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原因不明の涙
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「瀬戸明日香君」
彼女がキビキビと壇上に上がる。
そして背筋をピンと伸ばした状態で賞状を受け取る…
「おめでとうございます」
「ありがとぉ!
まさか入賞するのとはねえ…てゆか先生も先生よね!?
課題を賞に全員分出すなら言いなさいって話よ」
そう、二人で泊まりで行った先で描いた作品が入賞したのだ。
彼女はその知らせを聞いてとても喜んでいた。
モチロン、僕自身も一緒になって喜んだ。
「そりゃ、入賞するでしょう…」
完成作品を見て驚いた。
僕の作品は見たままを描いたわけだが彼女は違った。
色だってそうなわけだが見たままではなくオリジナルになっていたのだ。
彼女は少し照れながら僕の作品も褒めようとしてくれた。
「ストップ。今回のは僕の完敗ですよーっと。」
「・・・・でも亮ちゃん、私は嫌いじゃなかったけど
どうしてわざわざありがちな色を使ったりしたの?」
うぉ…っと。
彼女は僕にもオリジナル精神で!と言いたいわけか!?
「まぁ、ね…見たまんまというか…」
僕が苦笑いをしながら頭を掻いている横で彼女は固まっていた。
「明日香・・・・さん?」
「ねぇ、今なんて?」
「え、だから。
見たまんまに描いたと…。
僕もセンスさえあればオリジナルの色使ってあの朝の風景を表現したかったなぁ…」
彼女は笑わない。
照れもしない。
ただ呆然と、僕を見つめているだけ。
「・・・・そっか。」
「ん。どうかしましたか?」
「え、いや別に。」
「僕のことなら気にしないで下さいね?
どうせ入賞目的なんてなかったですし。
僕は描ければいい。それだけです。それに今年の夏は楽しかった。十分です」
「亮ちゃん…ありがとう」
突然泣き出す彼女に少し動揺した。
どうしたんだろう…。
僕には原因がわからない。
「明日香さん、どうしたんですか?どうして・・・・」
「さ!いくよ!」
突然いつもの明日香さんに戻った。
僕は何がなんだかわからないまま、今回も真相はお流れだ。
「じゃあ僕はバイトあるので今日は先に帰りますね」
「はーい」
「また明日」
「また明日ねー!」
いつものようにバイトの日は教室内で別れる。
さすがに別れのキスをみんなの前でするほど僕らも青くない。
彼女はたまにしたがるが僕が無理だ。そんなの…してやりたくもなるが。
バイト先まで歩いていると突然雨が降り出した。
ずっと雲行きが怪しかったのだが天気予報では降水確率は30%だった。
30%が当たってしまったみたいだ。
僕は走りながら教室で別れた彼女を思った。
傘…ないよなぁ…なんて。
「亮介君、君明日シフト入ってなかったよね?」
「え、はい。」
僕が品だしをしていると店長がこっちへ来た。
「明日何かあるかなぁ…?
ちょっと松田さんのお父さんがね目の手術をするらしくて明日は休みがほしいみたいでね」
「手術ですか…?もちろん代われますよ。
それくらい助け合いたいですし。」
それに松田さんは明日香さんが入院していたとき
何度かシフトを入れ替えてもらった。
恩返しを考えていたわけだったから丁度いい。
「本当に?ありがとう、助かるよー…
ほら、明日金曜日でしょう。だからみんな入ってくれなくてねー」
「まぁ週末希望者少ないですよね、ここ」
「そうなんだよー。
他の店舗聞いたら日曜とか希望者多いらしくってさー。」
店長とその後いくつか話をしたあと、
僕は仕事に戻る前に彼女にメールを送った。
明日言ってもいいのだが、もしかしたらそれなら土曜から来るかもしれない。
―明日バイト入っちゃったんですけど、
どうしましょうか…。
土曜から来ますか?
それともアパート先に帰ってくれます?―
彼女からはすぐに返事が来た。
ただ、一言だけだった。
―明日行く―
いつもの顔文字や絵文字もなくただ一言。
その時僕は雨も降っているし今ごろまだ彼女は歩いている途中だろうから
濡れないようにしているのだなと、勝手な解釈をしていた。
そう、この時既にそれは迫っていた。
真実を明かさないことも間違っていたし
それに気づかなかったのも間違いだった。
でも、そんな間違いに気づけるのか?
気づけていたら状況は変わったのだろう。
でも、遅いのだ・・・・・
彼女は1日中ツンツンしていた。
普段は金曜は二人で帰り過ごす。
そこにバイトを入れて怒っているのか……?
