山に登ったら巫女少女と出会ったので遊ぶことにしました

榊空

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 家に帰り着いた静人達は早速パソコンで小物を調べ始める。最初は二人で調べていたが、一人はお昼ご飯の準備をしないといけないことに気が付いてかなでが調べることになった。



「結構あるのね……」

「かなで、お昼ご飯はチャーハンでいいかい?」

「ええ、おいしいのを期待してるわね?」

「分かった。美味しくなるように頑張るよ」



 かなでのお願いに微笑んで返す静人はキッチンへと戻っていく。からからと卵を溶く音やチャーハンを焼く音がリビングまで響いてくる。醤油の焦げるいい匂いがしたところでかなでのお腹から音が鳴る。



「くぅ、ここまで匂いが充満するなんて……、お腹空いてきたよー。さすがはしず君」

「はい、チャーハン。それと卵のスープも作ったからそっちも食べてね」

「美味しそうな匂い! いただきます!」

「召し上がれ」



 我慢ができなかったのか、目の前に出されたチャーハンにすぐに手を付けたかなでは、口をもぐもぐさせながら顔で美味しさを伝えてくる。



「はは、そんながっつかなくても……、僕の分はあげないからね?」

「そんなことしないわよ。あ、卵スープも美味しい」

「寒い日はあったかい汁ものが一品ないとね」

「内側からあったまるのは美味しいし安心するわよね」

「そうだね。寒い日は汁物が一番。今度また豚汁とか作ろうかな」

「お肉たっぷりでよろしく。あ、ケーキどうしようか」

「作るつもりだよ?家族が一人増えた記念で。あ、用水路ができた記念でもあるね」

「そういえばそうね。桔梗ちゃんが来たことで忘れてたわ」

「ケーキと一緒に洋服渡そうか。小物はまた今度かな」

「そうね。自分たちで納得できる出来になってから渡しましょう」

「妥協はしたくないからね」



 静人はチャーハンを食べながら自分で買った素材をちらりと流し見て頷く。かなではいつもより早く食べ終わり食器を片付けると、自分の買ってきた素材を抱えて自分の部屋に持って向かっていく。



「ごちそうさまでした。あ、食器は私が洗うから流し台に置いといてね。食べ終わったら呼んで!」

「はいはい、ゆっくり食べるから遠慮しないで小物作りに専念してて」

「はーい! それじゃあお先!」



 早く作業を始めたいかなでは静人に返事をしてすぐに自分の部屋に入っていく。その後ろ姿を苦笑いで見送る静人は目の前のチャーハンを味わって食べてから、卵スープで体を温めると空になった食器を流し台に置き自分の部屋に荷物を運んでいった。運び終わった静人は一息ついた後かなでのもとへ向かう。



