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第2章 唯一の友達
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突然だが、私には高校2年生になるまでの17年間、友達と言えるような人物はいなかった。中学の頃は、話し相手くらいはいて一緒に帰る仲にまでなった子はいたけれど、きっとあの子は、いつも一人でいる私を憐れんで一緒に帰ってきてくれたのだと思う。
だけど、真邊さん改め依采と友達になった。
というのも、彼女のアタックが凄まじかったからだ。………
「ね、雨宮さん。」
「ん、なんですか?真邊さん。」
「これからは、唯愛ちゃんって呼んでもいいかな?」
「え。あ、うん。でも、どうして急に?」
「これから、どんどんアタックしていくにあたって、まずは名前呼びかなって。唯愛ちゃんには、依采って呼んでほしいな~!」
「え…。」
なんか、ナンパされてるみたいだ。
流石は一軍。
「だめかな?」
「ううん。じゃあ、依采ちゃんて呼ぶね。」
「ちゃんはちょっと、みんなにも依采って呼ばれてるし。呼び捨てがいいんだけど…。」
「わかった。じゃあ依采って呼ぶね。」
「うん!」
まさか、真邊さんいや依采とこんなふうにに話せる日が来るなんて思っていなかった。
私には、もともと友達と呼べる人物がいなくてクラスでもずっと一人で本を読んでいるようないわゆる陰キャだったと思う。だから、依采がどうして私なんかを好きになったのか全く検討がつかない。授業中は、そのことばかりが気になって全く内容が頭に入ってこなかった。
……………
「先生、さよなら~!」
「ねぇ、今日カラオケ寄ってかない?」
「部活だ、部活だ~。」
「…………………。」
すっかり、放課後になってしまった。今日も、お母さんは仕事で遅くなると言っていたし、ご飯は一人で食べなければならない。本音をいえば、寂しいが我が儘なことだと言うことは自覚しているし、お母さんを困らせるだけだといることもわかっているため、口に出すつもりはない。だけど、……
「唯愛ちゃん。」
「……っ。びっくりした。」
「あ、ごめんね。考え事でもしてた?」
「ううん。なんでもないの。」
「そっか。…唯愛ちゃんが良ければ、一緒に帰らない?」
「えっ?」
予想外だった。いつも一緒に帰っている子たちはどうしたんだろう。誰かと一緒に帰るのは、中学以来だ。
「いつも、一緒に帰っている子たちは?」
「………ちょっとみんなと喧嘩しちゃって。」
「…そっか。………帰ろっか?」
「…っ!うん!」
なんで喧嘩したのかを聞くのは流石に失礼か。聞かれたくないこともきっとあると思うし。
「唯愛ちゃんて帰りどこ方向なの?」
「駅方向だよ。」
「良かった~。同じだ。反対方向だったら、一緒に帰れないからさ~。焦ったよ。」
「確かに。そうだね。」
帰ろうと言ってくれるから、てっきり知っているのかと思っていた。少し抜けているんだろうか。
「………。」
「………………。」
どうしよう。会話が途切れてしまった。
………こう見ると、依采はやはり整った顔立ちをしているなと改めて思う。目が大きくて睫毛が長くて、鼻がスラッとしていて唇は薄い。それでいて肌は白くスタイルもいい。ローサイドテールもよく似合っている。こんなに美少女なら、モデルにスカウトされてもおかしくないな。そんなことを考えていると、不意に依采がこっちを向いたため、慌てて目を逸らす。
「なんで、そらしちゃうの?」
まずい。見てたのバレてる。
「ちょっとは、ボクのこと好きになってくれたのかなって期待したのに。」
そう言って依采は、少し頬を膨らませた。
「あんまり依采の顔、はっきり見たことなかったなって思って。」
適当に思いついた言い訳を口に出しながら、歩き曲がり道に差し掛かったところで
「じゃあ、ボクこっちだから。」
と依采が言ったため、そこで分かれようとしたときに、ふと連絡先って交換したほうが良いのかという疑問が生まれた。
「そういえばさ連絡先、交換してないよね?」
「あ、確かに。」
そう言って、依采はポケットからスマホを出して連絡先を慣れた手つきで表示させ私に見せた。
「交換しよう!」
……………
結局、今日も一人でご飯を食べた。今日もお母さんは遅くなると言っていたため、多分私が寝る頃に帰って来るのだろう。
「せめて、おかえりくらいは言いたいな。…」
不意に、口から出た瞬間に、スマホが鳴った。
お母さんからの連絡だろうかと見ると、帰り道で連絡先を交換した依采からだった。依采のアイコンがまだ見慣れなくて妙にくすぐったい。なんだろうと思い、メールを開くと、
『こんばんは!
明日もいっぱいアタックするね!
