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悪人運の尽き3 ※暴力表現多少
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「ぁう……」
最初に感じたのが頭痛。ズキズキとこめかみから後頭部にかけて痛みが走った。
ベロ酔いした次の日の二日酔いでもこんなことはないと思う。それくらいひどい。
「ゔぅ」
吐き気は、しない。恐る恐る目を開けようと瞼に力をいれると。
「?」
ここどこだ。
なんかよく分からない部屋に俺はいた。
何の変哲もない、家具があって小型だけどテレビも冷蔵庫もあって。でもテーブルは小さなのしかなくて。
ええっとあとは。
「ベッド……?」
俺が寝てるのがそれだ。ラブホみたいにデカいやつ。
起き上がるのが億劫で、視線だけ使って見渡したらどうやら寝室らしい。
「え」
この部屋知らない。
そもそもこんな綺麗で広い寝室のあるマンションだか家に住んでるセフレもいねぇし。
あ、もしかして知らない女の家について来ちまったパターンか。いやでも今日は合コンも散々だったし、だから帰ってコンビニにでもって――。
「あれ起きたの」
「!!!」
ドアが音もなく開いて、いきなり人の声が。
俺は飛び上がらんばかりに驚いた。
「な、な、な……」
「意外と早かったなあ。あ、でもそれはそれでいいかな」
「お、お前」
「もしかしてテンパってるかな。そうかそうか、そうだよね。えっと痛いところはない? 大きな怪我はしてないのは確認したけど、こういうのって目に見えないモノもあるもんねえ」
絶句している俺に対し、現れた男はペラペラと話し始める。
このニヤけた顔に空気も読まずに喋り続けている声も口調も、全部記憶にある。
「っ、誰だてめぇ!」
「えー。今更それ言う?」
眉を下げて肩をすくめた男はベッドに腰掛けた。
ギシ、という振動に俺は身構える。
「あらら怯えてるねえ」
「うるせえ、変態。ここはどこだ、あとてめぇは何者だ。なんで俺はこんな所にいる」
「おおっとストップストップ、慌てない慌てない。ね?」
まるでガキに言い聞かせるように、奴はゆっくりうなずいてから言った。
「石間 泰雅君、さっきぶりだね。僕の名前は――うん、とりあえず『タツオ』と呼んでくれたらいいかな」
「なんで俺の名前……」
「はいはい、まだ続きがあるよ」
タツオと名乗る男は、俺の方に手を伸ばしてきた。咄嗟にベッドの外に逃げようと身体を引くが違和感のある音でハッとする。
「こ、これ」
「ああ。今気づいたのか、あんがい君って天然さん? それはそれで可愛いね」
鎖だ。両手は長めの鎖で繋がれていて、その先ベッドの端にくくりつけられている。
ベッドの上はある程度動けるけど、その先にはいけない。つまり、俺はこの部屋から出られない。監禁された。
さっきとは別の意味で目の前が真っ暗になった。
「おいてめぇッ、ふざけんな!」
「っと、危ない危ない。暴れちゃダメだよお」
鎖を引きちぎらんばかりに手を振りあげて奴をぶん殴ろうとする。
そうだこいつ、この前の変なヤツだ。人の身体を触ろうとしたりヘラヘラしていたり。
なんなんだ、俺よりチビでどう考えたって喧嘩で負けるわけないのに怖くて仕方ない。
「お、震えてるね。どうしたの、寒い?」
「触んじゃねえって言ってんだろッ、クソ野郎! 死ねっ、警察に突き出してやる!!!」
「…………へえ」
「!」
突然トーンが低くなり、一瞬ひるんだのが悪かった。
「ギャァッ!?」
「あははは、おしおきだよ」
突然、脇腹を鋭い痛みが襲う。
ビリビリとしたそれでら身体の筋肉が変な動きをして動けなくなる。
「あ゙……ぅ゙……ぐぁ」
「痛い? でもさっきのと違って普通のスタンガンだから気絶までは出来ないよね」
気絶? スタンガン? 考えがまとまらない。
痛みと衝撃にのたうち回っていると、タツオが顔をのぞきこんできた。
「涙目だねえ。うん、可愛いよ」
「ぐ……っ、こ、この゙っ……イカれ、野郎……」
「あれまだ反抗的になれるの。やっぱりDQNはしぶといなあ」
ニッと大きく笑う。
「うぎゃぁぁぁッ!!!」
また感電させられた。しかも今度は長い。痛くて苦しくて怖くて、自然と涙が溢れた。
「あ゙ゔ……や゙、やめ゙ろ……お」
「うーん。もう一丁」
「ィギャァァァッ!!!」
動けない俺に対して、何度も何度もスタンガンで感電させてくる。
そのたびにバタバタと暴れたりもがいたりうずくまったりして、苦しむしか無かった。
「あ゙……ひ……だ……だす、けで……」
「あれあれ、まるで僕が悪人みたいじゃないか」
悪人みたい? 紛うことなき悪人じゃねぇか! いきなり拉致して拷問してくる狂った野郎だぞ!?
今もすごく楽しそうに、スタンガンをこちらに見せてくる。
「ふふふ、もう少し遊ぼうかなあ」
「!」
「あ、今ビクってしたでしょ。怖いのかな、怖いよねえ? だって痛いもんね、僕は知らないけど」
こいつヤバいヤツだ。イカれてるし狂ってる。俺も人のこと言えないけど、こんな犯罪者が目の前にいるなんて。
「ひっ……」
「怯えちゃって可愛いけど、勘違いしないでね。僕は君を殺そうとか必要以上に傷つけようとか思ってないんだよ」
傷つけない? 何言ってんだ、思い切り傷つけられてんじゃねえか!
しかも今だって俺の反応を見ながら、電源の入ってないスタンガンを押し付けるフリをしてニヤニヤしている。
「だから今、この場で誓って欲しい。君は僕の要求にはすべて応えること、この部屋から許可なく出ることはしないということ」
「……」
「わかったね?」
分かるわけねぇだろ、このキ○ガイ。なんの権利があって俺を縛り付けるんだよ。
だいたいこいつが何者で、なぜこんなことをするのかすら皆目見当もつかない。
そりゃ俺は今まで悪いことしかしてこなかったし、その自覚はガキじゃないから十分にある。
だからって。
「へ・ん・じ・は?」
「……」
「そうかもう少し――」
「ま、まってくれ! わかった、わかったから!!」
スタンガンに電源いれて目の前にかざされちゃ、もう逆らえない。
必死でうなずく俺の頭を、奴は満足そうに笑って撫でた。
「はい、いい子いい子」
俺はとんでもない奴に捕まってしまったらしい。
最初に感じたのが頭痛。ズキズキとこめかみから後頭部にかけて痛みが走った。
ベロ酔いした次の日の二日酔いでもこんなことはないと思う。それくらいひどい。
「ゔぅ」
吐き気は、しない。恐る恐る目を開けようと瞼に力をいれると。
「?」
ここどこだ。
なんかよく分からない部屋に俺はいた。
何の変哲もない、家具があって小型だけどテレビも冷蔵庫もあって。でもテーブルは小さなのしかなくて。
ええっとあとは。
「ベッド……?」
俺が寝てるのがそれだ。ラブホみたいにデカいやつ。
起き上がるのが億劫で、視線だけ使って見渡したらどうやら寝室らしい。
「え」
この部屋知らない。
そもそもこんな綺麗で広い寝室のあるマンションだか家に住んでるセフレもいねぇし。
あ、もしかして知らない女の家について来ちまったパターンか。いやでも今日は合コンも散々だったし、だから帰ってコンビニにでもって――。
「あれ起きたの」
「!!!」
ドアが音もなく開いて、いきなり人の声が。
俺は飛び上がらんばかりに驚いた。
「な、な、な……」
「意外と早かったなあ。あ、でもそれはそれでいいかな」
「お、お前」
「もしかしてテンパってるかな。そうかそうか、そうだよね。えっと痛いところはない? 大きな怪我はしてないのは確認したけど、こういうのって目に見えないモノもあるもんねえ」
絶句している俺に対し、現れた男はペラペラと話し始める。
このニヤけた顔に空気も読まずに喋り続けている声も口調も、全部記憶にある。
「っ、誰だてめぇ!」
「えー。今更それ言う?」
眉を下げて肩をすくめた男はベッドに腰掛けた。
ギシ、という振動に俺は身構える。
「あらら怯えてるねえ」
「うるせえ、変態。ここはどこだ、あとてめぇは何者だ。なんで俺はこんな所にいる」
「おおっとストップストップ、慌てない慌てない。ね?」
まるでガキに言い聞かせるように、奴はゆっくりうなずいてから言った。
「石間 泰雅君、さっきぶりだね。僕の名前は――うん、とりあえず『タツオ』と呼んでくれたらいいかな」
「なんで俺の名前……」
「はいはい、まだ続きがあるよ」
タツオと名乗る男は、俺の方に手を伸ばしてきた。咄嗟にベッドの外に逃げようと身体を引くが違和感のある音でハッとする。
「こ、これ」
