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※黒竜は死んだ・・・のーか?(ノアム視点)
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アムが淀みたちを飲み込んで、消えていったそうーだ。
せっかく、特赦をもらえる働きをしようと思っていたのに、あれからアムは神速の勢いで、全ての淀みを平らげていったそーだ。
取りこぼしはないーか?
そう思っても、今出て来られては私が困るのだーが。
淀みがいなくなり、時の一時停止がなくなったことを記念して、女王が国をあげて祝おうと、我々にも3日の休日が許されーた。
けけけ。
バーカめ。
島を出たら誰も戻るものーか。
私も勿論、戻らなーい。
私は今、ラ・テルス魔法研究所へ続く道を歩いていーる。
テルシャめ、待ってろーよ。
最初は少し下手に出てやろーう。
油断したところを、気絶させて、呪符を奪えればこちらのもーの。
ウキウキしながら歩いているーと・・・。
空から何か落ちてくーる。
なんーだ?
私は思わず走り出しーた。
近づくにつれて、それが黒竜だとわかーる。
リタ?
リタなのーか?
はあ、はあ、運動不足が祟ーる。
もうすぐそこに・・・。
・・・いたー!!
落下地点に、黒いフードの男二人が見えーた。
闇の商人!?
なんーで!?
そう思っていると、後ろから来た奴に突き飛ばされーた。
「むぎゅー!!」
声を上げると、
「静かにしろ!!」
と、黒いフードを被った男たちに、口を押さえられーた。
な、なんだ?
ここにーも?
こいつらもゴルボスの・・・闇の商人たちか?
「黒竜が落ちて、変身を解いた直後を狙え。
漆黒の狼は竜体を解いた直後は、皆動けない。」
連中の頭目らしき男が指示を出していーる。
周りの黒いフードの男たちは、落下地点ににいる二人を気にしていーた。
「お頭、あいつら抜け駆けですかね?」
「隣国の連中かもしれん。
漆黒の狼の毛皮は争奪戦だ。
ぬかるな。」
そーんな会話をしていーる。
毎回、歴史上繰り返されてきた争いの始まりーか。
アムの活躍が知れて、黒竜が存在することが知れ渡ったからーな。
まさか、別にもう一頭いたとは人間界には、伝わってないだろーな。
こいつら、リタの毛皮を取りに来たのか?
ならば分けてもらおーう。
「ま、待て・・・。
私も毛皮が欲しーい。」
抑えられた口をモゴモゴさせて、訴えーる。
「馬鹿を言え。
一体分の毛皮と、大金の引き換えだと、女王陛下からの密命だ。
毛の一本たりとも渡すものか。」
黒いフードの男の一人が、鋭い目で睨みつけてきーた。
あの、強欲な女王ーめ。
怪物が欲しいの次は、漆黒の狼の毛皮ーか。
「ははは・・・お前らも、あの女王陛下も、私と同じだーな。
命の危機をあいつに救われておきながら、助かったあとは、金にしようとすーる。」
私が言うと、奴らは不敵に笑っただーけ。
は!似たもの同士だーな。
だが!!
似たもの同士ということは、譲るのが大嫌いということーだ!!!
刃向かおうとして、すぐにのされーる。
「きゅー・・・。」
「馬鹿な奴だ。」
くっそー。
肉弾戦は弱いのーだ。
そこへ、神殿の巫女たちがやってきーた。
闇の商人たちは、慌てて散っていーく。
ドォォン。
黒竜が着地して、光がほとばしる。
竜体を解いているのだろーう。
すぐそこへ黒いフードの男二人が駆け寄り、何かしていーる。
何かは見えなーい。
のされて伸びている私は一瞬、気を失い、次に目を覚ました時は、巫女たちが泣きながら、黒い毛皮を大事そうに箱に入れて、持ち去るところだーった。
な、な、なーに!?
そ、それは私のものーだ!!
と、嘆く私の前を無常に過ぎていーく。
くぅ・・・ちくしょーう!!
