山に登ったら巫女少女と出会ったので遊ぶことにしました

榊空

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 桔梗たちが眠っているときにかなで達はテーブルで話し合う。


「というわけで桔梗たちが寝とるさかい、今のうちにいろいろと昔話でもしよか」

「おー、それでそれで? どんな話しがあるの?」


 今まで聞けなかったことが聞けると分かったかなでは、顔をぐいぐい近づけてみどりに近づく。そんなかなでに対してみどりはたじたじになる。


「思ったよりも結構ぐいぐい来るなぁ。うーん、それじゃあ、出会った頃の話でもええ?」

「もちろんよ!」


 みどりは嬉しそうに頷くかなでに苦笑する。静人はそんなかなで達の様子を見て眠そうに目をこすりながら話しかけてくる。


「かなで、子供たちは寝てるから静かにね。僕もちょっと眠いから先に寝るね。お休み」

「あ、うん。おやすみなさい」

「おん? 静人さんは聞いていかんのやな」


 ふらふらとして寝室へ向かう静人に首を傾げていると、かなでが胸を張ってから親指を立てる。


「大丈夫、私が後で教えるから。それでそれで? 出会った時ってどんな感じだったの?」

「まぁ、それでええならええか。そやなぁ、桔梗は今でこそ語尾が、『なのだ』で固定されとるけど昔はそうじゃなかったんよ。最初会った時はですます口調やったんよな」

「そうなの? あーでも、それはそれで見てみたかったかも」


 かなでは想像したのか最初首を傾げていたが、途中から悔しそうに唇をかむ。


「それ以外は、というか結構普通の女の子やってん。それに、うちもそうやけど、最初のころは自分の体が前と違うって気づいてなんというか気持ち悪かったんよな」

「前?」

「あー、生きとったころの体とや。今となっては当たり前やけど、かなでさんとうちの体は違うやろ?」


 かなでは獣の姿になる青藍やもみじのことなどを思い浮かべて頷く。


「あ、なるほど。確かにそれは戸惑うかもしれないわ」

「そういうこと。まぁ、しばらく経てば体が馴染んできて、違和感は感じんようになるんやけど。初めて獣の姿になったときは驚いたもんやで」

「あ、そういえばみどりちゃんもなれるのよね。一回も見たことない気がするけど」


 かなでの期待するような目にみどりは首を横に振って否定する。


「そらまぁ、あんまり人前に見せたいと思える体やないからな。正直何でうちがタヌキなのかは納得いかへんけど、まぁ、茜よりはましかな」

「えー、見てみたかったのに。茜さんはイノシシよね? ってなんで笑ってるの?」


 不満そうに唇を尖らせるかなでだったが、ちらりと見たみどりが笑うのを抑えるように口を手で押さえているのを見て首を傾げる。


「あー、いや、茜の獣姿はイノシシやろ? 最初に茜がイノシシになったときにな? うちも一緒にいたんよ。その時の反応を思い出してな?」

「えー? どんな反応だったの気になるわ」


 みどりはそんなかなでを落ち着かせるように手を前に出した後に話し始める。


「いや、まぁ、結構普通の反応やで? なんであたしがイノシシなの!? みたいな感じや」

「うん、結構普通だね。でもなんでそれだけでそんなに笑えるの?」

「いや、そのあとに話を聞いとったらな。茜の一番好きな食べ物がイノシシの肉やってん。自分が一番大好きな食べ物になってしまったって、そのあと相談されたんよ。物凄く真剣な顔でな?」


 その時のことを思い出したのかまた口がニマニマし始めたが、必死に笑わないように抑える。


「えー、というか、やっぱりどういう風に獣姿が決まるとかは分かってない感じなの?」

「あー、いや、だいたい法則は分かっとるよ」

「え? そうなの?」


 笑いが収まってきたのかみどりは軽い調子で語る。


「おん、まぁ、確認出来ひんから確定とは言えんけど、まぁこれで合っとると思う。死んだときに近くにおった獣の姿になるんよ。あ、死んだ獣な。多分ほとんど同じ時間に死ぬことが条件なんやないかな?」

「なる、ほど? うん? それで行くと茜ちゃんがイノシシの姿になったのって」

「おん、自分で調理しようと獲ったイノシシが近くにおったからやと思うで。せやから必然だったんよな。まぁ、自分が食べようと思ってた物になったんやから、取り乱してたのもわかるんやけどな。他のにも聞いたけどだいたい自分で飼っとった犬や猫になっとるな。もみじにも話を聞いたけど似たようなもんやった」


 話しの流れから飼っていた動物になることが分かったのか、かなではもみじが寝てるだろう場所をちらりと見てから話し出す。


「もみじちゃんも狐を飼っていたの?」

「もみじの住んどった村の風習みたいなもんらしいで。なんか、神社から狐を渡されてそれを育ててから神社に戻すみたいな話やったかな?」

「ここら辺では聞いたことないけど、そんな風習があったのね」


 初めて聞く風習だったからか不思議そうなかなでに、みどりも聞いたことがなかったからか同意するように頷く。


「うちも聞いたことないけどな。というか、ここだけの話、うちらの中で一番古くから生きとるのってもみじやと思うんよ」


 いきなりなみどりの発言に一瞬思考が停止したかなでは固まり、驚いた声を出しつつ目を見開く。


「ふぇ、そうなの!? 桔梗ちゃんとかみどりちゃんじゃなくて?」

「いやまぁ、うちらも百年単位で生きとるけど、もみじは数百年単位な気がするんよな。まぁ、あれだけ幼い言動なのは単純に人とのかかわり合いが少なかったからやと思うし」

「なる、ほど? まぁ、一番お姉さんだとしても私からすれば子供のようなものだし。別にいっか」


 納得したのか思考を放棄したのか、まぁいいかとかなでは頷く。


「せやな、それに確証があるわけやないしな。せやな、なんか他に何か聞きたいことある? 自分からいろいろと話すよりも聞いてもらったほうが楽そうやし」

「え? うーん……。それじゃあね。前から気になってたんだけどなんで商人になろうと思ったの?」


 かなでは提案に少し考えると、気になっていたことを聞くことにした。


「おん? まさかうちのこと聞かれるとは思わんかったわ。せやなぁ、まぁ言うて、そこまで深い意味があるとかそういう訳やないんやけどな。うーん……、あ、単純に面白そうやと思ったからやろか」

「面白そう?」

「せや、何に対して面白そうと思ったか、とかは忘れたけどな。なんか面白そうに感じたんよな」


 さすがに何年も前の話で思い出せないのか、むむむと額にしわを寄せて考え込むが思い出せなかったからか諦めたように口を開く。そんなみどりの言葉にかなでは残念そうに肩を落とす。


「えー? 思い出せないの?」

「そんな顔されたってなぁ。思い出せへんもん。しゃあないやん。まぁ、そんな感じや。他にないん?」

「むー、他かー。それじゃあ、タヌキの姿を見せて!」

「うぇー? またうちのことなん? まぁ、さっきのは期待外れだったし今回のは出来ることやし別ええけど。そんなに期待してもただのタヌキやで?」

「それでもいいわ! もふらせて!」

「うー、うーん。まぁええか。それじゃあちょい待っといてな」


 そう言うみどりは諦めた顔で椅子から立ちあがり煙に身を包む。しばらくして煙が晴れると、そこには丸々とした毛が緑色のふわふわと見ただけで分かるタヌキの姿があった。


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