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紳士と大人な対応
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イライラしながらもついていくと、噴水のある庭園についた。周りには色とりどりの花が咲いていて壮観な景色だった。花びらに付いた水がキラキラと輝いていて、宝石みたいとはまさにこの事だ。
「すごい……こんなに綺麗な庭園は初めて見ました」
あまりの美しさにさっきまでのイライラを忘れて王子に話しかけてしまった。ちらりと様子を伺うと、王子はピクリと肩を揺らしただけで特に反応は無かった。そして訪れる気まずい沈黙。
(ど、どうすればいいんだ……俺から何か話題振ったほうがいいのか?)
「おい」
何を話せばいいのか悩んでいると、まさかの王子から話しかけられた。驚いて勢いよく顔を上げるとまたさっきみたいに眼光鋭く睨まれていた。
「お前、調子に乗るなよ」
「……はい?」
「父上に褒められたとでも思ってるんだろうが、あんなのはお世辞だ。真に受けて調子に乗るな」
…………はい?
俺は今、一体何を言われているんだ。調子に乗るな?いや、いつ俺が調子に乗ったんだ。
「俺の婚約者になれるかもしれないからと父上に媚びを売っているんだろうが、そんなものは無駄だ。」
いやだから、媚びなんていつ売ったんだ。
「お前がどんなに懇願しようと、俺はお前なんかとは婚約しない」
鋭い眼光でこちらを見据えながら淡々と話していく王子。
……そうか分かったぞ、きっと今日王子は嫌なことがあったんだ。だからたまたま今日初めて会ったばかりの俺にあたってしまっている。しょうがない、いくら王子といってもまだ6歳の子供なんだ、同い年とはいえ精神年齢は俺が遥かに上なんだし大人の対応をしようじゃないか。それ即ち、紳士になるための第一歩だ。
「殿下、ご安心ください」
「……は?何をだ」
「僕は全く殿下の婚約者になりたいなどとは思っていません」
俺の一言に王子は目を少し見開いた。
「なので、陛下に媚びるなど全く考えてもいません」
「……う、嘘を言っても無駄だ」
「まさか、殿下に嘘をつくなんてとんでもない。僕は本当に心の底から婚約者になりたくないと思っていますのでご安心ください」
とびきりの笑顔で言うと、王子の顔が引きつった。ちょっといい気味と思ったのは内緒だ。
「俺の、婚約者になりたくないだと……お前どうかしてるのか?俺はお前以外にも婚約者候補と会ってきたが皆一様に婚約者になりたいと言う。当たり前だ、俺の婚約者になれば全てが手に入るんだからな。お前はそれが欲しくないのか」
心底分からないという顔で見られる。まあ確かに美味しい条件ではあるけど……
「欲しくないわけではないですけど……。初めて会った人を睨みつけて舌打ちをした挙句、調子に乗るななどと見当違いな事を言う人と一緒にいるほうがもっと嫌なので」
ふーー、言ってやった!正直もっと言いたいことはあるし殴ってやりたいくらい腹が立ったけど……相手はまだ子供、紳士の広い心で許してあげよう。
俺が一人で満足していると、そろそろ帰る時間らしく父と国王がわざわざ庭園まで迎えに来た。王子の付き添いといい今といい、国王ってこんなに出歩くもんなのか?使用人に伝えてさっきの応接間まで呼び戻せばいいのに。良くわからないけど公務とか大丈夫なのか……。
「ファスト君、王子との時間は如何だったかな」
「っ!!」
ど、どうだったかって……「貴方の息子さんに罵倒され罵倒し返しました!」なんて言えるわけない。
「とても楽しい時間でした、ぜひまたお話ししたいです」
笑顔でとりあえず思いついたことを言うと、国王は満足そうに頷き王子にも同じことを聞いた。
……って、あれ、やばくないか。今さっき俺は王子の事散々言ったばかりだぞ、国王になんて言われるか分からない。下手したら不敬罪で一家没落なんて……
冗談じゃない!!
なにが言ってやっただ、俺は馬鹿か!阿保か!よく考えたら、いやよく考えなくてもこうなることは想像できただだろ!あまりに王子の言動に腹立ちすぎて頭のネジ何本か抜けてた……。まずいまずいまずいまずい……どうしよう、どうやったら王子に何も言わせないように出来るんだ。
焦って周りを見渡すと、少し離れたところで立っている騎士が目に入る。そうだ、あの剣で王子を…………って危ない、危うく犯罪者になるところだった。……ああ、もう不敬罪で罪人になるところか。はぁ、とにかくどうしたらいいんだ……
「僕も、とても楽しい時間を過ごすことができました」
……え?
「ぜひ、彼とまた会って話したいと思っています」
王子はそう言いながら笑みを浮かべてゆっくりと俺を見てくる。まるで逃がさないと言っているようでぞわっと鳥肌が立った。
(は、早く帰りたい……!!)
一体何なんだ、あれだけボロクソ言ったから絶対告げ口されると思ったのに、なんで国王に何も言わないんだ。後でじっくり言うつもりなのか?それとも本当に実は楽しんでいたとか?いや流石にそれは無いか……。ああもう、王子が何を考えてるのか分からない!