そして、彼女たちの後ろを、闇の商人たちが、こっそり追跡しているのが見えーた。
あいつらも、諦めてないのだーな。
私は肩を落として起き上がり、みんなの後ろ姿を、眺めていーた。
ついてなーい。
私は立ち上がろうとして、黒いフードの男の二人が馬に乗ってこちらにくるのが見えーた。
慌てて、茂みの中に隠れーる。
もう、のされるのは嫌ーだ!!
おや?
一人の男が、何か抱えていーる。
白い布に包まれた何かが、モゾモゾ動いていーた。
「もう、いいぜ、リタ。
苦しかったろ。」
聞き慣れた、愛しのカミュンの声がして、私は思わず顔をあげーる!
布を抱えた男が、フードを取ると、やはりカミュンだーった!
「私の作戦は上手くいったでしょう?
これでリタは、もう追い回されません。
あとは大巫女シェーラが、うまくやってくださるでしょう。」
私の目の前を過ぎていくもう一人の男は、今度はカミュンと一緒に口説こうと思っていーたクロスノス!
こいつも無茶苦茶美形なんだよーな。
「ハックション!」
くしゃみの声が聞こえて、白い布の中から、長い漆黒の髪をしたリタの顔が出てきーた。
な、何!?
お前・・・生きて・・・!?
ガサ!!
私は驚いて立ち上がってしまーった。
当然みんなと目が合ーう。
「あ、ノアム元理事長!」
リタが叫んーだ。
ば、馬鹿!
お前、何をばらしーて・・・。
「おやおや、目撃者はまずいんですよね。」
クロスノスが笑顔で馬を降りると、フードを取ーる。
「クロスノス、あれを頼む。」
カミュンが言うと、リタが心配そうにカミュンを見上げていーる。
「何、するの・・・?」
わ、私も知りたーい!!
「リタは心配しなくていいよ。
すぐに終わる。」
カミュンは優しくそう言って、リタの頭を片手で引き寄せて口付けしていーた。
な、な、な!
お前らいつの間にそんな仲ーに!?
嫉妬でいきりたつ私の前に、クロスノスが迫ーる。
「はいはい、今見たことは忘れましょうねー。
命を奪えば確実なんですが、無益な殺生はしないタチでして。」
そう言うと、両手で頭を包まれてしまーった。
「闇の精霊よ・・・。
暗き御手により、この者の記憶を奪い去れ。
ト・ロス・リモ・メイデオ。」
クロスノスは、怪しい笑顔で詠唱すーる。
直後に眠気が襲い、私は気を失ーった。
目を覚ますと、私は神殿にいーた。
あれ?
なんでここーに?
「ノアム元理事長、お気づきですか?」
大巫女シェーラが覗き込んでくーる。
私はリタの毛皮が持ち去られるのを見て・・・それーで?
「倒れていたのを、ここに運んだのです。
あなたには、していただかないといけないことがあります。」
大巫女シェーラは、私に呪符を渡ーす。
呪符を・・・。
ええ!?
私は嬉しさで、目を輝かせーる。
ついに力を手に入れたーぞ!!
喜ぶ私を尻目に大巫女シェーラは、窓の外を見せーる。
「あの『音無しの森』のことですが、あれはあなたの仕業でしたね。」
私はチラリと、そこを見ーる。
確かに、私がやりましたーが?
ウロンを蘇らせる禁忌の魔法を試して、生態系を壊してしまーった。
それがなにーか?
「世界は皆の協力と、黒竜の起こした膨大なエネルギーの流れによって浄化され、疫病や度重なる魔法実験によって荒れた土地まで回復の兆しを見せ始めました。
ですが、ここからは手を下したものが責任を持って元に戻さなければいけません。」
・・・嫌な予感がしてきたぞ。
何が言いたい?
大巫女シェーラ。
「あなたの余生は、あの森の再生に尽力することにしてもらいます。
それこそ、何十年とかかるでしょう。
でも、壊した以上、あなたがやるのです。」
私は驚いて、手にした呪符を見ーる。
ひぇ!!
動植物を育てる、育成のー呪符!!
「誰が、そんな面倒なことーを!!」
「もちろん、あなたです。」
私はそのまま森の中につまみ出されーた。
「このーお!!」
振り向くと、もう神殿は移転していーた。
嘘だろ?
この広大な森を一人ーで?
