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5.ゴリラは足が速い
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引きこもりたい休日に限って、使いっ走りを言い渡される。
「ったく、そろそろ息子の生態把握しろっつーの」
ブツブツと独りごと言いつつも、回覧板を片手に家を出た。
一時期ひどかった無気力も、この時期になれば少しずつ回復してきた証だな。
とはいえ。やってたゲームを中断させられて不機嫌にならないほど、俺は人間できてないもんでね。
乱暴にドアをしめて、小さな門扉を開ける。
「お隣……ゲッ」
回覧板持っていくの、ゴリラのとこじゃん。嫌だなぁ、顔なんか合わせちまったら。
だいたい、俺が酷い目にあってんのはアイツのせいだ。
ホモだって事実無根の噂は学校中に広まってるし、体操服は取られた(銀児が見つけてくれたけど)し。あと俺自身もずぶ濡れになった。
教科書かくされたこともあったな。
あれも銀児が見つけてくれた。
「ハァ」
大きなため息をついて、歩き出す。
『しばらくゴリラに近づくな』っていう彼のアドバイスで、放課後嬉しそうに寄ってくるヤツから必死で逃げた。
あれは正しくゴリラに襲われるウサギだ、と他のクラスの奴らに笑われた時は振り返ってぶん殴ってやろうかと。
「あれ陸斗君、出かけるの?」
「ぅわ……でたなゴリラ」
俺の脳内にはRPGで敵と遭遇した時のBGMが鳴り響いた。
たたかう
じゅもん
にげる
どうぐ
もちろん『にげる』だ。
「さらばっ、ゴリラ!」
「えっ、えぇぇ!?」
背を向けて脱兎のごとく走りさる俺に、ヤツは度肝を抜かれたようだ。
お世辞にも足がはやいとは言えないが、それでも懸命に両足を動かして走り続ける。
「陸斗君待ってよぉ」
「待つかぁぁ、このクソゴリラ!!」
叫ぶのも酸素がいるらしい。
既に息も絶え絶えな気分なのだが、それこそ捕まってたまるか。筋肉まみれの燃費最低な身体を恨むがいいわっ。バーカバーカっ。
とは、言っても。
「ぅ、はぁ……っ、ぁ……っ」
呼吸もままならない。
足も痛くなってきたし、なにより脇腹が痛くて。
立ち止まればきっとラクになる、なんて頭のはしっこで思ってる。でも止まれば。
「つーかまえた」
「ひぃぃぃっ!!!」
ガシィ、っと掴まれた肩ごしに首を曲げればヤツがいた。
気配もなく。あのクソ暑苦しくて重たそうな筋肉の鎧を付けて、追いつくだと!?
「いやぁ。速いねぇ」
「黙れ! このバケモノがぁぁッ」
なんなの、怖すぎ。ゴリラだと思ったら、クマだったってこと?
クマって結構早いし、死んだフリしても無駄なんだったっけ。
「ひどいなぁ」
苦笑いしてるけど、あいかわらずムキムキした身体に弾けんばかりのピチTだ。
ありえない所の筋肉浮き上がって見えて、気色悪ぃ。
「突然逃げるんだもん。アレだと思った」
「アレ?」
「ほら『うふふ、私を捕まえてごらんなさい』って砂浜でやるやつ」
「アタマ腐ってんのか、お前は」
ここは住宅街だし、そういうのはカップルがやるもんだろ。
それに、さっきのは間違いなく『狩猟』だったと思うぞ。それか獲物をいたぶって遊ぶ猛獣か。
そんな事を考えていたら、吾郎が眉を下げる。
「ね。なんで逃げるの?」
「うっさい」
言ってやればいいんだ。
『お前のファンに、やられたんだバカヤロウ』
んでもって。
『もう俺に近付くな』って。
特に二つ目を怒鳴りつけてやれば。
いくらアホでゴリラで変態ホモ野郎でも、別に悪人じゃないからな。
泣きべそかきながらでも、うなずくだろう。
「ねぇ。なんで?」
「そ、それは……」
言ってやればいい。
「僕のこと、そんなに嫌い?」
「え、ええっと」
言ってやれば。
「やっぱり迷惑だったんだね」
「え」
「ごめん、陸斗君の気持ちを考えずに」
「あ……」
「でもね。僕、うれしかったんだ。初めて、好きになった人に結婚の約束できてさ」
「うっ」
「僕は陸斗君がどんな姿でも、大好きだし愛してる。でもそれを君に押し付けるべきじゃなかったよね」
「そ、そんな事」
「……もうやめるね」
「えっ?」
「嫌われるくらいなら、身を引くよ。今までありがとう、ごめん」
「ちょ……!」
あっさりデカい背中を、俺に向けて去っていく。
しょぼくれた姿。それにどうしよもなくムカついたのは確かで。
「おい待てよ、このアホゴリラ! 史上最低な類人猿!! 進化前の原人野郎、人間様の話を聞きやがれぇぇぇっ」
声の限り、勢い任せで怒鳴りつけた。
ついでに助走つけてムダに広い背中に飛び蹴り食らわせてやった。
それでもビクともしないコイツは、本当に人間なのだろうか。本当にゴリラのDNAの持ってんじゃないだろうな? だとしたらもは人外だ。
「痛いなぁ」
ボソリとつぶやき、困ったような顔がこちらを向く。
痛いというが、その顔はそんな事微塵も感じちゃいない。余裕中の余裕って感じ、ムカつく。
「勝手に決めつけるなよ」
「陸斗君」
「確かにお前はめんどくさい。あと俺はホモじゃないし、マッチョは暑苦しい。この温暖化の時代に、バッカじゃねぇの!」
「?」
じゃなくて。
まずいぞ、本題がそれまくっている。
俺が言いたいのはそうじゃなくって。
「別に……嫌いとかじゃ、ない」
うわぁぁぁっ、俺なに言ってんだぁぁぁ。
どこのツンデレだよ。テンプレ過ぎて吐き気がするわ!!
