不遇弓使いの英雄譚ー無敵スキル『絶対反転』を得て救世主となる

たからかた

文字の大きさ
8 / 96
1章

最初の試練

しおりを挟む
道々、いろんな話を聞けた。

聖騎士ギルバート・ベルアンナは、半人半馬のナルシストだけど腕は確かで、暗黒騎士ヴォルディバの後輩であること。

魔導士ティト・リュシェルは、大魔導士イルハートの師匠の親友で、なんとじっちゃんの昔の恋人なんだとか。

世間は狭い。

今回のパーティーメンバーはみな、ネプォンたちと何らかの繋がりを持つ。

「チェタ鉱山に着いた。アーチロビン、スカウトを頼む」

鉱山の入口で、ケルヴィン殿下がカンテラを渡してくる。ネプォンとはえらい違いだ。あいつなんて、顎でしゃくるだけだったもんな。

「ワシも後ろにおるからの」

魔導士ティトが、俺の背後を警戒してくれる。
杖をつくわりに、こういう時は俊敏だ。

大魔導士イルハートは、疲れることは嫌だといって、ろくな援護もしなかった。

俺が確認した後ろを、ケルヴィン殿下たちがついてくる。

「足元、注意してください」

俺が言うと、みんな素直に聞いてくれる。

俺にとっては新鮮だ。ネプォンたちは、文句ばかりいい、勝手なことをして敵に見つかっては、それを俺のせいにしていたから。

他の冒険者たちも、似たような奴らが多かった。

『敵に見つかっても、チートキャラが蹴散らすから平気だ』と。

効率の優先と、安全の確保は必ずしも両立できるわけじゃない。

死傷率を下げ、本命に挑めるよう罠を回避して目的地に向かえるようにするのが、スカウトの役目だと思ってる。

例え俺一人で戦うとしても。

ピチョーン、ピチョーン。

坑道の中に、水滴の落ちる音が響く。
俺はしゃがんで、足元に目を凝らした。

坑道の下の土が、不自然に盛り上がっている場所がある。

落とし穴だ。

水滴が首筋に落ちてくることに驚いて、思わず避けようとして、足を踏み入れてしまうという寸法。

「みんな、上から落ちてくる水滴を気にせずに、俺の辿った通りに来てください。落とし穴があります」

俺が言うと、みんなが緊張しながらも返事してくる。

「わかった」

「任せたぞや」

「気をつけて」

「ち、ちゃんと後をついていきます」

俺は手を頭に翳して、水滴を受けながら、落とし穴をかわして進む。地面は強めに踏んで、足跡を残しておいた。

こうしていれば、辿るだけでいいから、楽だろう。

「みんな、足跡が見えますか? この通りに来てください」

俺は向こう側に辿り着いて、カンテラを翳して呼びかけた。

みんな一人一人、慎重に歩いてくる。

魔導士ティトが俺の次に来て、火の魔法で足元をよく照らしてくれた。

次に、ケルヴィン殿下、その後ろをフィオがついてくる。

フィオは、慣れないせいかビクビクしながら歩いていた。

心配だな……。

ケルヴィン殿下が渡りきって、フィオが最後の落とし穴の横を抜けようとした時、ピチョーン、ボチョン!

大きな水滴が、フィオの頭と尻尾に同時に降りかかった。

「きゃ!」

フィオは思わず横によける。

「フィオ!!」

俺は慌てて彼女の手首を掴んだ。
ボコ! と彼女の足元が抜けて、暗い穴の底が見える。

フィオの体は宙ぶらりんだ。

「あ……あ」

フィオは宙ぶらりんになった恐怖から、全身がガチガチだ。
引き上げないと。

「アーチロビン!」

ケルヴィン殿下が、駆け寄ろうとして、カチリ!と音がした。

しまった!
もう一つのトラップが発動したな!

「みんな、伏せて!!」

俺が言うと、全員床に伏せる。

シャキン!!

頭上を、ブーメランのようなやい刃が飛んできて、反対側の壁に突き刺さった。

立っていれば胴が、しゃがんでいても首が落ちるところだった。

「みんな、動かないで」

俺は小声でそういうと、フィオをゆっくり引き上げた。

「あ、ありがとう、アーチロビン」

「いいんだ、フィオ。落ちなくてよかったな」

俺はフィオを引き上げた後、地面を少しずつ確認して、他に罠がないか確認する。

どうやら、発動した罠の近くだけに出現するトラップのようだな。

「聖騎士ギルバート、大丈夫だ、来てくれ」

俺は彼を呼んで、渡りきるのを確認する。
魔導士ティトが、開いた穴と発動した罠を確認して俺を見た。

「魔族の罠ではないの」

「あぁ、おそらく冒険者の誰かだ。この鉱山をよく知る元坑夫かもしれない」

俺が服に着いた土を払っていると、申し訳なさそうに耳を垂らしたフィオがいた。

そんなに気にしなくてもいいのに。
俺はなるべく明るい声で、声をかけた。

「フィオ、痛いところはない?」

「い、いいえ。ごめんなさい。私ったら驚いてしまって」

「気にしなくていい、誰だって怖いよ」

フィオは、シュンとなって頷いた。
気にするなと言っても、してしまう真面目な性格なんだな。

「お、俺もすまなかった。罠を踏んづけてしまったみたいだな」

後ろからケルヴィン殿下も、頭を下げてくる。
王族が平民に頭を下げるなんて。

「いえ、俺もすみませんでした。こういう罠も見つけてこそのスカウトです」

「いや、俺が迂闊だった。それに、お前が伏せろと言わなければ、俺たちはここで死んでいただろう。ありがとう、アーチロビン」

「いえ、そんな……」

こんなに腰の低い王族なんて、いたんだな。
スカウトを依頼してきた方から、こんなに気を遣われたのは初めてだ。

「お前さんなら、安心して任せられそうじゃの」

「いや、ありがたいよ。地面に体がつくのは嫌いだけど、これは仕方ない」

魔導士ティトも、聖騎士ギルバートも、ニコニコ笑ってお礼を言ってくる。

な、なんだかな……なんとなく、くすぐったい。

最初に組んだパーティーが彼等だったら、俺は誰かと旅することをこんなに嫌がらなかったかもしれない。

気のいい人たちばかりだ、ということはわかる。でも、俺をなぜこうも信用してくれるのだろう。

「あの……ケルヴィン殿下」

「ん?」

「俺を信じてくださって、ありがとうございます」

「当然だ」

当然───か。

「よく知らないのに、なぜ……」

「言葉や態度を見れば、お前がどんな人間かわかるさ。最初はな、お前が旅の同行を断ったら、従者に召し上げてしまおうかと考えてたんだ」

「!!」

「けれど、やめた。お前は従者ではなく、友になれる気がしたから」

「お、畏れ多いことです」

「はは、だから、お前の意志は尊重する。このヘカントガーゴイル戦が終われば、約束通り帰っていいからな」

「はい……」

嘘は言っていないようだ。
この人はフェアな人なんだな。

身分を理由に、命令することもできるのに。

この人たちとなら、長旅してもいいような気がしてくる。

でも、俺は……。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

読んでくださってありがとうございました。
お気に召したら、お気に入り登録してくださるとうれしいです♫ とても励みになります。


※この物語はフィクションです。表現や人物、団体、学説などは作者の創作によるものです。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...