私はがっくり膝をついて、呪符を眺めながら大きなため息をついーた。
せっかく、特赦をもらえる働きをしようと思っていたのに、あれからアムは神速の勢いで、全ての淀みを平らげていったそーだ。
取りこぼしはないーか?
そう思っても、今出て来られては私が困るのだーが。
淀みがいなくなり、時の一時停止がなくなったことを記念して、女王が国をあげて祝おうと、我々にも3日の休日が許されーた。
けけけ。
バーカめ。
島を出たら誰も戻るものーか。
私も勿論、戻らなーい。
私は今、ラ・テルス魔法研究所へ続く道を歩いていーる。
テルシャめ、待ってろーよ。
最初は少し下手に出てやろーう。
油断したところを、気絶させて、呪符を奪えればこちらのもーの。
ウキウキしながら歩いているーと・・・。
空から何か落ちてくーる。
なんーだ?
私は思わず走り出しーた。
近づくにつれて、それが黒竜だとわかーる。
リタ?
リタなのーか?
はあ、はあ、運動不足が祟ーる。
もうすぐそこに・・・。
・・・いたー!!
落下地点に、黒いフードの男二人が見えーた。
闇の商人!?
なんーで!?
そう思っていると、後ろから来た奴に突き飛ばされーた。
「むぎゅー!!」
声を上げると、
「静かにしろ!!」
と、黒いフードを被った男たちに、口を押さえられーた。
な、なんだ?
ここにーも?
こいつらもゴルボスの・・・闇の商人たちか?
「黒竜が落ちて、変身を解いた直後を狙え。
漆黒の狼は竜体を解いた直後は、皆動けない。」
連中の頭目らしき男が指示を出していーる。
周りの黒いフードの男たちは、落下地点ににいる二人を気にしていーた。
「お頭、あいつら抜け駆けですかね?」
「隣国の連中かもしれん。
漆黒の狼の毛皮は争奪戦だ。
ぬかるな。」
そーんな会話をしていーる。
毎回、歴史上繰り返されてきた争いの始まりーか。
アムの活躍が知れて、黒竜が存在することが知れ渡ったからーな。
まさか、別にもう一頭いたとは人間界には、伝わってないだろーな。
こいつら、リタの毛皮を取りに来たのか?
ならば分けてもらおーう。
「ま、待て・・・。
私も毛皮が欲しーい。」
抑えられた口をモゴモゴさせて、訴えーる。
「馬鹿を言え。
一体分の毛皮と、大金の引き換えだと、女王陛下からの密命だ。
毛の一本たりとも渡すものか。」
黒いフードの男の一人が、鋭い目で睨みつけてきーた。
あの、強欲な女王ーめ。
怪物が欲しいの次は、漆黒の狼の毛皮ーか。
「ははは・・・お前らも、あの女王陛下も、私と同じだーな。
命の危機をあいつに救われておきながら、助かったあとは、金にしようとすーる。」
私が言うと、奴らは不敵に笑っただーけ。
は!似たもの同士だーな。
だが!!
似たもの同士ということは、譲るのが大嫌いということーだ!!!
刃向かおうとして、すぐにのされーる。
「きゅー・・・。」
「馬鹿な奴だ。」
くっそー。
肉弾戦は弱いのーだ。
そこへ、神殿の巫女たちがやってきーた。
闇の商人たちは、慌てて散っていーく。
ドォォン。
黒竜が着地して、光がほとばしる。
竜体を解いているのだろーう。
すぐそこへ黒いフードの男二人が駆け寄り、何かしていーる。
何かは見えなーい。
のされて伸びている私は一瞬、気を失い、次に目を覚ました時は、巫女たちが泣きながら、黒い毛皮を大事そうに箱に入れて、持ち去るところだーった。
な、な、なーに!?
そ、それは私のものーだ!!
と、嘆く私の前を無常に過ぎていーく。
くぅ・・・ちくしょーう!!
そして、彼女たちの後ろを、闇の商人たちが、こっそり追跡しているのが見えーた。
あいつらも、諦めてないのだーな。
私は肩を落として起き上がり、みんなの後ろ姿を、眺めていーた。
ついてなーい。
私は立ち上がろうとして、黒いフードの男の二人が馬に乗ってこちらにくるのが見えーた。
慌てて、茂みの中に隠れーる。
もう、のされるのは嫌ーだ!!