「明日香さん…?」
「何?」
「あの…バイト入れた事怒ってます?」
「え、どうして?」
「今日一日……」
彼女は無意識だったらしい。
考え事をしていたと言った。
この頃彼女はヘンだ。
あの旅行の日から……
僕はどうして何も言わないのか。
自分でもよくわからないが
きっと待っているのだろう。
彼女から話してくれるのを。
何で悩んでいるのかなんかを。
そりゃあ僕は彼女の恋人だ。
恋人に話せない悩みだってたくさんあるだろう。
だからその手の悩みなら彼女が解決させて
すっきりして、
また僕のもとに笑顔で帰って来てくれればいい。
「ごめんね、嫌な感じよね…」
「いえいえ。
早く本調子に戻ってくださいね」
そう言って笑うと彼女も笑ってくれた。
「じゃあ気を付けてね
いってらっしゃい」
僕は彼女の手をゆっくりと離した。
「んー…八時には帰れますから」
「はあい
あ、そだ亮ちゃん?」
彼女は歩きだした僕を止めた。
振り替えると彼女が悪戯に笑いながら
「それにしても、
そのシャツの色…面白いからいっか♪」
僕は自分が着ているシャツを見る。
赤のTシャツ。
無地。いたって普通だ。
それにこの間も着てたけど…
「ならこの間言ってくださいよお!」
「この間…?」
「旅行の三日目着てました」
「へ…あ、れ?
あ、あぁそう言えばそうね!」
「赤駄目かなあ」
「いや、無地だからなんか味気ないなってさ。
上にジャケット着なさいよ。」
「なるほど。
今度そうします」
その後いってきますと言い
僕は彼女と一回別れた。
この時彼女が呆然と立ち尽くしていたとは気付かずに……
バイト中、何度かポケットの中の携帯が震えていた。
一瞬の隙に覗くと彼女からのメールだった。
しかし今日は客の出入りが激しく、
休憩時間もなかったくらいだったので
返信がおわるまで出来なかった。
「亮介君、お疲れ様」
「あ、お疲れ様です。」
店長が慌てて駆け寄ってきた。
「今日はありがとうね。」
「いえいえ。
松田さんにはお世話になってますから」
「今度、松田くんも誘って一度飲みに行こうよ。」
「あ、いいっすね」
「またみんなが合う日に、
それじゃ、お疲れ様。」
「お疲れ様でしたあ~」
僕は歩きながら携帯を開いた。
彼女がバイト中にメールを入れるのは珍しいことなので
急いで見る。
買い出しか何かだろうか…
メールは全部で七件。
その内の六件が彼女からだった。
やば…緊急か。
内容は全て同じようなものだった。
―早く帰って来てね―
―亮ちゃん…早く帰って来れる?―
―亮ちゃん、怖いの。
早く帰って来て…―
―亮ちゃん…―
―八時まで長いよ…
怖いの。―
―亮ちゃん、亮ちゃん……
お願いします。
早く帰って来てください。―
僕は携帯を乱暴に閉じると
タクシーを捕まえて急いだ。
何が怖いのか、
彼女は突然何を恐れだしたのかわからないが急いだ。
彼女が泣いている。
そんな気がしたからだった。
アパートに着くと走って階段を駆け上がる。
部屋に入ると真っ暗だった。
暗闇の中に彼女はいた。
「明日香…さん?」
何故か声が裏返った。
返事は…無い。
彼女は三角座り(体育座りともいう)形で
顔を伏せて動かなかった。
僕はまるで硝子細工に触れるかのようにして
ゆっくりと手をのばす。
なんだか触れるだけで彼女が音を立てて壊れそうな気がして
一度のばした手を引っ込めるが
もう一度伸ばして彼女の肩に触れた。
「亮……ちゃん?」
彼女はゆっくりと顔を上げた。
やっぱり泣いていたのだ。
「明日香さん、どうしたんですか?
何があったんですか?」
彼女は何も答えず僕に抱きつく。
僕は今だに彼女が壊れそうな気がして
ゆっくり、そっと抱き締める。
「亮、ちゃ、私、怖い…!
亮ちゃんを失う事も
先が無くなるのも怖いの。」
「明日香さん、どういうことですか?
僕を失う?
どうしてそう思うんですか?」
「亮ちゃん、亮ちゃん、亮ちゃん……」
彼女は答えず泣き続けた。
「僕は何があっても離れない。
あなただって聞いていたでしょうに?
あなたから離れる気もなければ、
絶対離れさせませんよ?」
「ぅ...ぅぅ、ひっく...
