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アイドル喰い 最終話
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しおんはテレビで売れっ子になりつつあった。
俺はテレビの中で弾ける彼女を見て満足だった。
ほんとに良かったと思う。
父親が、児島競艇場でいざこざに巻き込まれて刺されて死んだそうだ。
彼女はせいせいしたと言った。
母親と上京し、いっしょに暮らしているそうだ。
大物プロデューサーのA氏と酒席を共にする機会が何度かあった。
俺の担当する番組にも関係していたからだけれども。
俺にとっては大先輩にもあたるA氏だから、そうでなければ、俺なんかと飲んではくれない。
「彼女らは売れたいんですよ」
A氏は言う。
「注目を浴びたい一心なんだ」
独り言のようにそう言うのだった。
そして、隣に座っていた俺に向き直って
「だから弱みを握るんです」
その目は笑っていなかった。
寝るのが一番とでも言いたげなその語感は、当らずといえども遠からずだろう。
だいぶ、酔ってはいたがはっきり覚えている。
シマちゃんこと島田は、俺の担当番組のディレクターで名刺には某テレビ局のロゴが入っていて、いかにもそこの社員みたいだが、違った。
彼も、下請け制作会社の社員だったのだ。
正社員だが、世間一般のそれではない。
契約社員よりも不安定な身分だった。
当然、結婚など夢のまた夢だといつも言っている。
だからか、女にはだらしがない。
やつは、テレビに出たいがためにテレビ局に群がる乙女を食い漁るハゲタカである。
泣かせた女の子は数知れない。
親に怒鳴り込まれたこともあったとか。
恐い兄さんに追っかけられたとか。
武勇伝は尽きない。
それでもテレビの仕事はやめられないとうそぶく。
やっぱり「おいしい」のだ。
しおんとは、すぐに没交渉となった。
俺から、遠ざかったのだ。
これからはビジネスでのお付き合いにしようと、俺から別れ話をもちかけた。
「もうプロ同士なんだからな」
彼女は涙ぐんで「ありがとう」と言って去っていった。
もし妊娠させていたらと思うと、ぞっとしたけれど。
相変わらず、シマちゃんは女を紹介してくる。
俺も嫌いじゃないから、いただいてしまう。
学習をしないサルか・・・俺は。
俺はテレビの中で弾ける彼女を見て満足だった。
ほんとに良かったと思う。
父親が、児島競艇場でいざこざに巻き込まれて刺されて死んだそうだ。
彼女はせいせいしたと言った。
母親と上京し、いっしょに暮らしているそうだ。
大物プロデューサーのA氏と酒席を共にする機会が何度かあった。
俺の担当する番組にも関係していたからだけれども。
俺にとっては大先輩にもあたるA氏だから、そうでなければ、俺なんかと飲んではくれない。
「彼女らは売れたいんですよ」
A氏は言う。
「注目を浴びたい一心なんだ」
独り言のようにそう言うのだった。
そして、隣に座っていた俺に向き直って
「だから弱みを握るんです」
その目は笑っていなかった。
寝るのが一番とでも言いたげなその語感は、当らずといえども遠からずだろう。
だいぶ、酔ってはいたがはっきり覚えている。
シマちゃんこと島田は、俺の担当番組のディレクターで名刺には某テレビ局のロゴが入っていて、いかにもそこの社員みたいだが、違った。
彼も、下請け制作会社の社員だったのだ。
正社員だが、世間一般のそれではない。
契約社員よりも不安定な身分だった。
当然、結婚など夢のまた夢だといつも言っている。
だからか、女にはだらしがない。
やつは、テレビに出たいがためにテレビ局に群がる乙女を食い漁るハゲタカである。
泣かせた女の子は数知れない。
親に怒鳴り込まれたこともあったとか。
恐い兄さんに追っかけられたとか。
武勇伝は尽きない。
それでもテレビの仕事はやめられないとうそぶく。
やっぱり「おいしい」のだ。
しおんとは、すぐに没交渉となった。
俺から、遠ざかったのだ。
これからはビジネスでのお付き合いにしようと、俺から別れ話をもちかけた。
「もうプロ同士なんだからな」
彼女は涙ぐんで「ありがとう」と言って去っていった。
もし妊娠させていたらと思うと、ぞっとしたけれど。
相変わらず、シマちゃんは女を紹介してくる。
俺も嫌いじゃないから、いただいてしまう。
学習をしないサルか・・・俺は。
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