不遇弓使いの英雄譚ー無敵スキル『絶対反転』を得て救世主となる

たからかた

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四章

孤族の村

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魔導士ティトは、目を細めて俺たちを見る。

「ふふ、いい男じゃな。フィオは幸せ者じゃ」

「ティト」

「……しかしじゃ、あの孤族の娘たちも努力して、ハーレムのトップにならねばならんのじゃよ?」

「ハーレム!?」

「おや、知らんのか。アーチロビン。ガルズンアース国の未婚の王族は皆、自分のハーレムを持つぞ」

「あ、いや、俺も思い出したよ。何年か前に、ヘレン姫のハーレムに入らないかと勧誘を受けたから」

あの時はハーレムの意味がよくわからず、高い報奨金の方にばかり気がいって、承諾しようとした。

じっちゃんに止められて、結局入らなかったけれど。

「ほー、やはりお前も声をかけられたのか、アーチロビン。ま、その容姿ならヘレン王妃の目にとまっていたかもしれんのう」

「な、何言うんだよ、ティト」

「わかる気がするな、アーチロビン。お前は無自覚だが、色気のある美男子だからな。トップをとったかも」

「色……!? ケ、ケルヴィン殿下まで!」

「もー、アーチロビン。次から次に女性に好かれてるじゃない。フィオが苦労しそうだな」

「ギルバート、誤解だって。今だって、ケルヴィン殿下に女の子たちが集中してるじゃないか」

「あのなぁ、アーチロビン。俺は王族という『オプション』があるから、モテてるだけだぞ。素でモテるお前とは違う」

ケルヴィン殿下が、クラリスとターニャの肩に手を置いて、俺を羨ましそうに見た。

モテるの定義がよくわからない。

それに、その姿で言われても、イマイチ説得力がないんだけどな。

「もー、ケルヴィンのイジワル」

「そんなふうに言わないで……お願い」

クラリスとターニャはケルヴィン殿下の肩に頭を乗せて、しがみつく。

「ボクは今のケルヴィン殿下が、羨ましいです」

聖騎士ギルバートが、身を乗り出して素直に言った。

……俺も正直、少し羨ましい。

ケルヴィン殿下は、苦笑いしてターニャとクラリスを抱き寄せる。

「やれやれ。俺も早くアーチロビンみたいに、運命の女性に出会いたいものだ」

……そういう割に、ケルヴィン殿下は二人を離さない。本当に、説得力がない。

「運命の相手はきっと私」

「違う、私よ」

「もう、黙ってて、クラリス!!」

「あなたこそ、ターニャ!!」

「はいはい、ハニーたち。それはこれからわかるよ」

「ケルヴィン王子……」

「そうね、ケルヴィン王子」

二人と軽くキスを交わして、ケルヴィン殿下は片目を閉じた。

上手いな。
オプションがデカいと、やっぱり得しかないんじゃないか?

……まあ、いい。俺にはフィオがいる。
フィオの笑顔を思い出すと、胸が温かくなった。

二度と、彼女を失いたくない。
冷たくなったフィオを腕に抱いた時、『失う』ことの辛さと絶望感を知った。

他の女性とのひと時の快楽で、簡単に癒せるものじゃない。

彼女が戻ってくるから、今は平静でいられるだけで、それがなければ発狂しそうだ。

……フィオ。

その時、馬車を走らせていた、パジルが声をかけてきた。

「着きましたよ、私たち孤族の村です」

ついに……ついに来た!
フィオ、待っていてくれ!!

俺たちは聖櫃を担いで、馬車を降りた。
のどかで、静かな村だ。

孤族の子供たちが、元気に駆け回っている。
フィオが見たら、喜ぶだろうな。

ん? あれは誰だ?

村の奥の方から、巫女の姿をした女性がやって来た。

この村の、巫女か?
魔導士ティトと、同じ歳くらいに見える女性だ。

「大きな力を感じてやってきた。村に仇なすものではなさそうだが、長居は無用ぞ」

と、言われた。
大帝神龍王の力を、警戒しているんだろうな。

パジルが俺たちの前に来て、巫女に頭を下げる。

白薙しろなぎ様、この方々は恩人です。彼等の仲間であり、我らの同族の白狐が、危機に瀕しております。どうか、霊泉への道をお開きください」

「恩人……そういえば、ゾンビダラボッチの気が動いたな」

「ええ、それで……かくかくしかじか」

「ほう、そんなことが。同胞の恩人となれば、話は別だ。霊泉への道を開けよう」

白薙しろなぎ様と呼ばれた巫女は、俺たちを大きな洞窟へと連れて行ってくれた。

しめ縄が施された大きな岩が、洞窟の入り口を塞いでいる。

白薙しろなぎ様は、呪を唱えてその岩を横へスライドさせた。

ゴゴゴゴ……ゴトン。

重い音が、洞窟内で反響している。奥が深そうだ。

「履き物は脱いでから、ついてきなさい」

白薙しろなぎ様にそう言われて、俺たちは言われたとおりに履き物を脱ぐと、聖櫃を担いで中に入った。

「わぁ……」

「ガー! キレイ! ウツクシイー」

オウムのフェイルノも、思わず叫んでいる。

中は鍾乳洞になっていて、幻想的な世界が広がっていた。

ほのかに光り苔か輝いて、確かにとても美しい。

「滑りやすいから気をつけてな」

注意を促す白薙様は、スタスタと前を歩き、奥へと進んでいく。

何度も滑りそうになりながら進むと、目も眩むような光が見えてきた。

「あ、あの先が……霊泉じゃ……ふ……」

魔導士ティトが、額から汗を流しながら教えてくれる。なんだか、苦しそうだ。

「ティト?」

俺が心配になって覗き込むと、彼女は座り込んだ。

「ここで待つ。強すぎてワシにはきつい」

魔導士ティトの鼻から、鼻血まで出ている。
そんなに影響を受けるのか?

「ヌシは魔導士か」

白薙様が聞いてくる。

「そうじゃ」

「ならばきつかろう。そこで待つがよい」

「すまんな」

大丈夫なのか? ティト……。
俺は心配になって、魔導士ティトを振り向くと、彼女は俺に向かって早く行けと手を振ってくる。

「構うな、行け。フィオを取り戻すのじゃ」

「ティト……」

「ワシも早う会いたいからな」

「わかった」

俺たちは彼女と別れ、霊泉のある場所へと進んでいった。
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