山に登ったら巫女少女と出会ったので遊ぶことにしました

榊空

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 チャイムが鳴り響いたのを聞いた静人とかなでは玄関に向かう。





「遊びに来たぜ!」



「すみませんこんな時間に……。止めれませんでした」



「なんだよ。もう九時は過ぎてるんだからいいだろ?」





 玄関にいたのは元気に挨拶するグラと、申し訳なさそうに頭を下げる凪だった。





「あはは、いらっしゃい。凪さん、グラさん」



「凪ちゃん、グラ。いらっしゃい」



「おう、静人もかなでも元気そうだな。これお土産な」



「おはようございます、かなでさん。あ、お土産の中身はこっちがケーキで、こっちのが洋服です。もちろん洋服はもみじちゃん達の分ですよ?」



「えー、私の分は?」



「ありません。ケーキは人数分ありますからそっちで我慢してください」



「ケーキあるならそれでいいや。あ、玄関で話すのもなんだし上がって上がって」





 紙袋を掲げて説明する凪とグラを家の中に迎え入れる。





「お邪魔します」



「よろしく。あ、桔梗たちはもう起きてるのか?」



「ええ、起きてますよ。というかこっちを見てますね」





 家の中に入りながら訪ねるグラに答えを返しつつ、こちらをうかがいみる桔梗に目を向ける。その言葉で気が付いたのかグラが桔梗のほうに歩み寄る。





「お、桔梗久しぶり」



「うむ、久しぶりなのだ。元気にしておったのだ?」



「おう、桔梗たちのほうは言うまでもなく元気そうだな」



「当たり前なのだ。この体になってから病気とは無縁なのだ。む、お主は凪だったな。久しぶりなのだ」





 桔梗はグラと会話をしつつも凪が目に入ったのか挨拶をする。凪はそんな桔梗に微笑みを返しつつ頭を下げる。





「ふふ、お久しぶりです。元気そうで安心しました」



「うむ、そっちも息災で何よりなのだ」



「ふふ、ありがとうございます。あ、お土産にケーキ買ってきましたから一緒に食べましょうね」



「うむ、一緒に食べるのだ! グラ達も一緒に食べるのだ?」



「もちろん。俺も食べるぜ。あ、こっちのお土産は洋服だ。おっ、今更だけど今日は前見たような巫女服じゃねえんだな」



「うむ、先程お姉ちゃんに着替えさせられたのだ。このフリフリがなんかかわいいのだ」



「お、フリフリしてるのが好きなのか」





 一か所だけついているフリルを見せながら笑顔を見せる桔梗に、嬉しそうな顔でグラが笑う。





「うむ、でも、たくさんついてるのは好きじゃないのだ。こんな感じで一か所だけなのがいいのだ」



「なるほどな。今度そういうの作ってきてやるよ」



「いいのだ? 作ってくれるのは嬉しいのだ」



「おう、たまにはいいだろ。ま、今回はこの服で我慢してくれ。あ、青藍ともみじの分ももちろんあるからな」



「フリフリは嫌」





 いつの間にか近づいていた青藍ともみじに気が付いたグラは紙袋の中身を見せる。青藍はその中から見えたフリルの付いた洋服を見て首を横に振るが、グラは分かっていたのか別の洋服を見せる。