なんか俺、顔熱いし。まさか頬染めたりしてないだろうな!?
キモすぎるっ、キモすぎるだろ俺!
「陸斗君、それって……」
「ぅ゙わぁぁぁっ、忘れろ! 今すぐ記憶喪失になれ。そうだ、そこにある電柱に思い切り頭打ち付けてみろよっ、そしたら数十分の記憶が吹っ飛ぶかも」
「えぇ、嫌だよ。痛いし」
「じゃあ催眠術でもかけるか。それともスタン●攻撃受けてこい! 確かあっただろ、記憶操作するやつ」
「マンガの話でしょ」
「うるさいうるさいっ、作者は吸血鬼で波●の使い手で究極生物なんだからな! あれはノーフィクションなんだ」
「んなムチャクチャな……」
呆れ顔するゴリラ。それがまたすごく腹が立つ。
だからついに言ってやったんだ。
「俺の恋敵って女のせいで、散々な目にあってんだぞ。少しは責任もって、俺を守れよ! ヘニャチン野郎がーッ!!」
「……どういうこと?」
ハッ、やばいやばい。余計なことまで言っちまった気がする。
『守れ』ってなんだよ。そりゃ外敵から身を守るにはうってつけだろう。なんせガチムチゴリラだもん。
アル●ックよりよっぽど頼りになりそうだ。
でもそういうことじゃない。違う、そうじゃない。
「ねぇ、どういうこと。恋敵? 誰にナニされたの? ねぇ」
薄くでも笑ってた目が、スっと細められた。もちろん笑ってない。真顔だ。怖い。めっちゃ怖い。
思わず後ずさるけど、すごいスピードで距離を詰めてくる。まるで獰猛なバケモノに睨まれた、小動物みたいにガタガタ震えるしかない。
「え、あ、あの……誰って……その」
「もしかして、伍代さん?」
「わ、わかんない」
「分かんない? 恋敵でしょ、彼女」
「でも……」
彼女っていう証拠もない。
限りなく黒に近いけど、真っ黒じゃないんだ。しかも協力者なんていたら、そっちの方は心当たりなんて皆無だし。
俺のそういった心の声まで察したような顔で、アイツは重くうなずいた。
「僕が君を守るよ。いいね?」
「え゙っ」
有無を言わさない空気。というか顔。
かろうじて笑顔らしい形を保っているけど、その目はこころなしか血走ってる。
コイツ、怒るとこんなに怖いのか。ヤバい、なんか泣きそうなんだけど。
「陸斗君、泣かないで」
「え?」
……泣いてる? 俺が?
そこで初めて自分の頬が濡れていて、それが涙なんだと理解した。
「怖かっただろうね。ごめんね、気付いてあげられなくて」
「っ、い、いや、その涙は」
多分、ゴリラの怒りが怖くて泣いたんだと思うぞ。
だって今も足が震えて仕方ない。今にも食われそうだもん。
「恥ずかしがらなくていいんだよ」
「は、恥ずかしがってなんか……っ」
「大丈夫」
「ゔァッ!?」
いきなり、強く抱きしめられて潰れたカエルみたいな声が出た。
これ確か『鯖折り』っていうんだっけ。
想像以上にキツい……!