亮、ちゃ、ありがとう..ヒクッ」
僕はそれ以上何も聞かなかった。
ただただ彼女を抱き締めたまま
ぼんやりと空に浮かぶ月を見ていた…
彼女がキビキビと壇上に上がる。
そして背筋をピンと伸ばした状態で賞状を受け取る…
「おめでとうございます」
「ありがとぉ!
まさか入賞するのとはねえ…てゆか先生も先生よね!?
課題を賞に全員分出すなら言いなさいって話よ」
そう、二人で泊まりで行った先で描いた作品が入賞したのだ。
彼女はその知らせを聞いてとても喜んでいた。
モチロン、僕自身も一緒になって喜んだ。
「そりゃ、入賞するでしょう…」
完成作品を見て驚いた。
僕の作品は見たままを描いたわけだが彼女は違った。
色だってそうなわけだが見たままではなくオリジナルになっていたのだ。
彼女は少し照れながら僕の作品も褒めようとしてくれた。
「ストップ。今回のは僕の完敗ですよーっと。」
「・・・・でも亮ちゃん、私は嫌いじゃなかったけど
どうしてわざわざありがちな色を使ったりしたの?」
うぉ…っと。
彼女は僕にもオリジナル精神で!と言いたいわけか!?
「まぁ、ね…見たまんまというか…」
僕が苦笑いをしながら頭を掻いている横で彼女は固まっていた。
「明日香・・・・さん?」
「ねぇ、今なんて?」
「え、だから。
見たまんまに描いたと…。
僕もセンスさえあればオリジナルの色使ってあの朝の風景を表現したかったなぁ…」
彼女は笑わない。
照れもしない。
ただ呆然と、僕を見つめているだけ。
「・・・・そっか。」
「ん。どうかしましたか?」
「え、いや別に。」
「僕のことなら気にしないで下さいね?
どうせ入賞目的なんてなかったですし。
僕は描ければいい。それだけです。それに今年の夏は楽しかった。十分です」
「亮ちゃん…ありがとう」
突然泣き出す彼女に少し動揺した。
どうしたんだろう…。
僕には原因がわからない。
「明日香さん、どうしたんですか?どうして・・・・」
「さ!いくよ!」
突然いつもの明日香さんに戻った。
僕は何がなんだかわからないまま、今回も真相はお流れだ。
「じゃあ僕はバイトあるので今日は先に帰りますね」
「はーい」
「また明日」
「また明日ねー!」
いつものようにバイトの日は教室内で別れる。
さすがに別れのキスをみんなの前でするほど僕らも青くない。
彼女はたまにしたがるが僕が無理だ。そんなの…してやりたくもなるが。
バイト先まで歩いていると突然雨が降り出した。
ずっと雲行きが怪しかったのだが天気予報では降水確率は30%だった。
30%が当たってしまったみたいだ。
僕は走りながら教室で別れた彼女を思った。
傘…ないよなぁ…なんて。
「亮介君、君明日シフト入ってなかったよね?」
「え、はい。」
僕が品だしをしていると店長がこっちへ来た。
「明日何かあるかなぁ…?
ちょっと松田さんのお父さんがね目の手術をするらしくて明日は休みがほしいみたいでね」
「手術ですか…?もちろん代われますよ。
それくらい助け合いたいですし。」
それに松田さんは明日香さんが入院していたとき
何度かシフトを入れ替えてもらった。
恩返しを考えていたわけだったから丁度いい。
「本当に?ありがとう、助かるよー…
ほら、明日金曜日でしょう。だからみんな入ってくれなくてねー」
「まぁ週末希望者少ないですよね、ここ」
「そうなんだよー。
他の店舗聞いたら日曜とか希望者多いらしくってさー。」
店長とその後いくつか話をしたあと、
僕は仕事に戻る前に彼女にメールを送った。
明日言ってもいいのだが、もしかしたらそれなら土曜から来るかもしれない。
―明日バイト入っちゃったんですけど、
どうしましょうか…。
土曜から来ますか?
それともアパート先に帰ってくれます?―
彼女からはすぐに返事が来た。
ただ、一言だけだった。
―明日行く―
いつもの顔文字や絵文字もなくただ一言。
その時僕は雨も降っているし今ごろまだ彼女は歩いている途中だろうから
濡れないようにしているのだなと、勝手な解釈をしていた。
そう、この時既にそれは迫っていた。
真実を明かさないことも間違っていたし
それに気づかなかったのも間違いだった。
でも、そんな間違いに気づけるのか?
気づけていたら状況は変わったのだろう。
でも、遅いのだ・・・・・
彼女は1日中ツンツンしていた。
普段は金曜は二人で帰り過ごす。
そこにバイトを入れて怒っているのか……?