「ファスト、行くよ」
「っ!は、はい!」
父に声を掛けられて慌てて二人に挨拶をする。そのまま逃げるように帰る時も、王子はニコニコと笑っていた。
「すごい……こんなに綺麗な庭園は初めて見ました」
あまりの美しさにさっきまでのイライラを忘れて王子に話しかけてしまった。ちらりと様子を伺うと、王子はピクリと肩を揺らしただけで特に反応は無かった。そして訪れる気まずい沈黙。
(ど、どうすればいいんだ……俺から何か話題振ったほうがいいのか?)
「おい」
何を話せばいいのか悩んでいると、まさかの王子から話しかけられた。驚いて勢いよく顔を上げるとまたさっきみたいに眼光鋭く睨まれていた。
「お前、調子に乗るなよ」
「……はい?」
「父上に褒められたとでも思ってるんだろうが、あんなのはお世辞だ。真に受けて調子に乗るな」
…………はい?
俺は今、一体何を言われているんだ。調子に乗るな?いや、いつ俺が調子に乗ったんだ。
「俺の婚約者になれるかもしれないからと父上に媚びを売っているんだろうが、そんなものは無駄だ。」
いやだから、媚びなんていつ売ったんだ。
「お前がどんなに懇願しようと、俺はお前なんかとは婚約しない」
鋭い眼光でこちらを見据えながら淡々と話していく王子。
……そうか分かったぞ、きっと今日王子は嫌なことがあったんだ。だからたまたま今日初めて会ったばかりの俺にあたってしまっている。しょうがない、いくら王子といってもまだ6歳の子供なんだ、同い年とはいえ精神年齢は俺が遥かに上なんだし大人の対応をしようじゃないか。それ即ち、紳士になるための第一歩だ。
「殿下、ご安心ください」
「……は?何をだ」
「僕は全く殿下の婚約者になりたいなどとは思っていません」
俺の一言に王子は目を少し見開いた。
「なので、陛下に媚びるなど全く考えてもいません」
「……う、嘘を言っても無駄だ」
「まさか、殿下に嘘をつくなんてとんでもない。僕は本当に心の底から婚約者になりたくないと思っていますのでご安心ください」
とびきりの笑顔で言うと、王子の顔が引きつった。ちょっといい気味と思ったのは内緒だ。
「俺の、婚約者になりたくないだと……お前どうかしてるのか?俺はお前以外にも婚約者候補と会ってきたが皆一様に婚約者になりたいと言う。当たり前だ、俺の婚約者になれば全てが手に入るんだからな。お前はそれが欲しくないのか」
心底分からないという顔で見られる。まあ確かに美味しい条件ではあるけど……
「欲しくないわけではないですけど……。初めて会った人を睨みつけて舌打ちをした挙句、調子に乗るななどと見当違いな事を言う人と一緒にいるほうがもっと嫌なので」
ふーー、言ってやった!正直もっと言いたいことはあるし殴ってやりたいくらい腹が立ったけど……相手はまだ子供、紳士の広い心で許してあげよう。
俺が一人で満足していると、そろそろ帰る時間らしく父と国王がわざわざ庭園まで迎えに来た。王子の付き添いといい今といい、国王ってこんなに出歩くもんなのか?使用人に伝えてさっきの応接間まで呼び戻せばいいのに。良くわからないけど公務とか大丈夫なのか……。
「ファスト君、王子との時間は如何だったかな」
「っ!!」
ど、どうだったかって……「貴方の息子さんに罵倒され罵倒し返しました!」なんて言えるわけない。
「とても楽しい時間でした、ぜひまたお話ししたいです」
笑顔でとりあえず思いついたことを言うと、国王は満足そうに頷き王子にも同じことを聞いた。
……って、あれ、やばくないか。今さっき俺は王子の事散々言ったばかりだぞ、国王になんて言われるか分からない。下手したら不敬罪で一家没落なんて……
冗談じゃない!!
なにが言ってやっただ、俺は馬鹿か!阿保か!よく考えたら、いやよく考えなくてもこうなることは想像できただだろ!あまりに王子の言動に腹立ちすぎて頭のネジ何本か抜けてた……。まずいまずいまずいまずい……どうしよう、どうやったら王子に何も言わせないように出来るんだ。
焦って周りを見渡すと、少し離れたところで立っている騎士が目に入る。そうだ、あの剣で王子を…………って危ない、危うく犯罪者になるところだった。……ああ、もう不敬罪で罪人になるところか。はぁ、とにかくどうしたらいいんだ……
「僕も、とても楽しい時間を過ごすことができました」
……え?
「ぜひ、彼とまた会って話したいと思っています」
王子はそう言いながら笑みを浮かべてゆっくりと俺を見てくる。まるで逃がさないと言っているようでぞわっと鳥肌が立った。
(は、早く帰りたい……!!)
一体何なんだ、あれだけボロクソ言ったから絶対告げ口されると思ったのに、なんで国王に何も言わないんだ。後でじっくり言うつもりなのか?それとも本当に実は楽しんでいたとか?いや流石にそれは無いか……。ああもう、王子が何を考えてるのか分からない!
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