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始まりの扉
気付いたらインキュバス?気付いたら大ピンチ?!
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「って、なんだコレ―?!」
エナメル素材のピッチピチな黒のニーハイブーツ、そして細いベルトのガーターベルト。
腰骨付近で結ばれた陰部がぎりぎり隠れる程度のパッツパツのTバックの上に、申し訳程度の窮屈なテカテカショートパンツ。
上部に唯一身につけていたのは、ギリギリ乳首が隠れるレベルまで捲し上げて作られたようなピッチピチなエナメルのトップス。
後方の背中部分は肩甲骨の窪みが見えるようにエナメルの生地がT字を描いている。
背中は、黒い悪魔の小さな羽、そして線で書いたように長く細い尻尾。尻尾の先端はハートマークが刺さったような形になっている。
そして…、首には音のならない金鈴の付いたチョーカー。
「…羞恥過ぎる。
社畜のご老体にでこんな布面積の少ない服…。よく風邪をひかなかったな、俺…」
太ももを重ねたり、胸元を腕で隠すと、肌色ばかりに見える体がやけに眩しい。
「な…き、きもすぎ、本当になんで俺、こんなの着てんだ?
30も半ばにもなってこんな変態のコスプレ…
第一、コレ着てみて実感したが着る必要あんのか?ほぼ全裸じゃん?!」
(―――と、とりあえず、脱ごう)
「んっ」
着ている服を脱ごうと腕を上げる。
ピッチピチのテッカテカなエナメル素材は窮屈で、
Tシャツの中で圧密着された乳首が動き、擦れた拍子に変な声が出た。
「わっ、な、なに!?今の俺の声?!」
意図せず妙な声が出たことに驚き、思わず飛び上がる。
恥ずかしくなり、あたりをきょろきょろと見わたした。
「お、俺しかいない…よな?」
周りは嫌なくらいの静けさと、冷ややかな空気を保っていた。
時折、どこから岩の隙間に溜まった水たまりに水滴が落ちる音が聞こえた。
誰もいない、薄暗い洞窟。
会社に急いで戻らなくてはいけないと思う反面――――
(な、なんかムラムラしてきた…)
卑猥な黒光りしているTバックの中には、
窮屈そうに玉と竿が収まっている。
少しづつ、立ち上がろうとしている自身に手が伸びる。
こんな、獣が出てもおかしくない場所だが、何故か無性にムラムラする。
「うっ…お、おさまれ」
Tバックの中に収まりつつも、硬くなり始めた自身がぴくんと返事をするように動いた。
理性と欲の狭間でもがく自分へ負けそうに、おそるおそる手が伸びていく。
「ん…っふ」
唇を噛み締め、そろそろと欲へと伸びていく右手。
体が熱くなり、息を吐くために上を見上げると、岩から透明な液体が垂れている。
垂れた液体は頬へ落ち、首筋を通っていく。
「っ…あ」
液体の冷たさにぷるぷると体が震えた。
興奮へ発火をしそうになった熱が、冷えた水滴によって冷静を取り戻す。
興奮と冷えていく頭の中で、一つの考えが浮かんだ。
(―――待てよ)
「もしかして、ブラック企業のお仕置き的なヤツ…?どこかにカメラ、ある?