「青藍は動きやすいのがいいんだろ? そういうの作ってきたから安心しろ。もみじはワンピースタイプだからこっちも動きやすいと思うぞ。まぁ、着るのは夏になると思うが」



「わぁ、かわいい! ありがとう! グラお姉ちゃん!」



「いいってことよ。俺らも楽しんでるしな? というかもみじも青藍も今日は洋服違うんだな。俺らが前に送ったやつだ」



「お泊りするなら巫女服じゃなくて、もらったものを着て行くほうがいいってみどりお姉さんに言われたの!」



「なるほどな。ま、そっちの方が確かに嬉しいわな」



「うん。こういうのなら着やすくていい」



「あはは、青藍はどちらかというと俺みたいな考えのやつだな。ま、たまにはもみじとか桔梗とかと洋服交換したりするのも楽しいと思うぜ? 似たような背丈だしよ」



「気が向いたら」



「おう、さてとケーキどうする? 今食べるか?」





 青藍の答えに笑みを浮かべたグラは頭をわしわしと撫でた後静人のほうに向きなおる。





「うーん、朝ご飯はさっき食べたからね。お昼ご飯にはまだ時間あるし、うん。ちょっとしたものならいいかな。お茶の準備してくるからケーキ切り分けるのお願いしてもいいですか?」



「おう、任せとけ。凪がこういうの得意だからな」



「あ、店長がやるんじゃないんですね。まぁ、良いですけど。かなでさんお皿とか包丁とかってどこにあります?」



「あ、こっちよ、ついてきて。もみじちゃん達はここでグラと待っててね。すぐ終わるから」



「はーい」



「分かったのだ」



「おとなしくしてる。パソコン使っていい?」



「うん、いいわよ。それじゃあ凪ちゃん行きましょうか」



「はい」





 しばらくして静人が二つのティーポットをお盆にのせて帰ってきた。またすぐに部屋から出ると今度はカップと砂糖、牛乳を持ってくる。





「よいしょ、紅茶とコーヒーを用意したから好きな方選んでね。ミルクと砂糖は各自で入れてね」



「お、それじゃあコーヒーもらうわ。紅茶よりかもコーヒーのほうが落ち着くし」



「あはは、なんとなくグラさんはそんな気がしてました。好きなときに飲んでいいですからね」



「うむ? あの黒いのは何なのだ? 美味しいのだ?」



「あー、好みが分かれるかな? 桔梗ちゃん達には苦くて美味しくないかな」



「うーむ、ちょっと飲んでみるのだ。砂糖はどれぐらいなのだ?」



「人に寄るからね。少しずつ調整するのがいいと思うよ。あ、そのままで飲む人もいるけどミルクいれる人もいるね」



「こ、このままなのだ? あ、でも確かにグラはそのままで飲んでるのだ。ならわしもそのままで一回飲んでみるのだ」



「熱いから気を付けてね。というかすごく苦いから気を付けてね」



「う、うむ。そこまで言われると怖くなってくるのだ。ひ、一口だけなのだ」





 いつもならそこまで注意することのない静人の態度に、桔梗は早まったかと後悔しながらも湯気の立つコーヒーを息で冷ましつつひとくち口に含む。そして固まった。そんな桔梗を見た静人は少し苦笑気味に訪ねてくる。





「やっぱり苦かったかい?」



「に、にがくないのだ。ほんとなのだ」



「お、それならもうひとくちいくか?」



「ごめんなのだ。苦いのだ」



「まぁ、だろうな。大人でも飲めないやつはいるし、砂糖入れて牛乳いれるだけでもだいぶ違うぜ?」



「そうなのだ? 試してみるのだ」



「おう、もみじ達は飲まないのか?」



「私も飲んでみたいかも。どんな味なのか気になるし」



「え、もみじ飲むの? 私は遠慮しとく、なんか胃に悪そうな見た目してるし」



「そうかな? あ、おにいさん私にもコーヒーください!」



「あはは、好奇心が勝ったかな。まぁ、苦いけどミルクいれれば何とかなるから」



「ふーふー、それじゃあいただきます」





 静人から渡されたコーヒーに息を吹きかけ十分に冷めたころ合いで一口含み慌てたように飲み込む。





「うう、思ったよりも苦かったよう。においはなんか苦そうな感じしなかったのに」



「ほら、もみじちゃん。砂糖とミルク」



「ありがとうお兄さん。これぐらいかな?」



「うん、それぐらいいれたらさっきよりかも飲みやすくなってると思うよ」



「いただきます」





 牛乳を入れたことでコーヒーから湯気も出なくなり、ぬるくなったカップの中身を心配そうにのぞき込むもみじだったが、そんなもみじを安心させるように頷く静人を見て思い切って口をつける。一口飲んで少し固まった後目を輝かせてごくごくとカップの中身を飲み干していく。





