63 / 92
63
しおりを挟む
チャイムが鳴り響いたのを聞いた静人とかなでは玄関に向かう。
「遊びに来たぜ!」
「すみませんこんな時間に……。止めれませんでした」
「なんだよ。もう九時は過ぎてるんだからいいだろ?」
玄関にいたのは元気に挨拶するグラと、申し訳なさそうに頭を下げる凪だった。
「あはは、いらっしゃい。凪さん、グラさん」
「凪ちゃん、グラ。いらっしゃい」
「おう、静人もかなでも元気そうだな。これお土産な」
「おはようございます、かなでさん。あ、お土産の中身はこっちがケーキで、こっちのが洋服です。もちろん洋服はもみじちゃん達の分ですよ?」
「えー、私の分は?」
「ありません。ケーキは人数分ありますからそっちで我慢してください」
「ケーキあるならそれでいいや。あ、玄関で話すのもなんだし上がって上がって」
紙袋を掲げて説明する凪とグラを家の中に迎え入れる。
「お邪魔します」
「よろしく。あ、桔梗たちはもう起きてるのか?」
「ええ、起きてますよ。というかこっちを見てますね」
家の中に入りながら訪ねるグラに答えを返しつつ、こちらをうかがいみる桔梗に目を向ける。その言葉で気が付いたのかグラが桔梗のほうに歩み寄る。
「お、桔梗久しぶり」
「うむ、久しぶりなのだ。元気にしておったのだ?」
「おう、桔梗たちのほうは言うまでもなく元気そうだな」
「当たり前なのだ。この体になってから病気とは無縁なのだ。む、お主は凪だったな。久しぶりなのだ」
桔梗はグラと会話をしつつも凪が目に入ったのか挨拶をする。凪はそんな桔梗に微笑みを返しつつ頭を下げる。
「ふふ、お久しぶりです。元気そうで安心しました」
「うむ、そっちも息災で何よりなのだ」
「ふふ、ありがとうございます。あ、お土産にケーキ買ってきましたから一緒に食べましょうね」
「うむ、一緒に食べるのだ! グラ達も一緒に食べるのだ?」
「もちろん。俺も食べるぜ。あ、こっちのお土産は洋服だ。おっ、今更だけど今日は前見たような巫女服じゃねえんだな」
「うむ、先程お姉ちゃんに着替えさせられたのだ。このフリフリがなんかかわいいのだ」
「お、フリフリしてるのが好きなのか」
一か所だけついているフリルを見せながら笑顔を見せる桔梗に、嬉しそうな顔でグラが笑う。
「うむ、でも、たくさんついてるのは好きじゃないのだ。こんな感じで一か所だけなのがいいのだ」
「なるほどな。今度そういうの作ってきてやるよ」
「いいのだ? 作ってくれるのは嬉しいのだ」
「おう、たまにはいいだろ。ま、今回はこの服で我慢してくれ。あ、青藍ともみじの分ももちろんあるからな」
「フリフリは嫌」
いつの間にか近づいていた青藍ともみじに気が付いたグラは紙袋の中身を見せる。青藍はその中から見えたフリルの付いた洋服を見て首を横に振るが、グラは分かっていたのか別の洋服を見せる。
「青藍は動きやすいのがいいんだろ? そういうの作ってきたから安心しろ。もみじはワンピースタイプだからこっちも動きやすいと思うぞ。まぁ、着るのは夏になると思うが」
「わぁ、かわいい! ありがとう! グラお姉ちゃん!」
「いいってことよ。俺らも楽しんでるしな? というかもみじも青藍も今日は洋服違うんだな。俺らが前に送ったやつだ」
「お泊りするなら巫女服じゃなくて、もらったものを着て行くほうがいいってみどりお姉さんに言われたの!」
「なるほどな。ま、そっちの方が確かに嬉しいわな」
「うん。こういうのなら着やすくていい」
「あはは、青藍はどちらかというと俺みたいな考えのやつだな。ま、たまにはもみじとか桔梗とかと洋服交換したりするのも楽しいと思うぜ? 似たような背丈だしよ」
「気が向いたら」
「おう、さてとケーキどうする? 今食べるか?」