頭から血の気が引き、岩の隙間にくまなく目を凝らす。
「こっ、こわ。こんなのドッキリ以外現実にないじゃん絶対、あっぶな」
頭を抱え、現状を受け入れるのに苦しむ。
―――ドッキリでもなんでも、今は会社には行かなきゃいけないという脳裏からの使命だ。
とにかく仕事が詰まっている。
返って来た書類に、他所へお願いしなきゃいけないこと、先方へ出すメール、部長に決済依頼する書類にA社には電話して…。
「あ!そうだ、出口、とにかく出口へ―――」
―――タンッ
大きな足音が少し遠くに聞こえた。
岩に何かが、着地するような…。
音のほうへ振り向き目を凝らすと、全身緑の小さい人型が見えた。
こちらの様子を伺いながら、両手を前にかいては両足を弾ませ近づいてくる。
「ひ、人?」
じゃ、ない。
あ、あれは、
「ゴ、ゴブリン…!?」
エナメル素材のピッチピチな黒のニーハイブーツ、そして細いベルトのガーターベルト。
腰骨付近で結ばれた陰部がぎりぎり隠れる程度のパッツパツのTバックの上に、申し訳程度の窮屈なテカテカショートパンツ。
上部に唯一身につけていたのは、ギリギリ乳首が隠れるレベルまで捲し上げて作られたようなピッチピチなエナメルのトップス。
後方の背中部分は肩甲骨の窪みが見えるようにエナメルの生地がT字を描いている。
背中は、黒い悪魔の小さな羽、そして線で書いたように長く細い尻尾。尻尾の先端はハートマークが刺さったような形になっている。
そして…、首には音のならない金鈴の付いたチョーカー。
「…羞恥過ぎる。
社畜のご老体にでこんな布面積の少ない服…。よく風邪をひかなかったな、俺…」
太ももを重ねたり、胸元を腕で隠すと、肌色ばかりに見える体がやけに眩しい。
「な…き、きもすぎ、本当になんで俺、こんなの着てんだ?
30も半ばにもなってこんな変態のコスプレ…
第一、コレ着てみて実感したが着る必要あんのか?ほぼ全裸じゃん?!」
(―――と、とりあえず、脱ごう)
「んっ」
着ている服を脱ごうと腕を上げる。
ピッチピチのテッカテカなエナメル素材は窮屈で、
Tシャツの中で圧密着された乳首が動き、擦れた拍子に変な声が出た。
「わっ、な、なに!?今の俺の声?!」
意図せず妙な声が出たことに驚き、思わず飛び上がる。
恥ずかしくなり、あたりをきょろきょろと見わたした。
「お、俺しかいない…よな?」
周りは嫌なくらいの静けさと、冷ややかな空気を保っていた。
時折、どこから岩の隙間に溜まった水たまりに水滴が落ちる音が聞こえた。
誰もいない、薄暗い洞窟。
会社に急いで戻らなくてはいけないと思う反面――――
(な、なんかムラムラしてきた…)
卑猥な黒光りしているTバックの中には、
窮屈そうに玉と竿が収まっている。
少しづつ、立ち上がろうとしている自身に手が伸びる。
こんな、獣が出てもおかしくない場所だが、何故か無性にムラムラする。
「うっ…お、おさまれ」
Tバックの中に収まりつつも、硬くなり始めた自身がぴくんと返事をするように動いた。
理性と欲の狭間でもがく自分へ負けそうに、おそるおそる手が伸びていく。
「ん…っふ」
唇を噛み締め、そろそろと欲へと伸びていく右手。
体が熱くなり、息を吐くために上を見上げると、岩から透明な液体が垂れている。
垂れた液体は頬へ落ち、首筋を通っていく。
「っ…あ」
液体の冷たさにぷるぷると体が震えた。
興奮へ発火をしそうになった熱が、冷えた水滴によって冷静を取り戻す。
興奮と冷えていく頭の中で、一つの考えが浮かんだ。
(―――待てよ)
「もしかして、ブラック企業のお仕置き的なヤツ…?どこかにカメラ、ある?
頭から血の気が引き、岩の隙間にくまなく目を凝らす。
「こっ、こわ。こんなのドッキリ以外現実にないじゃん絶対、あっぶな」
頭を抱え、現状を受け入れるのに苦しむ。
―――ドッキリでもなんでも、今は会社には行かなきゃいけないという脳裏からの使命だ。
とにかく仕事が詰まっている。
返って来た書類に、他所へお願いしなきゃいけないこと、先方へ出すメール、部長に決済依頼する書類にA社には電話して…。
「あ!そうだ、出口、とにかく出口へ―――」
―――タンッ
大きな足音が少し遠くに聞こえた。
岩に何かが、着地するような…。
音のほうへ振り向き目を凝らすと、全身緑の小さい人型が見えた。
こちらの様子を伺いながら、両手を前にかいては両足を弾ませ近づいてくる。
「ひ、人?」
じゃ、ない。
あ、あれは、
「ゴ、ゴブリン…!?」
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