「明日香さん…?」
「何?」
「あの…バイト入れた事怒ってます?」
「え、どうして?」
「今日一日……」
彼女は無意識だったらしい。
考え事をしていたと言った。
この頃彼女はヘンだ。
あの旅行の日から……
僕はどうして何も言わないのか。
自分でもよくわからないが
きっと待っているのだろう。
彼女から話してくれるのを。
何で悩んでいるのかなんかを。
そりゃあ僕は彼女の恋人だ。
恋人に話せない悩みだってたくさんあるだろう。
だからその手の悩みなら彼女が解決させて
すっきりして、
また僕のもとに笑顔で帰って来てくれればいい。
「ごめんね、嫌な感じよね…」
「いえいえ。
早く本調子に戻ってくださいね」
そう言って笑うと彼女も笑ってくれた。
「じゃあ気を付けてね
いってらっしゃい」
僕は彼女の手をゆっくりと離した。
「んー…八時には帰れますから」
「はあい
あ、そだ亮ちゃん?」
彼女は歩きだした僕を止めた。
振り替えると彼女が悪戯に笑いながら
「それにしても、
そのシャツの色…面白いからいっか♪」
僕は自分が着ているシャツを見る。
赤のTシャツ。
無地。いたって普通だ。
それにこの間も着てたけど…
「ならこの間言ってくださいよお!」
「この間…?」
「旅行の三日目着てました」
「へ…あ、れ?
あ、あぁそう言えばそうね!」
「赤駄目かなあ」
「いや、無地だからなんか味気ないなってさ。
上にジャケット着なさいよ。」
「なるほど。
今度そうします」
その後いってきますと言い
僕は彼女と一回別れた。
この時彼女が呆然と立ち尽くしていたとは気付かずに……
バイト中、何度かポケットの中の携帯が震えていた。
一瞬の隙に覗くと彼女からのメールだった。
しかし今日は客の出入りが激しく、
休憩時間もなかったくらいだったので
返信がおわるまで出来なかった。
「亮介君、お疲れ様」
「あ、お疲れ様です。」
店長が慌てて駆け寄ってきた。
「今日はありがとうね。」
「いえいえ。
松田さんにはお世話になってますから」
「今度、松田くんも誘って一度飲みに行こうよ。」
「あ、いいっすね」
「またみんなが合う日に、
それじゃ、お疲れ様。」
「お疲れ様でしたあ~」
僕は歩きながら携帯を開いた。
彼女がバイト中にメールを入れるのは珍しいことなので
急いで見る。
買い出しか何かだろうか…
メールは全部で七件。
その内の六件が彼女からだった。
やば…緊急か。
内容は全て同じようなものだった。
―早く帰って来てね―
―亮ちゃん…早く帰って来れる?―
―亮ちゃん、怖いの。
早く帰って来て…―
―亮ちゃん…―
―八時まで長いよ…
怖いの。―
―亮ちゃん、亮ちゃん……
お願いします。
早く帰って来てください。―
僕は携帯を乱暴に閉じると
タクシーを捕まえて急いだ。
何が怖いのか、
彼女は突然何を恐れだしたのかわからないが急いだ。
彼女が泣いている。
そんな気がしたからだった。
アパートに着くと走って階段を駆け上がる。
部屋に入ると真っ暗だった。
暗闇の中に彼女はいた。
「明日香…さん?」
何故か声が裏返った。
返事は…無い。
彼女は三角座り(体育座りともいう)形で
顔を伏せて動かなかった。
僕はまるで硝子細工に触れるかのようにして
ゆっくりと手をのばす。
なんだか触れるだけで彼女が音を立てて壊れそうな気がして
一度のばした手を引っ込めるが
もう一度伸ばして彼女の肩に触れた。
「亮……ちゃん?」
彼女はゆっくりと顔を上げた。
やっぱり泣いていたのだ。
「明日香さん、どうしたんですか?
何があったんですか?」
彼女は何も答えず僕に抱きつく。
僕は今だに彼女が壊れそうな気がして
ゆっくり、そっと抱き締める。
「亮、ちゃ、私、怖い…!
亮ちゃんを失う事も
先が無くなるのも怖いの。」
「明日香さん、どういうことですか?
僕を失う?
どうしてそう思うんですか?」
「亮ちゃん、亮ちゃん、亮ちゃん……」
彼女は答えず泣き続けた。
「僕は何があっても離れない。
あなただって聞いていたでしょうに?
あなたから離れる気もなければ、
絶対離れさせませんよ?」
「ぅ...ぅぅ、ひっく...
亮、ちゃ、ありがとう..ヒクッ」
僕はそれ以上何も聞かなかった。
ただただ彼女を抱き締めたまま
ぼんやりと空に浮かぶ月を見ていた…
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