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入学式
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今年の桜は、ひとしお美しく、おれの目に映った。
第一志望の此花(このはな)学園高校に入学できたのだから。
その名に違(たが)わず、桜並木が校門から校舎まで続いている。
本校は、近隣の桜の名所としても名高いのだった。
今日は入学式なのである。
おれは、学園のエンブレムも誇らしい紺サージの真新しいブレザーに身を包み、桜の下を闊歩している。
「しんちゃん!」
後ろから姉の声がした。
「姉ちゃん」
振り向いて返事をした。
姉がこれまで母親代わりに、何くれとなく世話を焼いてくれ、ここまで来ることができたのだ。
難関の入試を一緒に戦った同志のような気持ちさえした。
九年前に母が脳梗塞で帰らぬ人となり、それからずっと姉は勤めながら、おれの面倒をみてくれた。
父がメキシコに単身赴任している関係もあって、いつも二人っきりなのだった。
「しんちゃん、いいわぁその制服。ぴったり」
「姉ちゃんこそ、見違えたよ。普段、そんな格好しないもんな」
ジャージ姿の姉しか知らないおれは、姉のスーツ姿が眩しかった。
細い体に、アンバランスに大きな胸がスーツを押し上げ、カトレアのコサージュを揺らす。
二人で式場の講堂まで並んで歩いた。
おれとの歳の差は五つ。
他人が見たら恋人同士に見えるだろう。
薄い化粧をした姉を誇らしくも思った。
濡れたような唇は、口紅のせいだろうか?
道行くほかの生徒の家族さんにお願いして校舎の前で写真を撮った。
「若いお母さんね」
「違うんです。姉なんです。母の代わりで」
「あらそうなの。どうりで」
びっくりしたようなその奥さんは、後ろにいるメガネの少女の母親だろう。
「はい、チーズ」
パシャ
「あたしたちも撮っていただこうかしら」
「ええ、よろこんで」
姉が、奥さんからカメラを受け取る。
式は滞り無く終わり、新しいクラスに誘いざなわれ、教科書の入手方法や学園の決まり事、明日以降の予定など、担任よりオリエンテーションがなされた。父兄とはいったん別れる。
担任は草下(くさか)という男の先生で、定年前っていう感じだった。
後で知ったことだが、歳は五十になったばかりだそうで、だとすれば、えらく老けて見える先生だった。
クラスの面々は三十人余りと、ゆとりのある人数だった。
男女半々で、みな賢そうな顔をしているように見えた。
どうやら、メガネの生徒が多いのだ。
と、さっきの少女も同じクラスにいることに気づく。
向こうもおれを認め、笑顔を返してくれた。
「待った?」
説明会から開放され、一階のピロティ付近で人待ち顔の姉を見つけ、駆け寄った。
「長かったわね。オリエンテーリング」
「オリエンテーションだよ。それじゃあゲームじゃないか」
「あはは、そうだわね」
「もう帰ってもいいんだけど、学校の中を見ていこうか」
「そうね、せっかくだしね」
一号館からぶらぶらと歩いた。
部活動の勧誘も始まっている。
古い校舎は大正時代のものだそうで、天井が高かった。
戦後はGHQに接収された経緯を持つ石造りの校舎であると学校案内に説明があった。
大理石だろうか、つややかな石で覆われた壁や階段の前に行き着いた。
「上がってみようよ」
「うん」
姉が、えくぼを作って頷いた。
革靴の底が乾いた音を立てる。
二階は階段教室のようで、だれもいなかった。
学級があるのは二号館から三号館であり、四号館は中等部だった。
天井は高く、廊下はぴかぴかに磨かれたリノリウムで、どこか病院を思わせた。
おれは姉の手を取って引き寄せるようにして歩いた。
だんだん二人の距離が縮まり、肩を寄せ合った。
誰もいない校舎。
遠くで部活動をしている学生の甲高い声が聞こえる。
「姉ちゃん」
「なによ。しんちゃん」
