寝ても覚めても石に漱ぎ、流れに枕す

潮野 ノセ

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いい()この夜

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 2月末。閏年。楽しくぼんやり生きている今日この頃。
 
 外で飲んだけど飲み足りなくて、物足りなさと共に家に着いた。
 
 妙に冷めた頭で、そういえばいいたこがあったなといそいそと水割りを作る。特別さはないけど、25度のいいたこは美味しい。さすが本町のナポレオン!つまみは鯖缶で1人酒盛りをはじめた。

 思い返しても、安いやつだなと笑ってしまうがまぁそれで来ちゃったんだから仕方がない。

 ひさびさの家飲み。水割りを2杯。やっぱり家で飲むとまわるのがはやい!
少し出来上がった頭で同じ名前で度数の違う焼酎を眺める。前の飲み会で誰かが持ってきた20度のいいたこ。飲んでいるのは25度のいいたこ。

 これはやるしかない!飲み比べようとグラス2つに濃いめの水割りを用意する。

 さぁさぁ飲みましょう!とことん飲みましょう!
 1人しかいない部屋、明日が休みで浮かれながら声に出した。結構酔ってる。
多分楽しげな祭りごとのように聞こえたのだろう。飲むのは好きだが酔うのは早い。自覚はある。
 
 言い終わるや否や、ぐっと空気に重さが生まれてゆらめきが止まったように感じた。え?!そんなに酔ってるのか?!なんだ?目眩…?
 
 少ししかグラスに入れていない氷がクルンと動いた。それからはもう。。みるみるグラスの酒が減っちゃってしかも25度の方。
 よくわからないながらも負けじとこちらは20度を煽る。
 
 多分そこで引かないのは町生まれだからだろう。だんだん楽しくなって無くなれば注ぎを繰り返す。最初はどちらのいいたこも自分が注いでいたが、遅いと判断されたのか、わりとすぐ勝手に瓶の酒が減ってグラスの酒が増えていった。なんの術だ笑 笑うしかない。

 もう薄々わかってるけど、多分素面なら言わなかったかな。よく考えずに口が動いた。

 「なぁ天狗さん、突然なんでこの部屋に?」完全に酔った勢いで話しかけた。
 ゆらめきが大きくなり、時間が過ぎる。
聞いちゃダメだったのか?酔うと言わなくてもいいことたまにゆっちゃうよな…と不安になったぐらいにやっと答えがきた。
 ハスキーな声だ。酒焼けかもしれないが。

 「突然ではない。小さい頃からお前のことは時々見ていた。良い子どもだったが、良い大人になったな。。さて、まだ飲むぞ!」

 良い大人にとは酒飲みのことか?なんだかよくわからんが、天狗さんはバレればもうなんでも良いのか、うっすら形も表し始めた。

 どうやらうちの天狗さんは、成人サイズのオーソドックスなタイプみたいだ。
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