異世界召喚されたけど必要ないと言われて魔王軍の領地に落とされた私は『魔物使い』の適性持ちですよ?

はむ

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ハイオーガさんは立ち止まると、両手を広げて目を閉じ、深く深呼吸した。

すると…

ぼわっと、ハイオーガさんの体の表面が淡い光に包まれる。



「まずは、こうやって魔力を自分の体に巡らせるんだ」



私も早速真似をしてみる。

肩幅に足を広げて、両手を広げ深呼吸。

すると、身体中を血潮ではない何かで満たされるような感覚になる。

…それに、なんだか体が暖かくなってきた。

これが魔力を身体に巡らせる感覚か。

この感覚を忘れないうちに、いむに話しかけてみる。

「いむ、私の声聞こえる?」

『ご主人の声、はっきり聞こえる!』



おぉ!?魔力の使い方が上手くなったからか、いむの声が前よりクリアに聞こえる!



「おぉ、さっそく掴めてんじゃねぇか!才能あるぜ!嬢ちゃん!しっかし、すげぇよなぁ。スライムと話すことってなかなか出来ねぇってのに」

「え、そうですかね?えへへへへ」

「いや、嬢ちゃんじゃなくてスライムがすげぇんだ」




私じゃないんかい。

すっかりご機嫌斜めになってしまったけど、いむが凄いって話は気になる…どう凄いんだ?レアスライムとか??



「普通はスライムとは会話出来ないんですか?」

「あぁ。普通のスライムってのは知性をもたない。だから、念話も出来ねぇはずなんだが…そいつぁ多分希少種だな」



希少種…!!

うちのいむが希少種だなんて…


さすがうちの子だわ!天才!





歩き始めてかなり日が傾いたようで、茜色の日差しが森を照らしている。

そろそろ野宿の用意をしようとした時



「嬢ちゃん、着いたぜ。ここが、魔王軍の本拠地だ!」




禍々しい色のドクロがでかでかと乗った正門の奥に、まさに魔王城という言葉がピッタリのお城があった。



おそらくここの人たちは友好的だろうけど、やっぱりこれを見ると…怖い!!


私は、勇者パーティが魔王城に足を踏み入れる時のような覚悟で本拠地に入った。
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