青藍の答えに笑みを浮かべたグラは頭をわしわしと撫でた後静人のほうに向きなおる。
「うーん、朝ご飯はさっき食べたからね。お昼ご飯にはまだ時間あるし、うん。ちょっとしたものならいいかな。お茶の準備してくるからケーキ切り分けるのお願いしてもいいですか?」
「おう、任せとけ。凪がこういうの得意だからな」
「あ、店長がやるんじゃないんですね。まぁ、良いですけど。かなでさんお皿とか包丁とかってどこにあります?」
「あ、こっちよ、ついてきて。もみじちゃん達はここでグラと待っててね。すぐ終わるから」
「はーい」
「分かったのだ」
「おとなしくしてる。パソコン使っていい?」
「うん、いいわよ。それじゃあ凪ちゃん行きましょうか」
「はい」
しばらくして静人が二つのティーポットをお盆にのせて帰ってきた。またすぐに部屋から出ると今度はカップと砂糖、牛乳を持ってくる。
「よいしょ、紅茶とコーヒーを用意したから好きな方選んでね。ミルクと砂糖は各自で入れてね」
「お、それじゃあコーヒーもらうわ。紅茶よりかもコーヒーのほうが落ち着くし」
「あはは、なんとなくグラさんはそんな気がしてました。好きなときに飲んでいいですからね」
「うむ? あの黒いのは何なのだ? 美味しいのだ?」
「あー、好みが分かれるかな? 桔梗ちゃん達には苦くて美味しくないかな」
「うーむ、ちょっと飲んでみるのだ。砂糖はどれぐらいなのだ?」
「人に寄るからね。少しずつ調整するのがいいと思うよ。あ、そのままで飲む人もいるけどミルクいれる人もいるね」
「こ、このままなのだ? あ、でも確かにグラはそのままで飲んでるのだ。ならわしもそのままで一回飲んでみるのだ」
「熱いから気を付けてね。というかすごく苦いから気を付けてね」
「う、うむ。そこまで言われると怖くなってくるのだ。ひ、一口だけなのだ」
いつもならそこまで注意することのない静人の態度に、桔梗は早まったかと後悔しながらも湯気の立つコーヒーを息で冷ましつつひとくち口に含む。そして固まった。そんな桔梗を見た静人は少し苦笑気味に訪ねてくる。
「やっぱり苦かったかい?」
「に、にがくないのだ。ほんとなのだ」
「お、それならもうひとくちいくか?」
「ごめんなのだ。苦いのだ」
「まぁ、だろうな。大人でも飲めないやつはいるし、砂糖入れて牛乳いれるだけでもだいぶ違うぜ?」
「そうなのだ? 試してみるのだ」
「おう、もみじ達は飲まないのか?」
「私も飲んでみたいかも。どんな味なのか気になるし」
「え、もみじ飲むの? 私は遠慮しとく、なんか胃に悪そうな見た目してるし」
「そうかな? あ、おにいさん私にもコーヒーください!」
「あはは、好奇心が勝ったかな。まぁ、苦いけどミルクいれれば何とかなるから」
「ふーふー、それじゃあいただきます」
静人から渡されたコーヒーに息を吹きかけ十分に冷めたころ合いで一口含み慌てたように飲み込む。
「うう、思ったよりも苦かったよう。においはなんか苦そうな感じしなかったのに」
「ほら、もみじちゃん。砂糖とミルク」
「ありがとうお兄さん。これぐらいかな?」
「うん、それぐらいいれたらさっきよりかも飲みやすくなってると思うよ」
「いただきます」
牛乳を入れたことでコーヒーから湯気も出なくなり、ぬるくなったカップの中身を心配そうにのぞき込むもみじだったが、そんなもみじを安心させるように頷く静人を見て思い切って口をつける。一口飲んで少し固まった後目を輝かせてごくごくとカップの中身を飲み干していく。
「あはは、美味しかったかな?」
「うん! さっきとは違って飲みやすくて、甘くて、それで美味しいの!」
「それは良かった。桔梗ちゃんはどうだった?」
「うむ、確かに牛乳をいれたら飲みやすくなったのだ。青藍は飲まんのだ?」
「うーん、それじゃあ一口だけでいい。桔梗のちょうだい」