いつものように、おれは姉の唇を奪った。
あむ…
トイレがおあつらえ向きにそこにあった。
おれは、姉を女子トイレに連れ込み、奥の個室に入った。
「ちょっと…」
「いいだろ?おれもうたまんないよ」
「こんなところで…誰かに見つかったらどうすんのよ」
「だれも来やしないって。こんな端っこの便所」
入学式の日は在校生は、まだ春休み中なのである。
おれは、そんなことより、姉のスーツ姿に欲情してしまっていた。
高校受験の勉強で遅くまで頑張っていた頃、行き詰まって姉に甘えてしまったことがきっかけで、二人はこんな関係になってしまった。
「ああん、だめだったら。もう」
甘い姉の声が、拒否していないとおれは見た。
姉を便器に座らせ、スーツの上着を取り、ドアの上の荷物掛けにひっかけた。
白いブラウスの下に豊かな胸が震えている。
姉の甘い口にもう一度接吻をした。
はぷ…
おれのペニスはギンギンに立ち上がって新しいスラックスをつっぱらせている。
姉はめざとくそれを見つけ、手を伸ばしまさぐる。
「おっきくして…」
「あたりまえさ。こんないい女を前に立たないわけがないさ」
「お上手」
ジッパーが下げられ、姉の細い指がパンツの中に侵入する。
冷たい手だった。
「かっちかちね。どうする?後ろからする?」
「そうだね、ここ狭いからな」
姉は便座から立ち上がると、タイトスカートの下からストッキングとショーツをくるくると下ろして、後ろ向きになってくれた。
「あ、ちょっと待って」
姉が、スカートのポケットから包みを出す。
コンドームだった。
「今日はしてね。してあげようか?」
おれは無言で勃起を、姉に向けた。
「危ない日なのか?」「それもあるけど、スーツを汚されたくないのよ」「ああ、そうだね」
ぴりっと包を破り、おなじみのピンクの製品を取り出す。
しゃがんで、するりとかぶせてくれた。
「じゃ、はやくやっちゃいましょ」
そう言って、ふたたび、後ろ向きにお尻をつきだしてくれた。
おれは遠慮なくぶちこんだ。
「あひっ」
姉の首がのけぞる。
まだ潤いが足りず、痛かったのかもしれない。
あまり動かずに、姉の耳たぶや首筋を舐めてやった。
じわりとあそこの滑りがよくなってくる。
姉の方から動き出した。
「うっ、うっ、くっ…」
にち、にち、ぬち…
姉の多めのお汁つゆが滑らかさを増してくれる。
おれのストロークも大きくなる。
「ね、クリちゃんもお願い」
姉がねだる。
右手を姉の腹の方に差し込んで、クリトリスを探し、「の」の字で掻いてやった。
「きゃん」
「いいのかよ」
「いいっ。立ってらんない」
姉の大きな胸を、今度は空いた左手でもみしだく。
ブラウス越しだが、その豊かな肉のかたまりは重くおれの手のひらに乗っかる。
乳首がシコって大きくなっているのがブラの上からでもわかった。
姉の乳首は大きいのだ。
次第に、膣がきゅっきゅと締り始め、姉が気持ちよくなっているのがわかる。
じゅるっ…
あねがよだれをすする。
姉は濡れやすいが、そのせいか唾液も多いのだ。
おれはフィニッシュに向かってガンガン突いた。
「やっ、やめて、だめ、いっちゃう~」
「いくよ、いくよっ」
「しんちゃん、だめっ」
「ねえちゃん!」
奥深くでおれは放った。
コンドームを突き破る勢いで射精した。
ふはぁ
姉が便器を抱きかかえるようにつぶれ、じゅぼんとペニスが抜けた。
ペニスはまだ大きなまま、保っていた。
コンドームの精液溜めが白い玉のように膨らんでぶら下がっている。
トイレットペーパーで何重にも巻いて「証拠品」を汚物入れに捨てた。
チャイムが鳴った。
「もうお昼よ」
おれたちは、そそくさと着衣を整え、姉を後に、おれが回りをうかがって先に女子トイレから飛び出した。
姉はしばらくして、髪を整え、化粧を直してトイレから出て来た。
「おまたせ」
「姉ちゃん、きれいだぜ」
「ばか。行くわよ」
「腹減ったぁ」
「駅前でなにか、おいしい物食べよ」
「うん」
おれたちは、また満開の桜の下を肩を並べて歩いて行った。