なにがって、締めあげられて内蔵が出てきそうぅぅっ。
「誰にも、君を傷付けさせないよ」
「あ゙ぅッ、は、な゙、せぇ゙ぇ゙よぉ゙ぉ」
完全に俺の足は宙を浮いてバタついている。
オマケに、なんかヤツの荒々しい息までかかって気持ち悪いし。
……てか、コイツに傷付けられたんだけど。物理的に。
なんて考えつつ、意識が薄れていくのを感じていた。
「ったく、そろそろ息子の生態把握しろっつーの」
ブツブツと独りごと言いつつも、回覧板を片手に家を出た。
一時期ひどかった無気力も、この時期になれば少しずつ回復してきた証だな。
とはいえ。やってたゲームを中断させられて不機嫌にならないほど、俺は人間できてないもんでね。
乱暴にドアをしめて、小さな門扉を開ける。
「お隣……ゲッ」
回覧板持っていくの、ゴリラのとこじゃん。嫌だなぁ、顔なんか合わせちまったら。
だいたい、俺が酷い目にあってんのはアイツのせいだ。
ホモだって事実無根の噂は学校中に広まってるし、体操服は取られた(銀児が見つけてくれたけど)し。あと俺自身もずぶ濡れになった。
教科書かくされたこともあったな。
あれも銀児が見つけてくれた。
「ハァ」
大きなため息をついて、歩き出す。
『しばらくゴリラに近づくな』っていう彼のアドバイスで、放課後嬉しそうに寄ってくるヤツから必死で逃げた。
あれは正しくゴリラに襲われるウサギだ、と他のクラスの奴らに笑われた時は振り返ってぶん殴ってやろうかと。
「あれ陸斗君、出かけるの?」
「ぅわ……でたなゴリラ」
俺の脳内にはRPGで敵と遭遇した時のBGMが鳴り響いた。
たたかう
じゅもん
にげる
どうぐ
もちろん『にげる』だ。
「さらばっ、ゴリラ!」
「えっ、えぇぇ!?」
背を向けて脱兎のごとく走りさる俺に、ヤツは度肝を抜かれたようだ。
お世辞にも足がはやいとは言えないが、それでも懸命に両足を動かして走り続ける。
「陸斗君待ってよぉ」
「待つかぁぁ、このクソゴリラ!!」
叫ぶのも酸素がいるらしい。
既に息も絶え絶えな気分なのだが、それこそ捕まってたまるか。筋肉まみれの燃費最低な身体を恨むがいいわっ。バーカバーカっ。
とは、言っても。
「ぅ、はぁ……っ、ぁ……っ」
呼吸もままならない。
足も痛くなってきたし、なにより脇腹が痛くて。
立ち止まればきっとラクになる、なんて頭のはしっこで思ってる。でも止まれば。
「つーかまえた」
「ひぃぃぃっ!!!」
ガシィ、っと掴まれた肩ごしに首を曲げればヤツがいた。
気配もなく。あのクソ暑苦しくて重たそうな筋肉の鎧を付けて、追いつくだと!?
「いやぁ。速いねぇ」
「黙れ! このバケモノがぁぁッ」
なんなの、怖すぎ。ゴリラだと思ったら、クマだったってこと?
クマって結構早いし、死んだフリしても無駄なんだったっけ。
「ひどいなぁ」
苦笑いしてるけど、あいかわらずムキムキした身体に弾けんばかりのピチTだ。
ありえない所の筋肉浮き上がって見えて、気色悪ぃ。
「突然逃げるんだもん。アレだと思った」
「アレ?」
「ほら『うふふ、私を捕まえてごらんなさい』って砂浜でやるやつ」
「アタマ腐ってんのか、お前は」
ここは住宅街だし、そういうのはカップルがやるもんだろ。
それに、さっきのは間違いなく『狩猟』だったと思うぞ。それか獲物をいたぶって遊ぶ猛獣か。
そんな事を考えていたら、吾郎が眉を下げる。
「ね。なんで逃げるの?」
「うっさい」
言ってやればいいんだ。
『お前のファンに、やられたんだバカヤロウ』
んでもって。
『もう俺に近付くな』って。
特に二つ目を怒鳴りつけてやれば。
いくらアホでゴリラで変態ホモ野郎でも、別に悪人じゃないからな。
泣きべそかきながらでも、うなずくだろう。
「ねぇ。なんで?」
「そ、それは……」
言ってやればいい。
「僕のこと、そんなに嫌い?」
「え、ええっと」
言ってやれば。
「やっぱり迷惑だったんだね」
「え」
「ごめん、陸斗君の気持ちを考えずに」
「あ……」
「でもね。僕、うれしかったんだ。初めて、好きになった人に結婚の約束できてさ」
「うっ」
「僕は陸斗君がどんな姿でも、大好きだし愛してる。でもそれを君に押し付けるべきじゃなかったよね」
「そ、そんな事」
「……もうやめるね」
「えっ?」
「嫌われるくらいなら、身を引くよ。今までありがとう、ごめん」
「ちょ……!」
あっさりデカい背中を、俺に向けて去っていく。
しょぼくれた姿。それにどうしよもなくムカついたのは確かで。
「おい待てよ、このアホゴリラ! 史上最低な類人猿!! 進化前の原人野郎、人間様の話を聞きやがれぇぇぇっ」
声の限り、勢い任せで怒鳴りつけた。
ついでに助走つけてムダに広い背中に飛び蹴り食らわせてやった。
それでもビクともしないコイツは、本当に人間なのだろうか。本当にゴリラのDNAの持ってんじゃないだろうな? だとしたらもは人外だ。
「痛いなぁ」
ボソリとつぶやき、困ったような顔がこちらを向く。
痛いというが、その顔はそんな事微塵も感じちゃいない。余裕中の余裕って感じ、ムカつく。
「勝手に決めつけるなよ」
「陸斗君」
「確かにお前はめんどくさい。あと俺はホモじゃないし、マッチョは暑苦しい。この温暖化の時代に、バッカじゃねぇの!」
「?」
じゃなくて。
まずいぞ、本題がそれまくっている。
俺が言いたいのはそうじゃなくって。
「別に……嫌いとかじゃ、ない」
うわぁぁぁっ、俺なに言ってんだぁぁぁ。
どこのツンデレだよ。テンプレ過ぎて吐き気がするわ!!