「かなで、食べ終わったよ」

「え、もう? 早かったわね。まだ素材の厳選すら終わってないわ」

「僕が早いというか、かなでが時間を忘れて厳選していただけだと思うけど」

「そうかしら? あ、そんな話をしてる場合じゃないわ。これなんだけど……」

「うん? あー、これは……」



 かなでは静人にデザインが見えるように紙を渡すと、受け取った静人は少し考えこみながらも意見を伝える。二人で意見を交換しながら少しずつ完成に近づいていく。



「出来た!」

「これなら気に入ってもらえるかな? 結局は僕たちじゃなくて着る人の気持ち次第だからね」

「それはそうなんだけど、もみじちゃん達って洋服の種類とか分かるのかな?」

「巫女服しか見たことないから、もしかしたらわからないかもね……」

「ふふ、教えがいがあるわね! たくさん用意して、どんな色が好きかとか聞いて最高に似合う服を作り上げるのよ!」

「僕は洋服づくりには関われなさそうだから小物作りを頑張るよ」

「ええ、洋服づくりは私と凪さんとグラで頑張るわ!」



 拳を握り締めて掲げるかなでは気合が入った声を出す。



「もうそろそろケーキ作り始めようかな」

「あ、フルーツケーキがいい!」

「もみじちゃん達が気に入ってくれたら嬉しいけどね」

「大丈夫! しず君が作るケーキおいしいもの!」

「あはは、ありがとう。ケーキは一つじゃなくて二つぐらい作ってみようかな」



 静人はかなでの言葉が嬉しかったのか静かにやる気を見せ、照れ隠しなのか作るケーキを増やそうと考えた。



「ホント!? あとはショートケーキかしら……。チョコケーキ、ここはモンブランという可能性も……」



 静人の提案に嬉しそうな声で反応するかなでは、今まで食べたケーキを思い出しながらつぶやく。そんなかなでを見て頬をかきながら口を出す。



「最初はショートケーキがいいかなって思ってるんだけど。あくまでも主役はもみじちゃん達だからね?」

「わ、分かってるわよ。うん。ショートケーキも美味しいもの」

「ならいいけど。……今度、他のケーキも作ろうか?」

「大好き! しず君!」

「現金というかなんというか。僕も大好きだよ、かなで」



 苦笑いをしながらもその気持ちに偽りはないのか、静人はかなでに顔を向け嬉しそうに柔らかく微笑む。少し雰囲気がほわほわしたところで静人達は動き出した。静人はケーキを、かなでは小物のデザインと素材の厳選を始める。ケーキが楽しみなかなではいつもなら手伝う調理から離れて、出来上がるケーキを待ち望みながら作業を始める。



「フルーツ、何使うのかしら。近くで買ってくるとは言ってたけど」



 ケーキの材料を買い忘れた静人が慌てて買い物に向かっていくのを見ていたかなでは、ワクワクしながら静人の帰りを待つ。しばらく静かに待っていたかなでだったが、暇になったのか紙にデザインを描き始める。



「ふぅ、あ、なんかいい匂いする……」



 時間を忘れるくらい集中して描いていたかなでは一息つこうと背伸びしたときに、自分の部屋にいい匂いが届いていることに気付く。鼻をスンスンさせながら匂いの元に引き寄せられていくかなでの行きついた先で静人がケーキを並べていた。



「おや? においに引き寄せられたのかい?」



 静人はケーキを並べて箱の中に入れている途中でかなでの姿に気が付き苦笑いを浮かべる。そんな静人の姿に気が付いたかなでは今どう思われているのか分かったのか、手をワタワタさせながら必死に話し出す。



「ち、違うからね!? 別にいい匂いがしたから来ただけで、食べようと思ってきたわけじゃないからね!」

「分かってるよ。……ちなみにケーキは味見用があるけど食べるかい?」

「食べ……ない! やっぱりもみじちゃん達と一緒に食べたいもんね!」

「あはは、そうかい? あ、飾りつけをするから手伝ってくれるかい?」

「ええ、いいわよ! 綺麗に飾り付けるわ!」

「ふふ、期待してるね」



 やる気を出したかなでは静人から渡されたケーキをじっくり見て、ふちに生クリームで壁を作り、内側に飾り付け用にカットされたフルーツをふんだんに盛り付ける。



「出来た! どう? しず君」

「これはまたたくさん盛りつけたね。食べきれるかい?」

「私たちよりかもあの子たちのほうが食べるし。大丈夫よ。それに二ホールなら私でもいける」

「体に悪いからやめてね? 時間もいい感じだし、もうそろそろ行こうか」

「出来れば形崩したくないし、丁寧に持ってね!」

「あ、持つのは僕なんだ。……一つは持つからもう一つは持ってもらっていい?」



 ケーキを入れた箱と自分の荷物を交互に見て、無理だと感じたのか首を横に振ってかなでにもう一つのケーキを頼む。かなでは静人の荷物を見て納得した顔で頷いて大事そうに受け取る。



「……食べないでね?」

「食べないわよ! よし、それじゃあ行きましょうか」



 からかい交じりの静人の声に頬を膨らませてかなでが反論した後、気を取り直して自分の荷物を持っていつもの場所に向かう。いつものように森の入り口に着いた二人はもみじ達が来たのに気づいて手をあげると、もみじ達が固まった様子で静人達を見つめる。



「どうしたの?」

「ふむ、お主たちが連れてきたわけではないのか。後ろの者たちは誰なのだ?」

「え?」



 固まっていたもみじの代わりに一歩前に出た桔梗が話し始める。その言葉に驚いた様子の静人達は慌てた様子で後ろを振り向くと、そこにはバツが悪そうな顔で出てくる二人の人影があった。

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