「うむ」
「うん、うーん、うん。やっぱり私はこれ以上はいいかな。まずいとは思わないけどなんか苦手」
「そうなのだ? それならしょうがないのだ」
「それじゃあ青藍ちゃんは紅茶だね。ミルクはいれるかい?」
「うん、砂糖もほしい。あ、おねえさん達帰ってきた」
青藍に紅茶と砂糖、牛乳を渡していたタイミングでかなで達が大量のお皿と共に帰ってきた。切った後にお皿に乗せてから持ってきたらしく二人とも両手がふさがっている。
「ただいまー、ケーキ切ってきたよー」
「お皿に乗せてるから好きなのとってね」
「うむ、これは悩むのだ。どれが一番大きいのだ」
「どれも同じ大きさに見えるけど、甘くないのどれ?」
「一応買ってきたのは二種類あって、こっちが甘いのでこっちが甘さ控えめの方ですよ」
「教えてくれてありがとう。それじゃあこっちでいい」
お礼を言いながら凪から甘さ控えめのケーキを受け取った青藍は、テーブルに戻って皿を置き紅茶に口をつけていた。
「はーい。もみじちゃんと桔梗ちゃんどっちがいい?」
「私は甘いほうがいい! だからこっち!」
「うーむ、わしも甘いほうがいいのだ」
「それじゃあこっちね、静人さんたちはどうします?」
「僕は甘くないほうで」
「俺も甘くないほうだな」
静人とグラは甘いのが苦手なのか迷わずに甘くないほうのケーキを受け取る。
「かなでさんは甘いほうですよね」
「もちろん! 凪ちゃんはどっちにするの?」
「今日は甘くないほうを食べたい気分なのでこっちです。それじゃあ食べましょう」
「いただきます」
「「「「「いただきます」」」」」
全員が受け取ったところでテーブルで合掌する。グラはみんなで手を合わせてから食べ始めるもみじ達の姿に感心していた。
「おう、ちゃんといただきますしてんのか。偉いな」
「行儀が悪いので店長もしてくださいね」
「お、おう。いただきます」
「はい、良く出来ました。あ、このケーキおいしいですよ」
「お、そうだな。ケーキだけじゃなくて他のも買ってくればよかったな」
「そうですね。ケーキがこれだけ美味しいなら他のも美味しかったかもです」
「あはは、それはまた今度ということで。かなで、今日ももみじちゃん達とお菓子作りはするのかい?」
「もちろん! ここでしかできないものも多いからね。毎日作るわ」
「それじゃあケーキを食べた後は昨日と同じかな?」
「そうね。今日は凪ちゃん達が来たしお昼からは一緒にゲームでもしましょうか」
「お、なにすんだ?」
「これだけ人数がいるし久しぶりにトランプしましょうか」
「おー、また久しぶりにやるな。ババ抜きか?」
「ええ、分かりやすいしもみじちゃん達も知ってるから。覚えてる?」
「うん、だいじょうぶ」
「覚えてるのだ」
「大丈夫!」
「それじゃあケーキ食べた後はお昼まで昨日と同じ感じでお昼食べてからはみんなでゲームしましょう!」
「おー!」
次の予定も決まり凪とグラを含めたメンバーで調べ物に移った。
「遊びに来たぜ!」
「すみませんこんな時間に……。止めれませんでした」
「なんだよ。もう九時は過ぎてるんだからいいだろ?」
玄関にいたのは元気に挨拶するグラと、申し訳なさそうに頭を下げる凪だった。
「あはは、いらっしゃい。凪さん、グラさん」
「凪ちゃん、グラ。いらっしゃい」
「おう、静人もかなでも元気そうだな。これお土産な」
「おはようございます、かなでさん。あ、お土産の中身はこっちがケーキで、こっちのが洋服です。もちろん洋服はもみじちゃん達の分ですよ?」
「えー、私の分は?」
「ありません。ケーキは人数分ありますからそっちで我慢してください」
「ケーキあるならそれでいいや。あ、玄関で話すのもなんだし上がって上がって」
紙袋を掲げて説明する凪とグラを家の中に迎え入れる。