なんか俺、顔熱いし。まさか頬染めたりしてないだろうな!?
キモすぎるっ、キモすぎるだろ俺!
「陸斗君、それって……」
「ぅ゙わぁぁぁっ、忘れろ! 今すぐ記憶喪失になれ。そうだ、そこにある電柱に思い切り頭打ち付けてみろよっ、そしたら数十分の記憶が吹っ飛ぶかも」
「えぇ、嫌だよ。痛いし」
「じゃあ催眠術でもかけるか。それともスタン●攻撃受けてこい! 確かあっただろ、記憶操作するやつ」
「マンガの話でしょ」
「うるさいうるさいっ、作者は吸血鬼で波●の使い手で究極生物なんだからな! あれはノーフィクションなんだ」
「んなムチャクチャな……」
呆れ顔するゴリラ。それがまたすごく腹が立つ。
だからついに言ってやったんだ。
「俺の恋敵って女のせいで、散々な目にあってんだぞ。少しは責任もって、俺を守れよ! ヘニャチン野郎がーッ!!」
「……どういうこと?」
ハッ、やばいやばい。余計なことまで言っちまった気がする。
『守れ』ってなんだよ。そりゃ外敵から身を守るにはうってつけだろう。なんせガチムチゴリラだもん。
アル●ックよりよっぽど頼りになりそうだ。
でもそういうことじゃない。違う、そうじゃない。
「ねぇ、どういうこと。恋敵? 誰にナニされたの? ねぇ」
薄くでも笑ってた目が、スっと細められた。もちろん笑ってない。真顔だ。怖い。めっちゃ怖い。
思わず後ずさるけど、すごいスピードで距離を詰めてくる。まるで獰猛なバケモノに睨まれた、小動物みたいにガタガタ震えるしかない。
「え、あ、あの……誰って……その」
「もしかして、伍代さん?」
「わ、わかんない」
「分かんない? 恋敵でしょ、彼女」
「でも……」
彼女っていう証拠もない。
限りなく黒に近いけど、真っ黒じゃないんだ。しかも協力者なんていたら、そっちの方は心当たりなんて皆無だし。
俺のそういった心の声まで察したような顔で、アイツは重くうなずいた。
「僕が君を守るよ。いいね?」
「え゙っ」
有無を言わさない空気。というか顔。
かろうじて笑顔らしい形を保っているけど、その目はこころなしか血走ってる。
コイツ、怒るとこんなに怖いのか。ヤバい、なんか泣きそうなんだけど。
「陸斗君、泣かないで」
「え?」
……泣いてる? 俺が?
そこで初めて自分の頬が濡れていて、それが涙なんだと理解した。
「怖かっただろうね。ごめんね、気付いてあげられなくて」
「っ、い、いや、その涙は」
多分、ゴリラの怒りが怖くて泣いたんだと思うぞ。
だって今も足が震えて仕方ない。今にも食われそうだもん。
「恥ずかしがらなくていいんだよ」
「は、恥ずかしがってなんか……っ」
「大丈夫」
「ゔァッ!?」
いきなり、強く抱きしめられて潰れたカエルみたいな声が出た。
これ確か『鯖折り』っていうんだっけ。
想像以上にキツい……!
なにがって、締めあげられて内蔵が出てきそうぅぅっ。
「誰にも、君を傷付けさせないよ」
「あ゙ぅッ、は、な゙、せぇ゙ぇ゙よぉ゙ぉ」
完全に俺の足は宙を浮いてバタついている。
オマケに、なんかヤツの荒々しい息までかかって気持ち悪いし。
……てか、コイツに傷付けられたんだけど。物理的に。
なんて考えつつ、意識が薄れていくのを感じていた。
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