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聖剣じゃない?
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勇とエリカはイルワー邸の扉を蹴破った
大きな広間の奥に剣を持った男がにやけて立っている
その男は一見細身の身長180cmくらい
黒髪を後ろで結い、執事のような黒服を纏い
どうみても人の姿にしか見えないが
その目は赤く、獣のような瞳をしていた
ニヤリと笑うその歯には牙が光る
『魔人フォカロル』
エリカがその男を見て一目で
人でないと判断した
『あれ?名乗ったかな?
これから自己紹介しようと思ったのに・・・
うまくクラーケンから逃げ切れたようだね
待ってたよ~脳筋勇者さん』
フォカロルは勇がクラーケンを倒す事を
想定していないようだった
しかし待っていたと言ったり
勇者と呼ぶあたりから
この展開を読んでいた事は明らかだった
勇が一歩前に出て
『聖剣を返して!
そして人魚姫も返しなさい!!』
フォカロルに向かって叫ぶ
フォカロルは相変わらずにやけた顔で
『聖剣ねぇ~~~ククク
昔勇者が使ってたんだっけ?
これはねぇ~魔剣だよ
なんで勇者が持ってたのか知らないけど
これは僕らの世界の物だ
聖剣だと思ってワクワクしてたんだけど
いざ手に入れたら魔剣と分かってガッカリだよ
まったく~
えっと~あと人魚だっけ
どうして君らが人魚を欲しいのかな?
奴ら魚人が君らに頼むとも思えないんだけどなぁ?
まっいいか
人魚姫はさて、どこかな?』
フォカロルは人魚姫の事など
全く興味がない様子だった
魔剣の話は聞かなくても話したが
人魚の話になると笑みすら浮かべなかった
勇はフォカロルのヘラヘラとした態度にイラッとした
『聖剣でも魔剣でもいいから返して!
人魚姫だったここにいるのは知ってるんだから
とぼけたって無駄よ!!
聖剣と一緒に返してもらうからね!』
そう言って構えをとる勇だったが
フォカロルは魔剣を持ち上げて刀身を
下から眺めながら
『人魚ね、僕を倒したら教えて上げてもいいよ』
勇は構えた状態のまま
『ダメよ、あなた倒したら何も言えなくなってる
先に教えて!』
フォカロルは勇の言葉に笑い始める
『アハハハ、倒す気なんだね
ククク、フハハハ
なら僕を倒した後にその上にいてる
おっさんにでも聞けばいいよ』
指で2階を差すフォカロル
大きなホールを見渡せる2階のベランダから
こちらをこっそり見ているイルワーがいた
自分の存在をバラされて驚くイルワー
エリカが睨みを効かせる
『ヒッ!わたわたわたしは私は何も知りませんよ!!!!』
小心者で卑怯者さがにじみ出るイルワー
そんなイルワーの姿を見てまた笑うフォカロル
その一瞬の隙に勇が飛び込む
そして電光石火の正拳をフォカロルに叩き込む
キィィィィィィン
衝撃音と共に寸前で拳が止まった
そしてそこには魔法陣が現れていた
『あっぶな~~
脳筋の勇者ちゃん
君の事は聞いてるよ~
王都ではあのバカを
辺境の村では周りを腐らせるしか脳のないゾンビを
圧倒的パワーでぶちのめしたんだろう
その脳筋っぷりは魔界でも
ちょっとした話題になったよ
噂に聞く勇者像とは違うってねククク
僕は殴られたくないんでね
物理障壁を張らせてもらったよ
だって痛いのは嫌だろ?アハハハ』
そう言って魔剣を勇に向かって振りかざす
勇は大きく後ろにジャンプして紙一重でかわし
エリカの横に落ち着く
『ねっ物理障壁ってなに?』
勇は前を向いたままエリカに尋ねた
エリカは勇の少し後ろに下がりながら
『物理的な攻撃を弾くのよ
直接的に殴ったり
棒や剣とか武器による攻撃もだけど
物理的な攻撃は全て弾かれてしまう
そんな壁が魔法で作られているのよ
でもね
魔法攻撃ならどうかしらね!
ファイヤーランス!!!!』
少し後ろに下がったのは
勇の後ろに回る事で
魔法の発動をフォカロルに
気がつくのを遅らせる為だった
勇はその意を汲み取り
少し屈んだ瞬間エリカが
勇の背中に足をかけ
大きくジャンプし炎の槍を上空に出現させた
後はフォカロルに炎の槍を投げつけるだけ
だったのだが
フォカロルは手のひらをサッとエリカに向けて
『物理がダメなら魔法だよね
安易なんだよ!考え方が!!
魔法使いちゃん
君はちょっと邪魔だね!
どっか行っててくれるかな!!』
そう言った直後
エリカに向かってフォカロルの手のひらから
突風が吹き荒れる
エリカはその風に煽られ
屋敷の外に放りだされてしまった
そしてフォカロルはもう一方の手を顔に
持って行き何か呟く
地面に黒い渦が4個広がり
そこから大きな狼が飛び出し
エリカを追って屋敷を飛び出していく
エリカは空中で体勢を取り直し
フォカロルは狼達に
『行け!ヘルファング!!』
フォカロルの指示を受けて屋敷を
飛び出していく狼達
エリカは不得手な風魔法を少し使って
落下する勢いを緩めた
慌てて勇も屋敷を出たが
その姿を見たエリカが
『私は大丈夫だから
魔人をお願い!!!』
そう言ってエリカは
屋敷の少し離れた森の中へ消えた
見えなくなったエリカの方へ
大きな狼達も追いかけるように
走って行った
勇はエリカの言葉を信じ
フォカロルと対峙する
続く
大きな広間の奥に剣を持った男がにやけて立っている
その男は一見細身の身長180cmくらい
黒髪を後ろで結い、執事のような黒服を纏い
どうみても人の姿にしか見えないが
その目は赤く、獣のような瞳をしていた
ニヤリと笑うその歯には牙が光る
『魔人フォカロル』
エリカがその男を見て一目で
人でないと判断した
『あれ?名乗ったかな?