「お邪魔します」
「よろしく。あ、桔梗たちはもう起きてるのか?」
「ええ、起きてますよ。というかこっちを見てますね」
家の中に入りながら訪ねるグラに答えを返しつつ、こちらをうかがいみる桔梗に目を向ける。その言葉で気が付いたのかグラが桔梗のほうに歩み寄る。
「お、桔梗久しぶり」
「うむ、久しぶりなのだ。元気にしておったのだ?」
「おう、桔梗たちのほうは言うまでもなく元気そうだな」
「当たり前なのだ。この体になってから病気とは無縁なのだ。む、お主は凪だったな。久しぶりなのだ」
桔梗はグラと会話をしつつも凪が目に入ったのか挨拶をする。凪はそんな桔梗に微笑みを返しつつ頭を下げる。
「ふふ、お久しぶりです。元気そうで安心しました」
「うむ、そっちも息災で何よりなのだ」
「ふふ、ありがとうございます。あ、お土産にケーキ買ってきましたから一緒に食べましょうね」
「うむ、一緒に食べるのだ! グラ達も一緒に食べるのだ?」
「もちろん。俺も食べるぜ。あ、こっちのお土産は洋服だ。おっ、今更だけど今日は前見たような巫女服じゃねえんだな」
「うむ、先程お姉ちゃんに着替えさせられたのだ。このフリフリがなんかかわいいのだ」
「お、フリフリしてるのが好きなのか」
一か所だけついているフリルを見せながら笑顔を見せる桔梗に、嬉しそうな顔でグラが笑う。
「うむ、でも、たくさんついてるのは好きじゃないのだ。こんな感じで一か所だけなのがいいのだ」
「なるほどな。今度そういうの作ってきてやるよ」
「いいのだ? 作ってくれるのは嬉しいのだ」
「おう、たまにはいいだろ。ま、今回はこの服で我慢してくれ。あ、青藍ともみじの分ももちろんあるからな」
「フリフリは嫌」
いつの間にか近づいていた青藍ともみじに気が付いたグラは紙袋の中身を見せる。青藍はその中から見えたフリルの付いた洋服を見て首を横に振るが、グラは分かっていたのか別の洋服を見せる。
「青藍は動きやすいのがいいんだろ? そういうの作ってきたから安心しろ。もみじはワンピースタイプだからこっちも動きやすいと思うぞ。まぁ、着るのは夏になると思うが」
「わぁ、かわいい! ありがとう! グラお姉ちゃん!」
「いいってことよ。俺らも楽しんでるしな? というかもみじも青藍も今日は洋服違うんだな。俺らが前に送ったやつだ」
「お泊りするなら巫女服じゃなくて、もらったものを着て行くほうがいいってみどりお姉さんに言われたの!」
「なるほどな。ま、そっちの方が確かに嬉しいわな」
「うん。こういうのなら着やすくていい」
「あはは、青藍はどちらかというと俺みたいな考えのやつだな。ま、たまにはもみじとか桔梗とかと洋服交換したりするのも楽しいと思うぜ? 似たような背丈だしよ」
「気が向いたら」
「おう、さてとケーキどうする? 今食べるか?」
青藍の答えに笑みを浮かべたグラは頭をわしわしと撫でた後静人のほうに向きなおる。
「うーん、朝ご飯はさっき食べたからね。お昼ご飯にはまだ時間あるし、うん。ちょっとしたものならいいかな。お茶の準備してくるからケーキ切り分けるのお願いしてもいいですか?」
「おう、任せとけ。凪がこういうの得意だからな」
「あ、店長がやるんじゃないんですね。まぁ、良いですけど。かなでさんお皿とか包丁とかってどこにあります?」
「あ、こっちよ、ついてきて。もみじちゃん達はここでグラと待っててね。すぐ終わるから」
「はーい」
「分かったのだ」
「おとなしくしてる。パソコン使っていい?」
「うん、いいわよ。それじゃあ凪ちゃん行きましょうか」
「はい」
しばらくして静人が二つのティーポットをお盆にのせて帰ってきた。またすぐに部屋から出ると今度はカップと砂糖、牛乳を持ってくる。