怪訝そうにおれたちを見ていく新入生を尻目に。
(おしまい)
第一志望の此花(このはな)学園高校に入学できたのだから。
その名に違(たが)わず、桜並木が校門から校舎まで続いている。
本校は、近隣の桜の名所としても名高いのだった。
今日は入学式なのである。
おれは、学園のエンブレムも誇らしい紺サージの真新しいブレザーに身を包み、桜の下を闊歩している。
「しんちゃん!」
後ろから姉の声がした。
「姉ちゃん」
振り向いて返事をした。
姉がこれまで母親代わりに、何くれとなく世話を焼いてくれ、ここまで来ることができたのだ。
難関の入試を一緒に戦った同志のような気持ちさえした。
九年前に母が脳梗塞で帰らぬ人となり、それからずっと姉は勤めながら、おれの面倒をみてくれた。
父がメキシコに単身赴任している関係もあって、いつも二人っきりなのだった。
「しんちゃん、いいわぁその制服。ぴったり」
「姉ちゃんこそ、見違えたよ。普段、そんな格好しないもんな」
ジャージ姿の姉しか知らないおれは、姉のスーツ姿が眩しかった。
細い体に、アンバランスに大きな胸がスーツを押し上げ、カトレアのコサージュを揺らす。
二人で式場の講堂まで並んで歩いた。
おれとの歳の差は五つ。
他人が見たら恋人同士に見えるだろう。
薄い化粧をした姉を誇らしくも思った。
濡れたような唇は、口紅のせいだろうか?
道行くほかの生徒の家族さんにお願いして校舎の前で写真を撮った。
「若いお母さんね」
「違うんです。姉なんです。母の代わりで」
「あらそうなの。どうりで」
びっくりしたようなその奥さんは、後ろにいるメガネの少女の母親だろう。
「はい、チーズ」
パシャ
「あたしたちも撮っていただこうかしら」
「ええ、よろこんで」
姉が、奥さんからカメラを受け取る。
式は滞り無く終わり、新しいクラスに誘いざなわれ、教科書の入手方法や学園の決まり事、明日以降の予定など、担任よりオリエンテーションがなされた。父兄とはいったん別れる。
担任は草下(くさか)という男の先生で、定年前っていう感じだった。
後で知ったことだが、歳は五十になったばかりだそうで、だとすれば、えらく老けて見える先生だった。
クラスの面々は三十人余りと、ゆとりのある人数だった。
男女半々で、みな賢そうな顔をしているように見えた。
どうやら、メガネの生徒が多いのだ。
と、さっきの少女も同じクラスにいることに気づく。
向こうもおれを認め、笑顔を返してくれた。
「待った?」
説明会から開放され、一階のピロティ付近で人待ち顔の姉を見つけ、駆け寄った。
「長かったわね。オリエンテーリング」
「オリエンテーションだよ。それじゃあゲームじゃないか」
「あはは、そうだわね」
「もう帰ってもいいんだけど、学校の中を見ていこうか」
「そうね、せっかくだしね」
一号館からぶらぶらと歩いた。
部活動の勧誘も始まっている。
古い校舎は大正時代のものだそうで、天井が高かった。
戦後はGHQに接収された経緯を持つ石造りの校舎であると学校案内に説明があった。
大理石だろうか、つややかな石で覆われた壁や階段の前に行き着いた。
「上がってみようよ」
「うん」
姉が、えくぼを作って頷いた。
革靴の底が乾いた音を立てる。
二階は階段教室のようで、だれもいなかった。
学級があるのは二号館から三号館であり、四号館は中等部だった。
天井は高く、廊下はぴかぴかに磨かれたリノリウムで、どこか病院を思わせた。
おれは姉の手を取って引き寄せるようにして歩いた。
だんだん二人の距離が縮まり、肩を寄せ合った。
誰もいない校舎。
遠くで部活動をしている学生の甲高い声が聞こえる。
「姉ちゃん」
「なによ。しんちゃん」
いつものように、おれは姉の唇を奪った。
あむ…
トイレがおあつらえ向きにそこにあった。
おれは、姉を女子トイレに連れ込み、奥の個室に入った。
「ちょっと…」
「いいだろ?おれもうたまんないよ」
