青春は嘘をつく

2.どうせ暇でしょ？

 なぜこんなことになっているかわからない。僕の前には美女が2人ならんでいる。さっきまで1人で教室にいたはずなのに…

～5分前～
突然話しかけられた僕は慌てていた。のぞきみたいで気持ち悪いとか思われていたらどうしよう。
「私、谷村梨風！君の名前は？」
「あ、えっと、西優樹。」
「よろしく！優樹はこんなとこで何してるの？私？私は歌ってるの！」
そりゃ見ればわかるって。そう思ってたけど言わなかった。

「ふふふ、私いいこと考えちゃった。」
ニヤニヤしてる彼女の顔を見て。本能的に嫌な予感がした。
「どうせ暇でしょ？放課後にこんなところにいるなんて。ちょっときて！」
そう言って彼女は僕の手を取って引っ張った。
「どこに行くのさ。いや、それより僕は暇じゃないんだけど！今から委員会があって…」
眉間にシワを寄せて彼女は言った。
「え？委員会って昨日でしょ。」
「え…」

そんなこんなで僕は梨風に連れられて、そのまた他クラスの教室の机に腰掛けていた。
「あっ、秀美遅い！この人にした！いいでしょ！？」
教室に入ってきたのは日本人離れした端正な顔立ちの美女だった。
「この人西優樹くん！暇人！」
「またそうやって無理やり連れてきて…あんた本当強引ね。えっと、西くん？梨風がごめんね。嫌だったら帰っていいからね。」
美女に話しかけられ速くなる鼓動。しかしそんなことどうでとよかった。
「嫌も何も、僕はなんで連れられてきたのかわからないだけど…」
そう、なぜこんなことになってるのか全くわからなかった。他クラスを覗いただけで美女2人の前に座ってる。これは何事だ。
「あー、言うの忘れてた！君、暇でしょ？バンドやろうよ！」

この一言が僕の人生を変えるのだった。