「よいしょ、紅茶とコーヒーを用意したから好きな方選んでね。ミルクと砂糖は各自で入れてね」
「お、それじゃあコーヒーもらうわ。紅茶よりかもコーヒーのほうが落ち着くし」
「あはは、なんとなくグラさんはそんな気がしてました。好きなときに飲んでいいですからね」
「うむ? あの黒いのは何なのだ? 美味しいのだ?」
「あー、好みが分かれるかな? 桔梗ちゃん達には苦くて美味しくないかな」
「うーむ、ちょっと飲んでみるのだ。砂糖はどれぐらいなのだ?」
「人に寄るからね。少しずつ調整するのがいいと思うよ。あ、そのままで飲む人もいるけどミルクいれる人もいるね」
「こ、このままなのだ? あ、でも確かにグラはそのままで飲んでるのだ。ならわしもそのままで一回飲んでみるのだ」
「熱いから気を付けてね。というかすごく苦いから気を付けてね」
「う、うむ。そこまで言われると怖くなってくるのだ。ひ、一口だけなのだ」
いつもならそこまで注意することのない静人の態度に、桔梗は早まったかと後悔しながらも湯気の立つコーヒーを息で冷ましつつひとくち口に含む。そして固まった。そんな桔梗を見た静人は少し苦笑気味に訪ねてくる。
「やっぱり苦かったかい?」
「に、にがくないのだ。ほんとなのだ」
「お、それならもうひとくちいくか?」
「ごめんなのだ。苦いのだ」
「まぁ、だろうな。大人でも飲めないやつはいるし、砂糖入れて牛乳いれるだけでもだいぶ違うぜ?」
「そうなのだ? 試してみるのだ」
「おう、もみじ達は飲まないのか?」
「私も飲んでみたいかも。どんな味なのか気になるし」
「え、もみじ飲むの? 私は遠慮しとく、なんか胃に悪そうな見た目してるし」
「そうかな? あ、おにいさん私にもコーヒーください!」
「あはは、好奇心が勝ったかな。まぁ、苦いけどミルクいれれば何とかなるから」
「ふーふー、それじゃあいただきます」
静人から渡されたコーヒーに息を吹きかけ十分に冷めたころ合いで一口含み慌てたように飲み込む。
「うう、思ったよりも苦かったよう。においはなんか苦そうな感じしなかったのに」
「ほら、もみじちゃん。砂糖とミルク」
「ありがとうお兄さん。これぐらいかな?」
「うん、それぐらいいれたらさっきよりかも飲みやすくなってると思うよ」
「いただきます」
牛乳を入れたことでコーヒーから湯気も出なくなり、ぬるくなったカップの中身を心配そうにのぞき込むもみじだったが、そんなもみじを安心させるように頷く静人を見て思い切って口をつける。一口飲んで少し固まった後目を輝かせてごくごくとカップの中身を飲み干していく。
「あはは、美味しかったかな?」
「うん! さっきとは違って飲みやすくて、甘くて、それで美味しいの!」
「それは良かった。桔梗ちゃんはどうだった?」
「うむ、確かに牛乳をいれたら飲みやすくなったのだ。青藍は飲まんのだ?」
「うーん、それじゃあ一口だけでいい。桔梗のちょうだい」
「うむ」
「うん、うーん、うん。やっぱり私はこれ以上はいいかな。まずいとは思わないけどなんか苦手」
「そうなのだ? それならしょうがないのだ」
「それじゃあ青藍ちゃんは紅茶だね。ミルクはいれるかい?」
「うん、砂糖もほしい。あ、おねえさん達帰ってきた」
青藍に紅茶と砂糖、牛乳を渡していたタイミングでかなで達が大量のお皿と共に帰ってきた。切った後にお皿に乗せてから持ってきたらしく二人とも両手がふさがっている。
「ただいまー、ケーキ切ってきたよー」
「お皿に乗せてるから好きなのとってね」
「うむ、これは悩むのだ。どれが一番大きいのだ」
「どれも同じ大きさに見えるけど、甘くないのどれ?」
「一応買ってきたのは二種類あって、こっちが甘いのでこっちが甘さ控えめの方ですよ」
「教えてくれてありがとう。それじゃあこっちでいい」
