虐待と闇と幸福

千夜 すう

文字の大きさ
上 下
1 / 19
学生編

第1話

しおりを挟む
私の家族は一般の人とは少し違う精神を掲げてる。


「助け合いの精神」

この言葉と行動は、我が家の家訓である。

とても素晴らしい言葉で、普通に持ってて当たり前であり、素晴らしい精神ではないかと思われるであろう。

人は一人で生きていけるとは思ってない。

助け合わなければ生きてけないと思ってる。

それでは、家族が一般の人と違う精神と言うのは何故でしょう。

答えは簡単、度合いです。

素晴らしい精神も、やり過ぎてしまえば人を殺すし壊してしまう。

だから、私はこの言葉が世界で1番嫌いだ。


そして、助け合いの精神と言う人ほどに、ではなくに位置する者達が多い。


現に、父の親戚に助け合いの精神と言って、施しを貰っている。


父も親戚も疑問を持たずに、それが当たり前だと受け入れてる。


私は、その事実が心底気持ち悪くてしょうがない。


両親は共働きだが、収入としては普通である。


決して、他人に施しをするほどの余裕と裕福さはない。


それなのに、私の父親は、父方の祖父母、父の妹に、その子供を甘やかしてる。


母に聞いたことがある。
何故、父方の人達にお金をあげたりするの?と....


「田舎の人達よ。父さんが長男だから面倒を見るのが当たり前。同居をしないだけマシよ」

子供の貴方には、まだ難しい話しよね。

当時、幼かった私には理解が出来なかった。

そして、大人になった今でも理解が出来なかった。

理不尽極まりない行為であると、幼い時よりも大人になってからの方が実感してる。

父が、助け合いの精神で父方に尽くせいで、子供心に欲しいと願った物は、お金が無いから諦めろと言われた。

「クラスの皆が持ってて、私だけ持ってないの嫌だ。凄く、馬鹿にされるし私だって欲しい」

「我が家にはお金が無いんだ。我慢しろ」

テーブルに大きな音を立てて拳を置かれ、それに若干の恐怖を覚え、身を潜ませても父は構わずに私を怒った。

私は幼い時に流行ってるゲームソフトが欲しかった。

私は、我慢させられていたのに同い年の従姉妹には、そのゲームソフトをクリスマスプレゼントと言いながら渡していた。

従姉妹が持っている事で、より一層に諦めきれずに、ご飯が喉を取らずに食べれなくて、号泣する程に精神的に辛いと思っても、私の我儘と片されて怒られる日々を過ごしてた。

その理不尽さを今でも忘れられない。



その人たちのせいで、お金が無くて我慢させられたのに、なんで?

なんで、私が欲しかったものを従兄弟にあげたの?

心底に、理解が出来なかった。

「なんで?私が欲しかった物をあげちゃうの?なんで、私が我慢しなきゃいけないの?」

「お前は、自分の欲望を優先する最低な奴だ。人を助ける優しさを持ってないのか?そんな子に育てた覚えないぞ」

母は私を助ける事は無かった。

「なんて、馬鹿な子なの?」

呆れた様に言われ、心からそう思われてる様にため息を吐かれた。


それから、私はもっと理不尽を押し付けられた。




しおりを挟む

処理中です...