連絡先も交換したしまずは、唯愛ちゃんにとって友達と呼べるような存在になるのを目指すね!おやすみ!!』
と書いてあった。
ビックリマークの多いそのメールを見たとき、なんだか温かい気持ちになった。そして、自分が笑っていることに気づいた。依采の前でもこんな表情をしていたのだろうかとスマホの画面に映った自分の表情を見て、苦笑した。そして今の関係が友達と言わず何になるのだろうという疑問も持ったが、依采には伝えないでいよう。私と友達になるために、依采がどのようなことをするのか気になるし。そのとき、玄関が開いた音がした。
「ただいま~。」
という声が聞こえた。
今なら、ためらいなく言える。
「おかえり!」
だけど、真邊さん改め依采と友達になった。
というのも、彼女のアタックが凄まじかったからだ。………
「ね、雨宮さん。」
「ん、なんですか?真邊さん。」
「これからは、唯愛ちゃんって呼んでもいいかな?」
「え。あ、うん。でも、どうして急に?」
「これから、どんどんアタックしていくにあたって、まずは名前呼びかなって。唯愛ちゃんには、依采って呼んでほしいな~!」
「え…。」
なんか、ナンパされてるみたいだ。
流石は一軍。
「だめかな?」
「ううん。じゃあ、依采ちゃんて呼ぶね。」
「ちゃんはちょっと、みんなにも依采って呼ばれてるし。呼び捨てがいいんだけど…。」
「わかった。じゃあ依采って呼ぶね。」
「うん!」
まさか、真邊さんいや依采とこんなふうにに話せる日が来るなんて思っていなかった。
私には、もともと友達と呼べる人物がいなくてクラスでもずっと一人で本を読んでいるようないわゆる陰キャだったと思う。だから、依采がどうして私なんかを好きになったのか全く検討がつかない。授業中は、そのことばかりが気になって全く内容が頭に入ってこなかった。
……………
「先生、さよなら~!」
「ねぇ、今日カラオケ寄ってかない?」
「部活だ、部活だ~。」
「…………………。」
すっかり、放課後になってしまった。今日も、お母さんは仕事で遅くなると言っていたし、ご飯は一人で食べなければならない。本音をいえば、寂しいが我が儘なことだと言うことは自覚しているし、お母さんを困らせるだけだといることもわかっているため、口に出すつもりはない。だけど、……
「唯愛ちゃん。」
「……っ。びっくりした。」
「あ、ごめんね。考え事でもしてた?」
「ううん。なんでもないの。」
「そっか。…唯愛ちゃんが良ければ、一緒に帰らない?」
「えっ?」
予想外だった。いつも一緒に帰っている子たちはどうしたんだろう。誰かと一緒に帰るのは、中学以来だ。
「いつも、一緒に帰っている子たちは?」
「………ちょっとみんなと喧嘩しちゃって。」
「…そっか。………帰ろっか?」
「…っ!うん!」
なんで喧嘩したのかを聞くのは流石に失礼か。聞かれたくないこともきっとあると思うし。
「唯愛ちゃんて帰りどこ方向なの?」
「駅方向だよ。」
「良かった~。同じだ。反対方向だったら、一緒に帰れないからさ~。焦ったよ。」
「確かに。そうだね。」
帰ろうと言ってくれるから、てっきり知っているのかと思っていた。少し抜けているんだろうか。
「………。」
「………………。」
どうしよう。会話が途切れてしまった。
………こう見ると、依采はやはり整った顔立ちをしているなと改めて思う。目が大きくて睫毛が長くて、鼻がスラッとしていて唇は薄い。それでいて肌は白くスタイルもいい。ローサイドテールもよく似合っている。こんなに美少女なら、モデルにスカウトされてもおかしくないな。そんなことを考えていると、不意に依采がこっちを向いたため、慌てて目を逸らす。
「なんで、そらしちゃうの?」
まずい。見てたのバレてる。
「ちょっとは、ボクのこと好きになってくれたのかなって期待したのに。」
そう言って依采は、少し頬を膨らませた。
「あんまり依采の顔、はっきり見たことなかったなって思って。」
適当に思いついた言い訳を口に出しながら、歩き曲がり道に差し掛かったところで
「じゃあ、ボクこっちだから。」
と依采が言ったため、そこで分かれようとしたときに、ふと連絡先って交換したほうが良いのかという疑問が生まれた。
「そういえばさ連絡先、交換してないよね?」
「あ、確かに。」
そう言って、依采はポケットからスマホを出して連絡先を慣れた手つきで表示させ私に見せた。
「交換しよう!」
……………
結局、今日も一人でご飯を食べた。今日もお母さんは遅くなると言っていたため、多分私が寝る頃に帰って来るのだろう。
「せめて、おかえりくらいは言いたいな。…」
不意に、口から出た瞬間に、スマホが鳴った。
お母さんからの連絡だろうかと見ると、帰り道で連絡先を交換した依采からだった。依采のアイコンがまだ見慣れなくて妙にくすぐったい。なんだろうと思い、メールを開くと、
『こんばんは!
明日もいっぱいアタックするね!
連絡先も交換したしまずは、唯愛ちゃんにとって友達と呼べるような存在になるのを目指すね!おやすみ!!』
と書いてあった。
ビックリマークの多いそのメールを見たとき、なんだか温かい気持ちになった。そして、自分が笑っていることに気づいた。依采の前でもこんな表情をしていたのだろうかとスマホの画面に映った自分の表情を見て、苦笑した。そして今の関係が友達と言わず何になるのだろうという疑問も持ったが、依采には伝えないでいよう。私と友達になるために、依采がどのようなことをするのか気になるし。そのとき、玄関が開いた音がした。
「ただいま~。」
という声が聞こえた。
今なら、ためらいなく言える。
「おかえり!」
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