お礼を言いながら凪から甘さ控えめのケーキを受け取った青藍は、テーブルに戻って皿を置き紅茶に口をつけていた。
「はーい。もみじちゃんと桔梗ちゃんどっちがいい?」
「私は甘いほうがいい! だからこっち!」
「うーむ、わしも甘いほうがいいのだ」
「それじゃあこっちね、静人さんたちはどうします?」
「僕は甘くないほうで」
「俺も甘くないほうだな」
静人とグラは甘いのが苦手なのか迷わずに甘くないほうのケーキを受け取る。
「かなでさんは甘いほうですよね」
「もちろん! 凪ちゃんはどっちにするの?」
「今日は甘くないほうを食べたい気分なのでこっちです。それじゃあ食べましょう」
「いただきます」
「「「「「いただきます」」」」」
全員が受け取ったところでテーブルで合掌する。グラはみんなで手を合わせてから食べ始めるもみじ達の姿に感心していた。
「おう、ちゃんといただきますしてんのか。偉いな」
「行儀が悪いので店長もしてくださいね」
「お、おう。いただきます」
「はい、良く出来ました。あ、このケーキおいしいですよ」
「お、そうだな。ケーキだけじゃなくて他のも買ってくればよかったな」
「そうですね。ケーキがこれだけ美味しいなら他のも美味しかったかもです」
「あはは、それはまた今度ということで。かなで、今日ももみじちゃん達とお菓子作りはするのかい?」
「もちろん! ここでしかできないものも多いからね。毎日作るわ」
「それじゃあケーキを食べた後は昨日と同じかな?」
「そうね。今日は凪ちゃん達が来たしお昼からは一緒にゲームでもしましょうか」
「お、なにすんだ?」
「これだけ人数がいるし久しぶりにトランプしましょうか」
「おー、また久しぶりにやるな。ババ抜きか?」
「ええ、分かりやすいしもみじちゃん達も知ってるから。覚えてる?」
「うん、だいじょうぶ」
「覚えてるのだ」
「大丈夫!」
「それじゃあケーキ食べた後はお昼まで昨日と同じ感じでお昼食べてからはみんなでゲームしましょう!」
「おー!」
次の予定も決まり凪とグラを含めたメンバーで調べ物に移った。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!
電子書籍は、2026/3/9に発売です!
書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!メロンブックス様より、特典の描き下ろしSSペーパーがあります。詳しくは、メロンブックス様へお願い致します。
イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!
ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。
でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。
今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。
なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。
今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。
絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。
それが、いまのレナの“最強スタイル”。
誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。
そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる