山に登ったら巫女少女と出会ったので遊ぶことにしました

榊空

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 呆れた声を出しつつ後ろを振り向くと、みどりの目の前には笑顔のかなでが立っていた。


「かなでさん。お酒強すぎひん? 結構飲んどったよな?」

「あのくらいならまだまだいけるわ。そんなに飲んでないし。ってその話はいいのよ。今は茜ちゃんの農作業用の服のデザインの話よ」

「いやまぁ、ええけど。茜はどない? かなでさんに任せてもええ?」


 かなでの勢いに諦めた声音で首を横に振ったみどりが茜に問いかける。茜はそんなみどりの問いかけに軽く頷く。


「はい。農作業に適した服なら別に……。フリルとかつけないでくださいね?」

「えー、かわいいのにー。まぁ、農作業用の服だから動きやすいほうがいいか。着やすくて脱ぎやすいほうがいいわよね?」

「まぁ、そうですね。農作業に適した素材とかはみどりさんが考えてくれるでしょうし。とりあえず動きやすい、着やすい、脱ぎやすいが大事ですかね」


 茜はかなでの言葉に頷きつつも、素材のことはみどりに任せた方がいいと提案しつつ、三つ要望を付け足す。そんな茜の要望に更にかなでが早口でまくし立てる。


「あとポケットとかも多めのほうがいいかな。いや、小物入れみたいなのを後でつけれるようにした方がいいかな。取り外しできる方が便利そうだし。胸の所かズボンに手帳とペンが付けれるようなポケットがあれば十分かな。うーん、他に農作業で使いそうなものってありましたっけ?」


 早口でまくしたてられたみどりはキョトンとした顔で考え込む。


「おん? うーん、鎌とか、確かブドウとかを作る人達は、それ専用のはさみみたいなのを持っとるんやっけ?」

「はさみかー。はさみは小物入れのほうがいいよね。ポケットの中に入れてると危なさそうだし」

「せやな。ポケットの中に入れたまま転んだりしたら……」


 みどりが声をわざと低くして語ると、その光景を想像した茜が手をぶんぶんさせてそれ以上の言葉を遮る。


「うわー! やめてくださいよ。想像しちゃったじゃないですか!」

「あはー、まぁそうならんように気を付けてなってことや」

「まったくもう……。まぁ、気を付けますけど。って、かなでさんは何をしてるんですか?」

「え? とりあえず仮のデザインだけでもまとめとこうかなと思って。はいこれ、こんな感じでどう?」


 みどりとのやり取りをしていた茜だったが、ごそごそと何かをしているかなでに気が付いたのかそちらに目を向けて問いかけると、かなでは今まさに描き終えたデザインを渡してくる。


「うわ、もう書き終わったん? どれどれ、おー、ザ・作業服って感じやな」

「うーん、やっぱりそう思うわよね? いっそのことこことかにフリルつけて……、あ、そういえばこれって汚れたりしないって言ってたわよね。それならメイド服に挑戦するのも」


 見せられたデザインを見たみどりは思い描いていた作業服だったからか、感心しつつも少し残念そうな声を出す。そんなみどりの態度にうんうんと頷くかなでも、同じように思っているのかデザインをいじりつつ、ちらちらと茜のほうを期待した眼で見るが茜はきっぱりと断る。


「絶対に嫌ですからね。というか普通にこれでいいじゃないですか」

「でも、かわいくなくない?」

「作業服なのでかわいさは求めてないです……。そういうのを追求するのは私服の時だけです」

「むむ、あ、だったら私服も私にデザインさせて!」

「遠慮しときます。かなでさんに任せたらフリッフリの飾りのついたものになりそうですし」


 かなでは名案を思い付いたと言わんばかりに声を出すが、その提案もまたきっぱりと茜に断られてうなだれる。そのあと最後の望みをかけて声を出す。


「似合うと思うわよ?」

「無理です」

「うぐぅ」


 最後望みをかけて発した言葉すらも速攻で断られて少し涙目で胸を抑える。


「まぁ、私服ぐらいは本人の好きなようにさせてやりぃな。その代わり作業服は任せるさかい」

「ホント!?」


 みどりからの提案に目を輝かせて反応するかなでとは反対に、茜はその提案をしたみどりに対して驚愕のまなざしで見つめる。


「え、ちょ、みどりさん!? フリフリしたのは嫌ですからね!」

「って言っとるんやけど、かなでさんはフリフリを使わないで可愛い感じのは作れへんの?」

「フリフリを使わないで可愛いの? うーん、茜ちゃんに似合うのって考えたら作れなくもないと思うわ! そうね、作業服でのかわいいだから単純に色を変えましょうか。茜ちゃんは好きな色とかある?」


 意外にもまともな質問に少し面食らった様子の茜だったが、少しして答える。


「え、あー、青色かな?」

「それならデニム調のジャケットとか良さそうね。シルエットも綺麗に映るように調整すればいいし、手足の長さとかも合わせればいい感じになるはず。他にも汗染み防止と透け防止加工とかすれば立派な作業服ね! インナーはどうしようかしら」

「ジャケット着るならインナーはそこまで気にせんでもええんやない? 下はどないするん?」


 首を傾げつつの疑問と提案にかなでは少し不満そうに口を尖らせながらも渋々頷く。


「むむ、妥協はしたくないけど。そうね……、元々はつなぎにする予定だったから決めてなかったけど、うーん、動きやすいほうがいいなら少しゆったり目で作ったほうがいいわよね。色は上と合わせたいし、でも、そうなると上がシュッとしてるのに下がもっさりしてるのはなんか……。そうなると、下もデニムで合わせたほうがいいのかしら。茜ちゃんはスタイルいいしそれでも良さそうだけど。でも、そうなると脱ぎやすい、着やすい、動きやすいってならないし。うん、デニムは無しかな。青色ならいっそのこと上もデニムから変えてみようかしら。うふふ、大変ね」

「楽しそうやなぁ。まぁ、とりあえず任せるさかいよろしゅうな?」

「ええ! 任せて!」

「なんか心配なんですけど」


 いきなりの早口で、まくし立てるかなでにみどりはのほほんとした感想を述べるが、一方の茜はそんなかなでが暴走してとんでもないものを作り出しそうだと困った表情で首を横に振る。


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