「ああ。今気づいたのか、あんがい君って天然さん? それはそれで可愛いね」
鎖だ。両手は長めの鎖で繋がれていて、その先ベッドの端にくくりつけられている。
ベッドの上はある程度動けるけど、その先にはいけない。つまり、俺はこの部屋から出られない。監禁された。
さっきとは別の意味で目の前が真っ暗になった。
「おいてめぇッ、ふざけんな!」
「っと、危ない危ない。暴れちゃダメだよお」
鎖を引きちぎらんばかりに手を振りあげて奴をぶん殴ろうとする。
そうだこいつ、この前の変なヤツだ。人の身体を触ろうとしたりヘラヘラしていたり。
なんなんだ、俺よりチビでどう考えたって喧嘩で負けるわけないのに怖くて仕方ない。
「お、震えてるね。どうしたの、寒い?」
「触んじゃねえって言ってんだろッ、クソ野郎! 死ねっ、警察に突き出してやる!!!」
「…………へえ」
「!」
突然トーンが低くなり、一瞬ひるんだのが悪かった。
「ギャァッ!?」
「あははは、おしおきだよ」
突然、脇腹を鋭い痛みが襲う。
ビリビリとしたそれでら身体の筋肉が変な動きをして動けなくなる。
「あ゙……ぅ゙……ぐぁ」
「痛い? でもさっきのと違って普通のスタンガンだから気絶までは出来ないよね」
気絶? スタンガン? 考えがまとまらない。
痛みと衝撃にのたうち回っていると、タツオが顔をのぞきこんできた。
「涙目だねえ。うん、可愛いよ」
「ぐ……っ、こ、この゙っ……イカれ、野郎……」
「あれまだ反抗的になれるの。やっぱりDQNはしぶといなあ」
ニッと大きく笑う。
「うぎゃぁぁぁッ!!!」
また感電させられた。しかも今度は長い。痛くて苦しくて怖くて、自然と涙が溢れた。
「あ゙ゔ……や゙、やめ゙ろ……お」
「うーん。もう一丁」
「ィギャァァァッ!!!」
動けない俺に対して、何度も何度もスタンガンで感電させてくる。
そのたびにバタバタと暴れたりもがいたりうずくまったりして、苦しむしか無かった。
「あ゙……ひ……だ……だす、けで……」
「あれあれ、まるで僕が悪人みたいじゃないか」
悪人みたい? 紛うことなき悪人じゃねぇか! いきなり拉致して拷問してくる狂った野郎だぞ!?
今もすごく楽しそうに、スタンガンをこちらに見せてくる。
「ふふふ、もう少し遊ぼうかなあ」
「!」
「あ、今ビクってしたでしょ。怖いのかな、怖いよねえ? だって痛いもんね、僕は知らないけど」
こいつヤバいヤツだ。イカれてるし狂ってる。俺も人のこと言えないけど、こんな犯罪者が目の前にいるなんて。
「ひっ……」
「怯えちゃって可愛いけど、勘違いしないでね。僕は君を殺そうとか必要以上に傷つけようとか思ってないんだよ」
傷つけない? 何言ってんだ、思い切り傷つけられてんじゃねえか!
しかも今だって俺の反応を見ながら、電源の入ってないスタンガンを押し付けるフリをしてニヤニヤしている。
「だから今、この場で誓って欲しい。君は僕の要求にはすべて応えること、この部屋から許可なく出ることはしないということ」
「……」
「わかったね?」
分かるわけねぇだろ、このキ○ガイ。なんの権利があって俺を縛り付けるんだよ。
だいたいこいつが何者で、なぜこんなことをするのかすら皆目見当もつかない。
そりゃ俺は今まで悪いことしかしてこなかったし、その自覚はガキじゃないから十分にある。
だからって。
「へ・ん・じ・は?」
「……」
「そうかもう少し――」
「ま、まってくれ! わかった、わかったから!!」
スタンガンに電源いれて目の前にかざされちゃ、もう逆らえない。
必死でうなずく俺の頭を、奴は満足そうに笑って撫でた。
「はい、いい子いい子」
俺はとんでもない奴に捕まってしまったらしい。
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