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デザートタイム2
執拗な快楽責めは経験あるが、その逆――イきたいのにイけない、という状態にさらされるのは初めてだった。
「っはぁ、っうぁ、あぁ」
すでに言葉は失せ、ひっきりなしに聞こえるのは自分の喘ぎ声。
(やめろ、やめてくれ)
心の中で悲痛な叫びをあげるも、与えられる快楽に悶えるしか出来ない。
相変わらず吊られた身体をおおっているのは、透明なジェル状の生き物。
いわゆるスライムで、触手を多く持つ個体であった。
「気持ちよさそうだね」
「あ゙ーっ、うぁ゙っ、あっあああ」
イソギンチャクのような形状のそれは、耳の穴から足裏にいたるまで。一見すると性感帯とは思わない所までをくすぐり、愛撫していく。
もちろんペニスやアナルまでも犯している。尿道や前立腺をいじめ抜かれている彼は、縄が身体を締め付けるのもお構い無しでのたうち回っていた。
(イかせてくれ。頼むから)
責め苦を受けてから数時間。
彼は射精おろか、メスイキすらできていない。
ずっと絶頂に達する寸前で、悶え苦しんでいるのだ。
「イきたくないんだろう? じゃあ、そのまま楽しめばいい。終わりのない、快楽を」
「あ゙ァ゙ァァっ、ぁぁっ!」
イヤイヤと首を横に振るも、ひっきりなしに与えられる快感に身体を痙攣させた。
(いっそ殺してくれ)
舌を噛み切ろうとすれば、口の中に差し入れられた触手に阻まれる。
……脳が焼かれるほどの苦悶。
涙があふれ、死すら懇願できない状態に気が狂ってしまいそう。
いや狂ってしまう方が楽なのかもしれない。
それをさせないのも、ファシルの魔法によるものなのか。
「アレン、覚えておいて。魔王様ってのはね、そう簡単には死なない――そして、お前もそうだ」
すっかり濡れぼそった目元を、そっと撫でる指。
そして愛しげな声が、地下牢に響く。
「女神に選ばれし者は、お前だけじゃないのだよ。アレン」
「な……」
(どういう事だ)
やはりかすれ声すら出ない。
もどかしげに息を漏らせば、今度は悪意と誘惑に満ちた囁きが耳朶を震わせた。
「ねえ。ぼくのモノになりなよ。契約をしよう」
「……」
この場合の契約は、恐らく婚姻のことだろう。
まるで悪魔との魂の契約だな、と吐き捨てる気力さえなく。アレンは、やっとの思いで首を横に振った。
愚かな選択であると分かっていた。
しかし、それがこの魔王をひどく興奮させたらしい。
「お前は本当に可愛い奴だね」
彼の口角が、綺麗な弧を描く。
エルフの耳とオーガのツノを持つ、男。美しくも奇妙なこの生き物こそが、人類を滅亡させようとしたのだ。
多くの犠牲を払った旅の果て。その魔王討伐も、まさかこんな結果が待っていようとは。
アレンの心が絶望に浸されていく。
それでも屈することをやめないのは、チート能力者ではあるが人々を救った勇者であるというプライドだった。
「良いだろう、ゆっくりと考えさせてあげよう」
ファシルが腕をあげると、まとわりついていた触手達がいっせいに離れていく。
それと同時に、身体に張り巡らされていた縄がまるで生き物のようにスルリと解けた。
「っはぁ……ぁ」
快楽責めからの解放で、力なく床に崩れ落ちる。
冷たい石畳に束の間の安息を与えられ、大きく息をついた。
「んぅ……っ、く」
しかし身体の芯に灯る熱は冷めない。
いっそう遠くなった快楽に、もどかしげに両腿をこすり合わせてしまうのは無意識。
「ねだるような顔をしているね。よほど気に入ったのかな」
「そ、そんなこと……っ」
嘲笑めいた言葉に、顔を上げて睨みつける。
身体は蕩けてしまっても心だけは、その一心であった。
「君の、好きにさせる、ものかっ。また、その首を叩き斬ってやる!」
かすれた声で、切る啖呵はなんとも情けないものか。
身体は震えているし、なんなら今すぐ逃げ出したい。
(だいたい、こんなの反則だろう!)
倒したと思った悪役が生きてて、こんな仕打ちを受けるなんて。
「アレン。ぼくは確かに魔王だ。いや。魔王だった、というのが正しいか」
まるで聞き分けのない、幼い子に言い聞かすようにファシルが話しかけた。
「ぼくは生き返ったんだよ――国王の息子、ビルガとして」
「それは……どういう、ことだ」
倒したはずのこの男が生きており。さらに魔王であり王子である、なんて。
てんで話が分からない。
混乱していると、のびた髪をファシルの指が梳く。
「そうだな。寝物語としてなら、聞かせてあげようか」
「くっ……」
ふざけるな、と怒鳴りつける気力もなく。せめてもの反抗心で、キツく睨みつけた。
「そんなに可愛い顔をしないで。ぼくは、お前をずっと前から知っている。そしてずっと前から愛しているんだ――お前は知らないだろうけどね」
魔王はその口調とは裏腹に、アレンの髪を掴むと強引に上げさせる。
「い゙っ」
「我が夫に口付けをしなさい。アレン・カントール、いや……泰村 明帆」
「!!!」
それは転生前の名である。
本人すら忘れそうなっていた、前世の名前。
「ぼくも異世界転生者なんだよ。あのアホな女神のおかげで、こんな力を手に入れた。幸運の持ち主さ」
子どもが、とっておきの秘密を打ち明ける時のように。男はクスクスと笑いながら。
それでいてその瞳の奥に、底知れぬ闇を宿していた。
「っはぁ、っうぁ、あぁ」
すでに言葉は失せ、ひっきりなしに聞こえるのは自分の喘ぎ声。
(やめろ、やめてくれ)
心の中で悲痛な叫びをあげるも、与えられる快楽に悶えるしか出来ない。
相変わらず吊られた身体をおおっているのは、透明なジェル状の生き物。
いわゆるスライムで、触手を多く持つ個体であった。
「気持ちよさそうだね」
「あ゙ーっ、うぁ゙っ、あっあああ」
イソギンチャクのような形状のそれは、耳の穴から足裏にいたるまで。一見すると性感帯とは思わない所までをくすぐり、愛撫していく。
もちろんペニスやアナルまでも犯している。尿道や前立腺をいじめ抜かれている彼は、縄が身体を締め付けるのもお構い無しでのたうち回っていた。
(イかせてくれ。頼むから)
責め苦を受けてから数時間。
彼は射精おろか、メスイキすらできていない。
ずっと絶頂に達する寸前で、悶え苦しんでいるのだ。
「イきたくないんだろう? じゃあ、そのまま楽しめばいい。終わりのない、快楽を」
「あ゙ァ゙ァァっ、ぁぁっ!」
イヤイヤと首を横に振るも、ひっきりなしに与えられる快感に身体を痙攣させた。
(いっそ殺してくれ)
舌を噛み切ろうとすれば、口の中に差し入れられた触手に阻まれる。
……脳が焼かれるほどの苦悶。
涙があふれ、死すら懇願できない状態に気が狂ってしまいそう。
いや狂ってしまう方が楽なのかもしれない。
それをさせないのも、ファシルの魔法によるものなのか。
「アレン、覚えておいて。魔王様ってのはね、そう簡単には死なない――そして、お前もそうだ」
すっかり濡れぼそった目元を、そっと撫でる指。
そして愛しげな声が、地下牢に響く。
「女神に選ばれし者は、お前だけじゃないのだよ。アレン」
「な……」
(どういう事だ)
やはりかすれ声すら出ない。
もどかしげに息を漏らせば、今度は悪意と誘惑に満ちた囁きが耳朶を震わせた。
「ねえ。ぼくのモノになりなよ。契約をしよう」
「……」
この場合の契約は、恐らく婚姻のことだろう。
まるで悪魔との魂の契約だな、と吐き捨てる気力さえなく。アレンは、やっとの思いで首を横に振った。
愚かな選択であると分かっていた。
しかし、それがこの魔王をひどく興奮させたらしい。
「お前は本当に可愛い奴だね」
彼の口角が、綺麗な弧を描く。
エルフの耳とオーガのツノを持つ、男。美しくも奇妙なこの生き物こそが、人類を滅亡させようとしたのだ。
多くの犠牲を払った旅の果て。その魔王討伐も、まさかこんな結果が待っていようとは。
アレンの心が絶望に浸されていく。
それでも屈することをやめないのは、チート能力者ではあるが人々を救った勇者であるというプライドだった。
「良いだろう、ゆっくりと考えさせてあげよう」
ファシルが腕をあげると、まとわりついていた触手達がいっせいに離れていく。
それと同時に、身体に張り巡らされていた縄がまるで生き物のようにスルリと解けた。
「っはぁ……ぁ」
快楽責めからの解放で、力なく床に崩れ落ちる。
冷たい石畳に束の間の安息を与えられ、大きく息をついた。
「んぅ……っ、く」
しかし身体の芯に灯る熱は冷めない。
いっそう遠くなった快楽に、もどかしげに両腿をこすり合わせてしまうのは無意識。
「ねだるような顔をしているね。よほど気に入ったのかな」
「そ、そんなこと……っ」
嘲笑めいた言葉に、顔を上げて睨みつける。
身体は蕩けてしまっても心だけは、その一心であった。
「君の、好きにさせる、ものかっ。また、その首を叩き斬ってやる!」
かすれた声で、切る啖呵はなんとも情けないものか。
身体は震えているし、なんなら今すぐ逃げ出したい。
(だいたい、こんなの反則だろう!)
倒したと思った悪役が生きてて、こんな仕打ちを受けるなんて。
「アレン。ぼくは確かに魔王だ。いや。魔王だった、というのが正しいか」
まるで聞き分けのない、幼い子に言い聞かすようにファシルが話しかけた。
「ぼくは生き返ったんだよ――国王の息子、ビルガとして」
「それは……どういう、ことだ」
倒したはずのこの男が生きており。さらに魔王であり王子である、なんて。
てんで話が分からない。
混乱していると、のびた髪をファシルの指が梳く。
「そうだな。寝物語としてなら、聞かせてあげようか」
「くっ……」
ふざけるな、と怒鳴りつける気力もなく。せめてもの反抗心で、キツく睨みつけた。
「そんなに可愛い顔をしないで。ぼくは、お前をずっと前から知っている。そしてずっと前から愛しているんだ――お前は知らないだろうけどね」
魔王はその口調とは裏腹に、アレンの髪を掴むと強引に上げさせる。
「い゙っ」
「我が夫に口付けをしなさい。アレン・カントール、いや……泰村 明帆」
「!!!」
それは転生前の名である。
本人すら忘れそうなっていた、前世の名前。
「ぼくも異世界転生者なんだよ。あのアホな女神のおかげで、こんな力を手に入れた。幸運の持ち主さ」
子どもが、とっておきの秘密を打ち明ける時のように。男はクスクスと笑いながら。
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