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救出の為に
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「ダメだ!」
ハデス様は気怠げに頬杖を付いて私に否を突き付けてきた。
その不遜な態度の彼にさえ私の心はドキドキとうるさく跳ね回る。
(この人、魅了の魔法でも使ってるんじゃないのかしら?)
勝手に彼に惚れておいて、そんな事を思ってしまう私はかなり痛い女である。
しかし、今はカイエンの救出が先だ。ここで簡単に引き下がれない。
「両親に会いたいという願いも叶えられないのですか?」
「願いとは大げさではないか?それにこの前会った所ではないか。」
「この前はゆっくりお話しが出来なかったのです。どうかお願いします。街に行かせて下さい。」
私は目を潤ませて懇願した。私の見た目が幼い事は今とても有効である。
幼い娘が親に会いたいと涙ながらに頼めば、グラッとくるのは間違い無いだろう。癪ではあるが、背に腹はかえられない。
私の姿を見たハデス様は持っていた書類を机に置いてため息を吐いた。
「そんな顔をして言ってもダメだ。それにお前はフローラ嬢と同じ歳であろう?1週間親に会わないぐらいで、涙ぐむほど幼くないだろう?」
「ググッ。」
ぐうの音も出ない程の正論に私は唸って黙り込んだ。しかし何かが引っかかった。
「???」
それが何か分からず首を捻っていると、ハデス様は機嫌がさらに悪化していった。
「何だ?お前とフローラ嬢が同じ歳なのは間違った情報なのか?」
「いいえ、間違いではありません。間違いではありませんが、、」
そこまで言って私は違和感の正体に気づいた。
「フローラ嬢?私はお前なのにフローラはフローラ嬢?何なんですかその違いわ?」
ハデス様がフローラに好きという感情を持っているのは気が付いていた。が、それにしてもあんまりでは無いだろうか?
私も一応元貴族の端くれだ。国が破綻してしまったので、公爵家の人間ですと未だに主張する事に違和感は感じていた。しかし、それにしても私をお前呼ばわりしておいてさすがにそれは、、
心の中でモヤモヤと考えていると、それが顔に出ていたのかハデス様が少し慌てた顔をした。
「そんな呼び方していたか?それは申し訳無かった。意識して呼んでいた訳では無いのだ。許してくれ。」
ハデス様は頭を下げた後、立ち上がりこちらへやって来る。彼が立ち上がってしまえば、身長差が30㎝以上ある私達は目線が全く合わなくなる。
私は見上げながら話した。
「いえ、良いのです。フローラはとても美しい娘です。私達が通っていた学園でも彼女は男性にとても人気がありましたわ。そのせいで、彼女より家柄の良い令嬢達に虐められる事もしばしば。そんなフローラにハデス様が惹かれるのも仕方ない事です。」
ハデス様はこの後きっとフローラを褒めちぎる言葉を並び立てるだろうと覚悟した。恋は盲目、よく言ったものだ。この仏頂面の男の顔を甘く溶かしてしまうほどの威力があるはすだ。
しかし、ハデス様が並び立てたのは私の思っていたものとは少し違った。
「フローラ嬢がブサイクでは無いのは分かるが、綺麗か綺麗じゃ無いかは良く分からん。多分一般的に言われる美人の部類なのだろうが、私は別に外見などどちらでも良い。」
「へっ?、、ではなぜ?」
「彼女の心に惹かれた。彼女は私の命の恩人なのだ。」
ハデス様の口から思ってもみなかった言葉が飛び出し、私は目を丸くする。
「命の恩人?以前に会った事があったのですか?」
「嫌、これは私と彼女の秘密だ。詮索せぬように!」
ピシャリと言われて私はこれ以上聞き出すのは無理だと諦めた。
「それで外出の件は?」
「ハァー、分かった。それでは馬車を出す。護衛付きで行くなら許可してやる!」
「ありがとうございます!!」
飛び上がって喜ぶ私をもう一度溜め息を吐いてハデス様が見つめていた。
「お前の外見が可愛い事なら分かるのだがな。」
そんな甘い言葉を聞き逃した事にも気付かず、私はカイエンの無事を祈った。
ハデス様は気怠げに頬杖を付いて私に否を突き付けてきた。
その不遜な態度の彼にさえ私の心はドキドキとうるさく跳ね回る。
(この人、魅了の魔法でも使ってるんじゃないのかしら?)