「あはは、美味しかったかな?」



「うん! さっきとは違って飲みやすくて、甘くて、それで美味しいの!」



「それは良かった。桔梗ちゃんはどうだった?」



「うむ、確かに牛乳をいれたら飲みやすくなったのだ。青藍は飲まんのだ?」



「うーん、それじゃあ一口だけでいい。桔梗のちょうだい」



「うむ」



「うん、うーん、うん。やっぱり私はこれ以上はいいかな。まずいとは思わないけどなんか苦手」



「そうなのだ? それならしょうがないのだ」



「それじゃあ青藍ちゃんは紅茶だね。ミルクはいれるかい?」



「うん、砂糖もほしい。あ、おねえさん達帰ってきた」





 青藍に紅茶と砂糖、牛乳を渡していたタイミングでかなで達が大量のお皿と共に帰ってきた。切った後にお皿に乗せてから持ってきたらしく二人とも両手がふさがっている。





「ただいまー、ケーキ切ってきたよー」



「お皿に乗せてるから好きなのとってね」



「うむ、これは悩むのだ。どれが一番大きいのだ」



「どれも同じ大きさに見えるけど、甘くないのどれ?」



「一応買ってきたのは二種類あって、こっちが甘いのでこっちが甘さ控えめの方ですよ」



「教えてくれてありがとう。それじゃあこっちでいい」





 お礼を言いながら凪から甘さ控えめのケーキを受け取った青藍は、テーブルに戻って皿を置き紅茶に口をつけていた。





「はーい。もみじちゃんと桔梗ちゃんどっちがいい?」



「私は甘いほうがいい! だからこっち!」



「うーむ、わしも甘いほうがいいのだ」



「それじゃあこっちね、静人さんたちはどうします?」



「僕は甘くないほうで」



「俺も甘くないほうだな」





 静人とグラは甘いのが苦手なのか迷わずに甘くないほうのケーキを受け取る。





「かなでさんは甘いほうですよね」



「もちろん! 凪ちゃんはどっちにするの?」



「今日は甘くないほうを食べたい気分なのでこっちです。それじゃあ食べましょう」



「いただきます」



「「「「「いただきます」」」」」





 全員が受け取ったところでテーブルで合掌する。グラはみんなで手を合わせてから食べ始めるもみじ達の姿に感心していた。





「おう、ちゃんといただきますしてんのか。偉いな」



「行儀が悪いので店長もしてくださいね」



「お、おう。いただきます」



「はい、良く出来ました。あ、このケーキおいしいですよ」



「お、そうだな。ケーキだけじゃなくて他のも買ってくればよかったな」



「そうですね。ケーキがこれだけ美味しいなら他のも美味しかったかもです」



「あはは、それはまた今度ということで。かなで、今日ももみじちゃん達とお菓子作りはするのかい?」



「もちろん! ここでしかできないものも多いからね。毎日作るわ」



「それじゃあケーキを食べた後は昨日と同じかな?」



「そうね。今日は凪ちゃん達が来たしお昼からは一緒にゲームでもしましょうか」



「お、なにすんだ?」



「これだけ人数がいるし久しぶりにトランプしましょうか」



「おー、また久しぶりにやるな。ババ抜きか?」



「ええ、分かりやすいしもみじちゃん達も知ってるから。覚えてる?」



「うん、だいじょうぶ」



「覚えてるのだ」



「大丈夫!」



「それじゃあケーキ食べた後はお昼まで昨日と同じ感じでお昼食べてからはみんなでゲームしましょう!」



「おー!」





 次の予定も決まり凪とグラを含めたメンバーで調べ物に移った。

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