世界を救った勇者ですが童帝(童貞)の嫁になるようです

田中 乃那加

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処女喪失の翌朝に

 柔らかな陽が差した。
 天候は晴れ、暖かく柔らかな風が吹いているのだろうか。
 小鳥たちのさえずりが、楽しげだ。

「……いつまで寝てるのですか」

 呆れてます、と言いたげな声がアレンの上から降り注ぐ。
 それを聞いてさらに彼はシーツに潜り込んだ。

「アレン」

 銀色の髪が、つややかに朝日を映す。
 ベッドに軽く手を付いて、そっと顔が寄せられた。

「起きないと、また抱きますよ」
「~~~っ!!!」

 弾かれるように顔を出せば、至近距離で青い瞳と視線が合う。
 エルフ特有の、深い色の瞳だ。
 まるで深く澄んだ海のよう、と以前エルフの女戦士を口説いたのを思い出す。
 当然、その数十分後にはお互い生まれた姿でベッド・インした訳だが。

「おはようございます、アレン様」
「な、なんのマネだよ」

 昨日まで、いやさっきまでの態度はどこへやら。
 恭しく一礼してみせたのだ。
 形の良い唇に、上品な笑みさえ添えて。

「国王陛下の婚約者であられる方に、失礼があってはいけませんから」
「それ――」

 どの口が言うんだ、と最後まで言い切る前に。

「い゙ッ」

 身動ぎしただけで、全身を襲う痛み。
 処女を散らされた上に、それから数時間にかけて抱き潰された。
 難度も何度も、覚え込まされるように穿たれたそこは妙な違和感が残る。

「どうしましたか」
「な……なん、でもっ、ない」

 歯を食いしばって答えた。
 普段使うことの無い筋肉を使ったからか、筋肉痛などの不調だ。
 しかしここで症状ひとつ、口にするものかというのはアレンの意地である。
 ただでさえ、この嫌いな男に与えられた屈辱。それを上塗りするような、弱音なんて吐いたら勇者の名折れだ。

 ――確かにチートな冒険の旅であったが、それでも多少なりとも困難はあった。
 これは冒険者として。いや、男としてのプライド。
 生娘みたいに、処女喪失でざめざめ泣くことなんて許されないのだ。

「ふむ。少し診ましょうか」
「っ、触るなッ!」

 パンッ――という乾いた音。部屋に響くそれを、他人事のように聞いた。

「あっ……」

 彼の頬を、張っていたらしい。
 白い頬に赤い跡が浮かぶ。

「アレン」
「!」

 マズい、やっちまった。と、思わず後悔したがそれすら恥じる。
 唇を噛んでキッとにらみつけた。

「僕は屈しないからな。何を企んでいるのか知らんが、いつかお前を大臣の座から引きずり下ろしてやる」
「ほぅ」

 余裕たっぷりに微笑む男が、憎らしくて仕方ない。
 すべてがシセロの策略であるなんてのは、分かりきっているのだ。だからこそ、心まで堕ちるワケにはいかない。
 しかしそうして奮い立たせた反抗心も。

「朝の、しましょうか」
「お……?」

 彼がニヤリ、と笑った時に覗いた犬歯を眺めながらマヌケな声が出る。
 恭しさから一変、Sっ気たっぷりな空気。

(や、やば……ぃ?)

 ヒク、と息をのむ。
 だがもう遅い。

「今朝は軽めに三回ですね」
「うわぁぁぁんッ!!!」

 一気にベッドに押し倒されて上げた泣き声が、嬌声に変わるのはすぐ後のこと――。
 
 
※※※

「っあ゙ァッ、お゙ォ、ん゙っ」
「もう少し可愛く喘げないのですか。あと2回追加しますよ」
「ひぃぃいっ!!!」

 肉と肉がぶつかる。しかもそこに粘着質な水音まで加わるものだから、いっそう卑猥だ。
 朝の爽やかさなんて吹き飛ぶレベルである。

「やだァっ、も、せっくす、やだぁぁっ」
「イヤイヤうるさいです。幼児じゃないんですから。ほら、ココでしょう?」
「んぁ゙ァっ!? ひっ、そ。それ、や……ぐりぐりっ、しな、いでぇぇ……っ」
「ここが貴方のですよ。覚えましょうね」
「おぼえたっ、おぼえたっ、からぁぁっ……も、ダメッ、イっちまうっ」

 後ろから捕食されるように穿たれ、激しくも的確に前立腺を押しつぶされているのだろろう。
 涙で汚れた顔をシーツにこすりつけながら、助けを求めるように手を前に差し伸べる。

「だれがっ、イっていい、なんて言いました?」
「……っ! ひ、ぁ゙ぃッ」 

 ギュウ、と張り詰めて痛いほどのペニスを根元から戒められた。
 
「まだ――我慢しなさい」
「あ゙ぉ゙ぁ゙っ、そん、なぁぁぁっ」

 シセロの息を詰めた低い声に、絶望を感じる。
 イかせて。
 そう泣いて縋ってしまえば楽なのだろうか。
 否、アレンには出来ない。チート勇者であっても、勇者。前世がいくら平凡な少年であろうと、数年かけて築いてきたプライドと矜恃きょうじはそう簡単に崩れない。
 だからこそ、不憫なのであるが。

