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しおりを挟むいつもの神社付近ではなく青藍が作った小屋に現れる二人の人影。一人はみどりでもう一人はみどりと同じくらいの年齢に見える茜色の髪の女性だった。その女性はいきなり連れてこられたのかあたりをきょろきょろと見渡して不思議そうな顔をしている。
「というわけで連れてきたんやけど」
「なんであたしここに連れてこられたの? あ、小さい子がいる。こんにちはー」
「こんにちはー?」
「こんにちは? あ、この人が前に言ってた人?」
「せやせや。改めて紹介するで、この人は茜や。力自慢の少女やな」
「なんかその説明だとあれなんだけど。まぁ、力仕事なら任せてね。というかあたしをここに呼んだってことはそう言う仕事があるってことなの?」
「そうやよ。まぁ、まだ顔合わせってだけやさかい。まず最初に会わせたかったんやけど桔梗のやつはどこおるん?」
「桔梗ならいつもの家にいるよ。あっちのほうが落ち着くんだってさ」
いつもの家と言いながら神社のほうを指さす青藍に納得した表情でみどりが頷く。
「あー、まぁ、うちらからしたらあっちの方が馴染んどるやろうからな」
「その桔梗って人がみどりの合わせたい人なの?」
「せやよ。うちの小さいころからの知り合いやよ」
「へー、ってそういえばこの子らもあたしらと一緒なの?」
「せやよ。あと二人ほど会わせたい人がいるんだけど。そっちは普通の人やね」
「普通の人!? 大丈夫なの?」
「まぁ、普通なら警戒するんやけどな? なんというかあまりにも普通過ぎてなー。一応うちの者使って調べたりはしたんやけど正直警戒する必要がないんよな」
「まぁ、みどりがそういうならいいけど。私もその人に会うの?」
「せやな。まぁうちも会ったことあるけどそんなに身構えなくても大丈夫やで」
「でも私たちとは違う普通の人なんでしょ?」
「せやなー。茜は人見知りやからなー。しょうがないなー」
「いや、そういうことは言ってないでしょ!」
「会うのを怖がらなくてええんやよ?」
「怖がってないし! 全然怖くないし!」
「それじゃあ今日も来るやろうから今日会おうか」
「え、あ、も、もちろん大丈夫よ!」
「それじゃあ静人さんらが来るまでここで待っとくか。その前に桔梗の所に行こか」
「あ、はい」
自分とは違う人に会うのに気が乗らないのか渋っていた茜だったが、みどりの言葉に反論していたらいつの間にか会うことになっていた。そんな会話をしながら二人は桔梗のいる神社へと向かう。
「おーい、桔梗遊びに来たでー」
「うむ? 誰かと思ったらみどりなのだ。どうしたのだ?」
「あれ、また小さい子だ? この子が桔梗ちゃんなの?」
「うむ? 誰なのだ?」
知らない人がいたからか警戒する桔梗に苦笑気味にみどりが話しかける。
「そんなに警戒しなくてもええよ。ほら、この前会わせたいって言ってたやろ?」
「あー、それじゃあこの者が茜なのだ?」
「そうだよー、よろしくね桔梗ちゃん」
「うーむ、前評判と違う気がするのだ。みどり?」
「せやろか、子供好きな大人のお姉さんやろ?」
「まぁ、子供好きではあるとは思うのだ。だが、わしが聞いたのは姉御肌のお姉さんだった気がするのだ」
「え、あたしそういう風に見られてたの?」
「いや、うちもそう思っとったんやけどな? まぁ、悪いやつではないから安心しいや」
「うむ、まぁみどりがそういうならいいのだ。今日お姉ちゃんたちに会わせるのだ?」
「せやで、顔合わせはさっさとした方がええやろ?」
「うむ。その方がいいと思うのだ。……今日はどんな料理なのか楽しみなのだ」
「そのお姉ちゃんたちがさっき言ってた人間なんだよね。気になってたんだけど、なんでその人たちはここに来るの?」
「来たらいけないのだ?」
「いや、そういう意味じゃなくてね? 話聞いてる感じだと料理を作りに来てるんだよね?」
「うむ、毎日夕方に料理を作って一緒に食べてるのだ」
「まぁ、こう言ったら悪いけど、縁もゆかりもない他人が人のためにそこまでする理由が分からないなって」
「それはわしも知らんのだ。でも、そこまで気にしなくてもいいと思うのだ。お姉ちゃんと静人に悪意とかが感じられないのだ」
「それが謎なんだけど……、気になるのよね。何か知らないの? みどり」
「あー、まぁなんとなく予想はついとるけど。確かにそこに悪意はないで。むしろ純粋な愛情だけやと思う」
「純粋な愛情って……、なんでそんなものをその二人が持ってるのよ」
「あー、うん。まぁ、教えといたほうがええか。茜が変こと言いそうやし。一応言っとくけどこの話は知らんことにしておいてな。静人さんらもそこまで知られたい話ではないやろうし、もみじや青藍に教えるのもなしや」
「うむ? そこまでの理由があるのだ?」
「別に言いふらすつもりはないよ。ただ、気になるってだけだし」
「それじゃあ、教えるけどな。そうやな。調べたところ二人は結構いい歳や。子供の一人や二人作っててもおかしない。それに二人は子供好きや。それなのに二人の間には子供がいない。これでだいたい予想つくやろ?」
「うむ? いや、どういう意味なのだ? 分からんのだ」
「え、それってもしかして……」
「茜は分かったのだ?」
「えっと、うん。多分だけど。二人は子供をつくれない体ってこと。だよね?」
「せや、このことをあの二人に言わんようにな。もちろん本人にもや。調べさせたうちが言うのもなんやけど。そのことが原因でいろいろあったみたいやしな。だいたいこれで納得いったやろ?」
「うん。そっか、その人たちは桔梗ちゃん達を自分たちの子供と重ねてるんだね?」
「うむ。なんかよく分からんかったのだ。けど、家族として見てくれているなら別にどうでもいいのだ」
「まぁ、桔梗の場合は変に気を使う方がおかしなことになるやろうし、普段のままでええよ。茜は今聞いたことを考えんようにな?」
「う、分かった。うん、なんでその二人がここまでしてくれるのか分かったし。あたしはもう大丈夫かな」
「変なところで考え込むから頭痛くなるんやで? 理解できずともそういう人がいるって前提に置いたらそこまで考え込む必要もないんやし」
「まぁ、そうだけど。気になったからさ。あれ、鈴の音が聞こえるけどこれって?」
話していると鈴の音が聞こえてくる。風もないのに鳴り響くそれを不思議に思ったのか疑問符を浮かべていると桔梗が答える。
「あ、お姉ちゃんたちが来た合図なのだ。迎えに行ってくるのだ」
「つ、ついに来たのか。あたし変なところないよね?」
「別に普通やよ。っと、もみじちゃん達も迎えに行ったようやね」
「え? あ、ホントだ。物凄い速さで突っ込んでいったね」
「それだけ楽しみにしとるってことやろな。まぁ、深く考えずにありのままで接したらええと思うで?」
「そうだね。あたしももみじちゃん達のあの姿を見てたらちょっと会うのが楽しみになって来たよ」
「そうか、それならよかったわ」
物凄い速さで通り過ぎていったもみじ達を見て微笑む茜に安心したようにみどりも笑みを浮かべるのだった。
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