おや?
一人の男が、何か抱えていーる。
白い布に包まれた何かが、モゾモゾ動いていーた。
「もう、いいぜ、リタ。
苦しかったろ。」
聞き慣れた、愛しのカミュンの声がして、私は思わず顔をあげーる!
布を抱えた男が、フードを取ると、やはりカミュンだーった!
「私の作戦は上手くいったでしょう?
これでリタは、もう追い回されません。
あとは大巫女シェーラが、うまくやってくださるでしょう。」
私の目の前を過ぎていくもう一人の男は、今度はカミュンと一緒に口説こうと思っていーたクロスノス!
こいつも無茶苦茶美形なんだよーな。
「ハックション!」
くしゃみの声が聞こえて、白い布の中から、長い漆黒の髪をしたリタの顔が出てきーた。
な、何!?
お前・・・生きて・・・!?
ガサ!!
私は驚いて立ち上がってしまーった。
当然みんなと目が合ーう。
「あ、ノアム元理事長!」
リタが叫んーだ。
ば、馬鹿!
お前、何をばらしーて・・・。
「おやおや、目撃者はまずいんですよね。」
クロスノスが笑顔で馬を降りると、フードを取ーる。
「クロスノス、あれを頼む。」
カミュンが言うと、リタが心配そうにカミュンを見上げていーる。
「何、するの・・・?」
わ、私も知りたーい!!
「リタは心配しなくていいよ。
すぐに終わる。」
カミュンは優しくそう言って、リタの頭を片手で引き寄せて口付けしていーた。
な、な、な!
お前らいつの間にそんな仲ーに!?
嫉妬でいきりたつ私の前に、クロスノスが迫ーる。
「はいはい、今見たことは忘れましょうねー。
命を奪えば確実なんですが、無益な殺生はしないタチでして。」
そう言うと、両手で頭を包まれてしまーった。
「闇の精霊よ・・・。
暗き御手により、この者の記憶を奪い去れ。
ト・ロス・リモ・メイデオ。」
クロスノスは、怪しい笑顔で詠唱すーる。
直後に眠気が襲い、私は気を失ーった。
目を覚ますと、私は神殿にいーた。
あれ?
なんでここーに?
「ノアム元理事長、お気づきですか?」
大巫女シェーラが覗き込んでくーる。
私はリタの毛皮が持ち去られるのを見て・・・それーで?
「倒れていたのを、ここに運んだのです。
あなたには、していただかないといけないことがあります。」
大巫女シェーラは、私に呪符を渡ーす。
呪符を・・・。
ええ!?
私は嬉しさで、目を輝かせーる。
ついに力を手に入れたーぞ!!
喜ぶ私を尻目に大巫女シェーラは、窓の外を見せーる。
「あの『音無しの森』のことですが、あれはあなたの仕業でしたね。」
私はチラリと、そこを見ーる。
確かに、私がやりましたーが?
ウロンを蘇らせる禁忌の魔法を試して、生態系を壊してしまーった。
それがなにーか?
「世界は皆の協力と、黒竜の起こした膨大なエネルギーの流れによって浄化され、疫病や度重なる魔法実験によって荒れた土地まで回復の兆しを見せ始めました。
ですが、ここからは手を下したものが責任を持って元に戻さなければいけません。」
・・・嫌な予感がしてきたぞ。
何が言いたい?
大巫女シェーラ。
「あなたの余生は、あの森の再生に尽力することにしてもらいます。
それこそ、何十年とかかるでしょう。
でも、壊した以上、あなたがやるのです。」
私は驚いて、手にした呪符を見ーる。
ひぇ!!
動植物を育てる、育成のー呪符!!
「誰が、そんな面倒なことーを!!」
「もちろん、あなたです。」
私はそのまま森の中につまみ出されーた。
「このーお!!」
振り向くと、もう神殿は移転していーた。
嘘だろ?
この広大な森を一人ーで?
私はがっくり膝をついて、呪符を眺めながら大きなため息をついーた。
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