「しね゙っ、お前゙……なんてっ、しん゙じまえぇぇ」
「だから言ったでしょ。エルフは長生きなんですって」
「あ゙ぁぁぁぁぁっ」

 必死の抵抗も、激しさと優しさの入り乱れる抽挿に腰砕けだ。
 
「アレン」

 後ろから、耳朶に囁かれる。

「……可愛いよ、アレン」
「!?」

 いつもの敬語もなく呟かれた言葉に、胸が跳ね上がった。
 慌てて振り向こうとする瞬間。

「ひぎっ……ぉ゙ッ」
「もっと可愛く鳴きなさいってば」

 いっそう強く叩きつけられた腰に、舌を突き出して叫ぶ。
 すると笑いを堪えたような、それでいて呆れたような声が聞こえて理不尽さがつのる。

「ほら、一緒にイきましょうね」
「だ、だれがっ、お前なんかっ、とォ……はぁぁ、んんっ、あぁぁぁっ」

 外されたペニスへの戒め。
 そして的確に弱いトコロを責め立てる性技に、汗を散らせ身悶えながら。結局、後ろだけの刺激で達してしまう事に愕然とした――。


※※※

「はい。お疲れ様でした」
「こ、こんのっ、ヤリチン絶倫スケベ野郎が!!!」

 怒鳴る声もかすれきっている。

「失敬な。ヤリチンは貴方でしょう。その上、淫乱とはけしからん限りですな」
「淫乱いうなッ、この――痛゙っ」

 また痛みが襲い、シーツに沈む。
 朝のと称して、5回ほど胎内に精を吐き出された。
 昨日に引き続き、そんな無茶をさせられれば支障のひとつは出るというものだろう。
 
「おや、大丈夫ですか」
「くそっ、誰のせいだと思ってんだ」
「貴方が可愛くあおるから」
「あ、煽ってねぇし……っぐ」

 大声を出せば体に響いた。
 何コレ泣きそう、と散々泣かされた身の上でつぶやく。

「虚勢も意地っ張りも結構ですけどね。ほら、診てあげますから」
「触んな……っく、うぅ」
「やれやれ。とんだじゃじゃ馬だ」
「だから――っ、てアレ?」

 身体にほんの少し触れられた途端、先程までの痛みや違和感がウソのように引いた。

「ええぇっ!?」
「なにマヌケ面してるんです。私の職業、お忘れですか」
「あー……」

 シセロは魔法使い、しかも強い魔力を持つ。ようやくガテンがいき、彼はのろのろと起き上がる。

「でもお前、黒魔法使いじゃないのかよ」
「だれがそう名乗りましたか」
「それは」

 噂の内容で、黒魔術を使うイメージしか無かったのだ。
 不貞腐れたような顔をして言葉を濁す。
 苦手な、ぶっちゃけて言うと嫌いな人間の事なんて噂以上に知りたいとも思わなかった。

「私は両方、一通り使えます」
「賢者か」
「ま、そう呼ぶらしいですね」

 冒険において、最強クラスの職業だ。全ての魔法が使える万能な役回りで、パーティに一人いれば便利な人材だが。
 その数は希少とも言えるし、適性や類まれなる才能が不可欠なのだ。

「楽になったでしょう」
「あ、あぁ」

 ベッドに腰掛けて、あちこちを動かしてみるが確かに不調はない。
 むしろ体力が回復しているフシがあるのを感じ、さすが賢者だと苦笑いする。

「さて、メイドを呼びましょう。アレン様には身体を清めていただきます。そのあと御食事ですね」
「ケッ、そうかよ」

 また『様』付けである。
 やはり国王との結婚は嘘でなく (イヤガラセは否定できないだろうが)アレンを婚約者として扱うつもりらしい。

「では私はこれで――」

 衣服を正したシセロは、恭しく一礼すると彼に背を向ける。
 それがやけに寒々しくて、アレンは小さく鼻を鳴らした。

(クソッタレめ)
 
 拳を握る。
 とろり、と腿に伝う精液が生々しく不快で。
 しかしそれ以上に。

「おい」
「なんでしょうか」

 アレンはシセロが嫌いだ。
 大嫌いだと言ってもいい。いつも突っかかってくるし、上から目線でバカにしたような態度。
 そしてこの仕打ち。
 きっと向こうも自分が嫌いなのだ、と分かっている。
 だからこそ。

「あ……ありがと、な」

 上級の回復魔法を掛けてくれたことだけは、礼を言うべきだと思う。
 借りを作ったような気分はイヤだったのだ。

「!」

 驚いたように振り返った顔は、やはり人形のように整っていた。
 さすがエルフだな、なんてぼんやり内心つぶやく。
 彼が女であれば速攻口説いているかも、とも。

「ええ、お易い御用ですよ」

 花がほころぶように笑う、とはこの事か。
 初めてみる表情に目が釘付けになる。しかしその一瞬後。

「まぁ私が原因なんですけどね」

 などとニヤリと腹黒い顔に変化。
 
「た、確かに……って、お前ちょっとは反省しやがれぇぇーッ!!!」

 思わず礼を言ったこと。
 思わず綺麗な笑みに心奪われそうになったこと。
 すべてが気に食わなくて、アレンは腹の底からシセロを怒鳴りつけた――。



 




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