高嶺の花も恋をしたい!

吉岡ミホ

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初めての夜④

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「……クッ……悪い、ちょっと余裕なくなってきた」
「え……」
「動くぞ。また痛いかもしれない。肩、掴んでいろ」
「ん、あ、ああっ、あ、やぁっっ……」

 ナカを擦られているのに、最初の痛さはなくなってきて、ただただ高野の存在を感じる。

「あ、あぁ……ハァ……」
「……痛いか?」
「んん……やめちゃダメ……」
「……クソッ」

 抽送がどんどん激しくなっていく。

「……太一くんっ」
「……クッ……花緒……この償いは必ずするから」
「え? ……ん、ああっ」
「……出すぞ」

 私のナカで彼がグッと大きくなったと思った瞬間、高野が自身を引き抜き、私のお腹の上に精を吐き出した。

「……頑張ったな」

 高野がそう言っておでこにキスしてくれたところまでは覚えている。でも、私の記憶はそこでプツリと途絶えてしまった。


 ◇ ◇ ◇


 花緒は俺が達した後、気を失うかのように眠ってしまった。無理もない。深酒した上に初体験なんて、体に負担がかかりすぎだ。
 俺は濡れたタオルで花緒の体を清めながら、すやすや眠る花緒の整った顔を見つめた。
 
「なんで言わなかったんだよ……」

 女性にとって初めては大切なものなんじゃないのか?
 出会って間もない同期と、やけ酒を飲んでしてしまうようなことじゃないはずだ。
 いや、やけ酒だとわかっているのに手を出した俺も悪いか。

 あの時、ベッドの上でなぜか俺に覆いかぶさってきた花緒に思わず反応してしまった。柔らかくて、ほのかに女性らしいシャンプーの匂いがして、魔が差したんだ。
 まさか花緒から誘ってくるとは思わなくて、そのまま――

 気づいたときに引き返すことはできた。でもあんなに可愛く引き留められると、流されるだろう?

 ……いや、どれも言い訳だ。結局俺は最初から花緒に惹かれていたのだから。

「……ハァ」

 起きたらちゃんと話し合わないとな。


 ◇ ◇ ◇


 目覚めると、再び高野の腕の中にいた。
 そうだ……昨日は私……どうしよう――!
 やってしまった……。
 明らかに自分から誘った記憶があり、サーっと血の気が引く。
 やけ酒に付き合ってもらって、さらには「する?」なんて誘ってしまった。
 うわーっ! 昨日の私はどうかしていたよ。
 しかも、さも慣れた風に誘ったにもかかわらず初心者だったなんて、きっと呆れたに違いない。

 ぐっすり寝ている高野の腕から抜け出し、そっとベッドから降りた。
 今回は壁側に寝ていなかったことにホッとする。
 

「いたっ……」

 体中あちこちが痛い。経験したことのない場所が筋肉痛だ。
 それに、下腹部にはまだ何かが入っているような違和感がある。
 何かって……思い出すと顔が熱くなる。

 ベッドで眠っている男性はお風呂にも入らず寝たのにその端正な顔立ちは損なわれず、とっても爽やかに見える。
 さすが同期一のエリート。能力も容姿も、たぶんあっちの能力までもピカイチなんだろう。
 体中痛いのに、彼のおかげで心はとても満たされていたから。
 といっても、初心者の私には判断のしようがないのだけれど。

 でも昨日の夜を思い出すと、彼のその能力に私は確実に癒されたのだ。そしてどうしようもない現実を受け入れようとしている。

『社会人として一人前になるまで恋愛なんて考えられない。当分の間誰とも付き合う気はない』――あの時、暗い非常階段でそう言ってたっけ……。

 わかっている。彼が恋愛を望んでいないことも、女性との関係を望んでいないことも知っていた。だから昨日のことは彼が望んだことではないのだ。
 そう思うと、申し訳ないことをしたと思う。
 
「ん……」

 高野が寝返りを打つ。
 わ、まずい。ここでのんびりしている場合じゃなかった。起きられると気まずい。

 私は床に散らばっている服をかき集め素早く身に着けると、手帳からメモを一枚取り出し、高野のマンションを後にした。
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