まれていく感覚がしている。
恐る恐る目を開けるとそこはずっと奥まで平原がのびていた。

『どこだよここは。確か俺はトラックに轢かれて…。』

『はい。あなたはトラックに轢かれて死にました。』

その若々しい声につられて振り返ると、そこには厚いコートに杖を持ってオレンジ色の髪が輝いているようにみえた。その女の子はこちらが振り返るとニコニコしながら口を開いた。

『あなたはこの世界で憎き魔王を倒すために勇者候補として選ばれました！』と彼女の言った非現実的な言葉に俺は困惑した。

けど、正直理解しそうにもなっている。俺はトラックに轢かれて死に異世界…つまり死後の世界に来たというわけだ。
だけど、アニメや漫画に出てくるような風景でいまいち死んで異世界に来たという実感がわかない。
それは多分まだこの世界を信じ切れていないのだと思う。

『無理ありませんよ。皆最初はそのような反応をします。』そういうと彼女は少し悲しそうな顔をした。

そのことはもういいんだ。
ただ俺は何のとりえもないこんな自分がどうやって魔王と戦えばいいのかそれだけが不安だった。

『その…俺はどうやって魔王と戦えばいいんですか？特技とかも特にないんで。』

『あ！それなら大丈夫です！この世界に来た時自然にその人に合った特殊能力がもらえているはずなので。』

『はあ。そうですか。』それだけ聞ければ安心だった。何かしらの能力を持っていれば何とか渡り合えるかも
。
そう希望を持っていたのは少しの間だけだとも知らずに俺の異世界生活が始まろうとしている。