勝手に彼に惚れておいて、そんな事を思ってしまう私はかなり痛い女である。
しかし、今はカイエンの救出が先だ。ここで簡単に引き下がれない。
「両親に会いたいという願いも叶えられないのですか?」
「願いとは大げさではないか?それにこの前会った所ではないか。」
「この前はゆっくりお話しが出来なかったのです。どうかお願いします。街に行かせて下さい。」
私は目を潤ませて懇願した。私の見た目が幼い事は今とても有効である。
幼い娘が親に会いたいと涙ながらに頼めば、グラッとくるのは間違い無いだろう。癪ではあるが、背に腹はかえられない。
私の姿を見たハデス様は持っていた書類を机に置いてため息を吐いた。
「そんな顔をして言ってもダメだ。それにお前はフローラ嬢と同じ歳であろう?1週間親に会わないぐらいで、涙ぐむほど幼くないだろう?」
「ググッ。」
ぐうの音も出ない程の正論に私は唸って黙り込んだ。しかし何かが引っかかった。
「???」
それが何か分からず首を捻っていると、ハデス様は機嫌がさらに悪化していった。
「何だ?お前とフローラ嬢が同じ歳なのは間違った情報なのか?」
「いいえ、間違いではありません。間違いではありませんが、、」
そこまで言って私は違和感の正体に気づいた。
「フローラ嬢?私はお前なのにフローラはフローラ嬢?何なんですかその違いわ?」
ハデス様がフローラに好きという感情を持っているのは気が付いていた。が、それにしてもあんまりでは無いだろうか?
私も一応元貴族の端くれだ。国が破綻してしまったので、公爵家の人間ですと未だに主張する事に違和感は感じていた。しかし、それにしても私をお前呼ばわりしておいてさすがにそれは、、
心の中でモヤモヤと考えていると、それが顔に出ていたのかハデス様が少し慌てた顔をした。
「そんな呼び方していたか?それは申し訳無かった。意識して呼んでいた訳では無いのだ。許してくれ。」
ハデス様は頭を下げた後、立ち上がりこちらへやって来る。彼が立ち上がってしまえば、身長差が30㎝以上ある私達は目線が全く合わなくなる。
私は見上げながら話した。
「いえ、良いのです。フローラはとても美しい娘です。私達が通っていた学園でも彼女は男性にとても人気がありましたわ。そのせいで、彼女より家柄の良い令嬢達に虐められる事もしばしば。そんなフローラにハデス様が惹かれるのも仕方ない事です。」
ハデス様はこの後きっとフローラを褒めちぎる言葉を並び立てるだろうと覚悟した。恋は盲目、よく言ったものだ。この仏頂面の男の顔を甘く溶かしてしまうほどの威力があるはすだ。
しかし、ハデス様が並び立てたのは私の思っていたものとは少し違った。
「フローラ嬢がブサイクでは無いのは分かるが、綺麗か綺麗じゃ無いかは良く分からん。多分一般的に言われる美人の部類なのだろうが、私は別に外見などどちらでも良い。」
「へっ?、、ではなぜ?」
「彼女の心に惹かれた。彼女は私の命の恩人なのだ。」
ハデス様の口から思ってもみなかった言葉が飛び出し、私は目を丸くする。
「命の恩人?以前に会った事があったのですか?」
「嫌、これは私と彼女の秘密だ。詮索せぬように!」
ピシャリと言われて私はこれ以上聞き出すのは無理だと諦めた。
「それで外出の件は?」
「ハァー、分かった。それでは馬車を出す。護衛付きで行くなら許可してやる!」
「ありがとうございます!!」
飛び上がって喜ぶ私をもう一度溜め息を吐いてハデス様が見つめていた。
「お前の外見が可愛い事なら分かるのだがな。」
そんな甘い言葉を聞き逃した事にも気付かず、私はカイエンの無事を祈った。
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