高嶺の花も恋をしたい!

吉岡ミホ

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観賞用①

 その日は終業後に専門学校へ行っても、高野のことで頭がいっぱいだった。

 どうして連絡しろなどと言ったのだろう。この前のこと、釘でも刺されるのかしら。あれがあの日限りだってことは百も承知なんだけど。高野が誰とも付き合う気がないことはすでに聞いているし。

 でも連絡しろと言われたので、授業が終わったあと名刺に書かれた携帯番号にショートメッセージを送ってみることにした。
 すると、5秒もしないうちに返信が。

『もう着くから学校の前で待ってろ』

 高野のマンションが専門学校からそれほど離れていないことは知っている。あの日歩いて帰ったときに、ここの前を通ったからだ。
 だから高野が2分も経たずに専門学校の前に現れたのはわかる。

 でも、この専門学校に通っていることをどうして知っているのだろう? 飲みに行った日に私が学校名を漏らしたのだろうか。あまり覚えていないけど。

「晩飯、まだだろう? 食べに行くぞ」

 返事をする間もなく、向かいのビルに入っているファミレスに連れて行かれた。

「ここ、専門学校時代の俺の行きつけなんだ」
「え?」
「この前言っただろう? 家近いし、大学院の時ここの専門学校に通ってたって。だから帰りはいつもここで食べて帰ってた」

 やっぱりそんな話をしていたのか。あの日は途中から記憶が曖昧なところがあり、この調子だと他にも記憶が飛んでいるところがありそうで不安だ。

 そう思っていると、注文を終えた高野が専門学校の話を始めた。

「金髪メガネの奥田先生はああ見えて愛妻家で、アフロの木村先生は脱いだらすごいんだ。ボディービルダーの大会に出ているって言ってたな」
「……! 同じ先生に教えてもらっていたのね。奥田先生、今はピンク髪になってるの」

 さっきまで教えてもらっていた講師の名前を挙げられると、本当に同じ専門学校だったんだと実感した。だから授業が終わる時間も知っていたのかと今さらながらに納得だ。

 私たちは一通り専門学校の話で盛り上がり、この前のことなどなかったかのように話をした。

 ところが、食べ終わってドリンクバーにおかわりのコーヒーを取りにいった後、高野が真顔で切り出した。

「……俺たち、話し合うことがあるよな?」
「え」
「あの日、どうして初めてだって言わなかったんだ? あんな……挑発するような言い方……」
「そ、それは……」


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