「こんなところで…誰かに見つかったらどうすんのよ」
「だれも来やしないって。こんな端っこの便所」
入学式の日は在校生は、まだ春休み中なのである。
おれは、そんなことより、姉のスーツ姿に欲情してしまっていた。
高校受験の勉強で遅くまで頑張っていた頃、行き詰まって姉に甘えてしまったことがきっかけで、二人はこんな関係になってしまった。
「ああん、だめだったら。もう」
甘い姉の声が、拒否していないとおれは見た。
姉を便器に座らせ、スーツの上着を取り、ドアの上の荷物掛けにひっかけた。
白いブラウスの下に豊かな胸が震えている。
姉の甘い口にもう一度接吻をした。
はぷ…
おれのペニスはギンギンに立ち上がって新しいスラックスをつっぱらせている。
姉はめざとくそれを見つけ、手を伸ばしまさぐる。
「おっきくして…」
「あたりまえさ。こんないい女を前に立たないわけがないさ」
「お上手」
ジッパーが下げられ、姉の細い指がパンツの中に侵入する。
冷たい手だった。
「かっちかちね。どうする?後ろからする?」
「そうだね、ここ狭いからな」
姉は便座から立ち上がると、タイトスカートの下からストッキングとショーツをくるくると下ろして、後ろ向きになってくれた。
「あ、ちょっと待って」
姉が、スカートのポケットから包みを出す。
コンドームだった。
「今日はしてね。してあげようか?」
おれは無言で勃起を、姉に向けた。
「危ない日なのか?」「それもあるけど、スーツを汚されたくないのよ」「ああ、そうだね」
ぴりっと包を破り、おなじみのピンクの製品を取り出す。
しゃがんで、するりとかぶせてくれた。
「じゃ、はやくやっちゃいましょ」
そう言って、ふたたび、後ろ向きにお尻をつきだしてくれた。
おれは遠慮なくぶちこんだ。
「あひっ」
姉の首がのけぞる。
まだ潤いが足りず、痛かったのかもしれない。
あまり動かずに、姉の耳たぶや首筋を舐めてやった。
じわりとあそこの滑りがよくなってくる。
姉の方から動き出した。
「うっ、うっ、くっ…」
にち、にち、ぬち…
姉の多めのお汁つゆが滑らかさを増してくれる。
おれのストロークも大きくなる。
「ね、クリちゃんもお願い」
姉がねだる。
右手を姉の腹の方に差し込んで、クリトリスを探し、「の」の字で掻いてやった。
「きゃん」
「いいのかよ」
「いいっ。立ってらんない」
姉の大きな胸を、今度は空いた左手でもみしだく。
ブラウス越しだが、その豊かな肉のかたまりは重くおれの手のひらに乗っかる。
乳首がシコって大きくなっているのがブラの上からでもわかった。
姉の乳首は大きいのだ。
次第に、膣がきゅっきゅと締り始め、姉が気持ちよくなっているのがわかる。
じゅるっ…
あねがよだれをすする。
姉は濡れやすいが、そのせいか唾液も多いのだ。
おれはフィニッシュに向かってガンガン突いた。
「やっ、やめて、だめ、いっちゃう~」
「いくよ、いくよっ」
「しんちゃん、だめっ」
「ねえちゃん!」
奥深くでおれは放った。
コンドームを突き破る勢いで射精した。
ふはぁ
姉が便器を抱きかかえるようにつぶれ、じゅぼんとペニスが抜けた。
ペニスはまだ大きなまま、保っていた。
コンドームの精液溜めが白い玉のように膨らんでぶら下がっている。
トイレットペーパーで何重にも巻いて「証拠品」を汚物入れに捨てた。
チャイムが鳴った。
「もうお昼よ」
おれたちは、そそくさと着衣を整え、姉を後に、おれが回りをうかがって先に女子トイレから飛び出した。
姉はしばらくして、髪を整え、化粧を直してトイレから出て来た。
「おまたせ」
「姉ちゃん、きれいだぜ」
「ばか。行くわよ」
「腹減ったぁ」
「駅前でなにか、おいしい物食べよ」
「うん」
おれたちは、また満開の桜の下を肩を並べて歩いて行った。
怪訝そうにおれたちを見ていく新入生を尻目に。
(おしまい)
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