これから自己紹介しようと思ったのに・・・
うまくクラーケンから逃げ切れたようだね
待ってたよ~脳筋勇者さん』
フォカロルは勇がクラーケンを倒す事を
想定していないようだった
しかし待っていたと言ったり
勇者と呼ぶあたりから
この展開を読んでいた事は明らかだった
勇が一歩前に出て
『聖剣を返して!
そして人魚姫も返しなさい!!』
フォカロルに向かって叫ぶ
フォカロルは相変わらずにやけた顔で
『聖剣ねぇ~~~ククク
昔勇者が使ってたんだっけ?
これはねぇ~魔剣だよ
なんで勇者が持ってたのか知らないけど
これは僕らの世界の物だ
聖剣だと思ってワクワクしてたんだけど
いざ手に入れたら魔剣と分かってガッカリだよ
まったく~
えっと~あと人魚だっけ
どうして君らが人魚を欲しいのかな?
奴ら魚人が君らに頼むとも思えないんだけどなぁ?
まっいいか
人魚姫はさて、どこかな?』
フォカロルは人魚姫の事など
全く興味がない様子だった
魔剣の話は聞かなくても話したが
人魚の話になると笑みすら浮かべなかった
勇はフォカロルのヘラヘラとした態度にイラッとした
『聖剣でも魔剣でもいいから返して!
人魚姫だったここにいるのは知ってるんだから
とぼけたって無駄よ!!
聖剣と一緒に返してもらうからね!』
そう言って構えをとる勇だったが
フォカロルは魔剣を持ち上げて刀身を
下から眺めながら
『人魚ね、僕を倒したら教えて上げてもいいよ』
勇は構えた状態のまま
『ダメよ、あなた倒したら何も言えなくなってる
先に教えて!』
フォカロルは勇の言葉に笑い始める
『アハハハ、倒す気なんだね
ククク、フハハハ
なら僕を倒した後にその上にいてる
おっさんにでも聞けばいいよ』
指で2階を差すフォカロル
大きなホールを見渡せる2階のベランダから
こちらをこっそり見ているイルワーがいた
自分の存在をバラされて驚くイルワー
エリカが睨みを効かせる
『ヒッ!わたわたわたしは私は何も知りませんよ!!!!』
小心者で卑怯者さがにじみ出るイルワー
そんなイルワーの姿を見てまた笑うフォカロル
その一瞬の隙に勇が飛び込む
そして電光石火の正拳をフォカロルに叩き込む
キィィィィィィン
衝撃音と共に寸前で拳が止まった
そしてそこには魔法陣が現れていた
『あっぶな~~
脳筋の勇者ちゃん
君の事は聞いてるよ~
王都ではあのバカを
辺境の村では周りを腐らせるしか脳のないゾンビを
圧倒的パワーでぶちのめしたんだろう
その脳筋っぷりは魔界でも
ちょっとした話題になったよ
噂に聞く勇者像とは違うってねククク
僕は殴られたくないんでね
物理障壁を張らせてもらったよ
だって痛いのは嫌だろ?アハハハ』
そう言って魔剣を勇に向かって振りかざす
勇は大きく後ろにジャンプして紙一重でかわし
エリカの横に落ち着く
『ねっ物理障壁ってなに?』
勇は前を向いたままエリカに尋ねた
エリカは勇の少し後ろに下がりながら
『物理的な攻撃を弾くのよ
直接的に殴ったり
棒や剣とか武器による攻撃もだけど
物理的な攻撃は全て弾かれてしまう
そんな壁が魔法で作られているのよ
でもね
魔法攻撃ならどうかしらね!
ファイヤーランス!!!!』
少し後ろに下がったのは
勇の後ろに回る事で
魔法の発動をフォカロルに
気がつくのを遅らせる為だった
勇はその意を汲み取り
少し屈んだ瞬間エリカが
勇の背中に足をかけ
大きくジャンプし炎の槍を上空に出現させた
後はフォカロルに炎の槍を投げつけるだけ
だったのだが
フォカロルは手のひらをサッとエリカに向けて
『物理がダメなら魔法だよね
安易なんだよ!考え方が!!
魔法使いちゃん
君はちょっと邪魔だね!
どっか行っててくれるかな!!』
そう言った直後
エリカに向かってフォカロルの手のひらから
突風が吹き荒れる
エリカはその風に煽られ
屋敷の外に放りだされてしまった
そしてフォカロルはもう一方の手を顔に
持って行き何か呟く
地面に黒い渦が4個広がり
そこから大きな狼が飛び出し
エリカを追って屋敷を飛び出していく
エリカは空中で体勢を取り直し
フォカロルは狼達に
『行け!ヘルファング!!』
フォカロルの指示を受けて屋敷を
飛び出していく狼達
エリカは不得手な風魔法を少し使って
落下する勢いを緩めた
慌てて勇も屋敷を出たが
その姿を見たエリカが
『私は大丈夫だから
魔人をお願い!!!』
そう言ってエリカは
屋敷の少し離れた森の中へ消えた
見えなくなったエリカの方へ
大きな狼達も追いかけるように
走って行った
勇はエリカの言葉を信じ
フォカロルと対峙する
続く
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