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セフレと同居!?③
高野が私のアパートを見て驚いている。
さっきまでいた高野のおじい様のマンションと比べているのだろうか。
そりゃあんな立派なマンションとは比べものにならないけど、ここだって住めば都なのよ?
「ここ、築何年だ?」
「たしか……40年ちょっと? 50年は経っていないと思う」
「昭和……? ハッ! アスベストは⁉ これ軽量鉄骨だろう?」
「使われてない。さすがにそこは確認済みだよ。安いし、私の部屋は二階だし、これでも学生に人気の物件なのよ?」
住居部分のリフォームは10年ごとにしているらしく、レトロな外観とは違って、中は結構キレイなのだ。
それに学生中心ではあるけど、家賃が破格なだけに院生やオーバードクターの人も残っていて、年齢層が高めなところも気に入っている。
「……いくらなんだよ、家賃」
「共益費込みで二万五千円。バストイレ別の1K。洗濯機は外にしか置けないけど、特に不自由はないし」
個人的には最高の物件だと思って住んでいる。
しかし高野は眉間にしわを寄せたままアパートを見つめていた。
車を降り、高野に送ってくれた礼を言おうとしたところで「高嶺さん?」と声をかけられた。
「あ、大家さんこんにちは」
「ちょうど良かったわー。今から二階の皆さんを訪ねようとしていたところなのよ」
「はい、どうかされましたか?」
「それがね、申し訳ないんだけど、このアパートたたもうと思っているのよ」
「ええっ!」
たたむって、アパート辞めちゃうの?
「私も主人も、もう歳でしょう? どっちが先に天に召されてもおかしくないし、今のうちに相続のことも考えて身軽になっておこうと思ってね。今風に言うと終活ってやつね」
大家さんご夫妻は、今年確か傘寿だって言ってたな。お孫さんが5人いて、そのうちの一人は私と同じO大生だと聞いていた。
つまり私の祖父母と同年代ということか。
数年前に祖父が他界したときのことを思うと、大家さんの話はまっとうな考え方だと思う。
でも、住人にとっては死活問題だ。新たにこんなに安い物件を探すなんて至難の業!
えー、どうしよう……。
「11月までには引っ越しをお願いしたいの。こちらの都合だから、敷金と礼金は全額お返しするわ」
「はあ……」
「ごめんなさいね。退去日が決まったら先払いの家賃を日割り清算するから、いつでも連絡ちょうだいな」
そう言って、大家さんは二階への階段を上がっていった。今から同じ内容を在宅中の二階住民に伝えるのだろう。
でもその足取りは八十歳だけあって、一段一段上がるのが大変そうだった。
こんな風に間近で見てしまうと、納得せざるを得ない。
しかし困ったな……。
「ちょうど良かったじゃないか。やっぱりうちに引っ越してこい」
「太一くん……!」
そうだ、太一くんに全て聞かれていたんだった。
さっきまでいた高野のおじい様のマンションと比べているのだろうか。
そりゃあんな立派なマンションとは比べものにならないけど、ここだって住めば都なのよ?
「ここ、築何年だ?」
「たしか……40年ちょっと? 50年は経っていないと思う」
「昭和……? ハッ! アスベストは⁉ これ軽量鉄骨だろう?」
「使われてない。さすがにそこは確認済みだよ。安いし、私の部屋は二階だし、これでも学生に人気の物件なのよ?」
住居部分のリフォームは10年ごとにしているらしく、レトロな外観とは違って、中は結構キレイなのだ。
それに学生中心ではあるけど、家賃が破格なだけに院生やオーバードクターの人も残っていて、年齢層が高めなところも気に入っている。
「……いくらなんだよ、家賃」
「共益費込みで二万五千円。バストイレ別の1K。洗濯機は外にしか置けないけど、特に不自由はないし」
個人的には最高の物件だと思って住んでいる。
しかし高野は眉間にしわを寄せたままアパートを見つめていた。
車を降り、高野に送ってくれた礼を言おうとしたところで「高嶺さん?」と声をかけられた。
「あ、大家さんこんにちは」
「ちょうど良かったわー。今から二階の皆さんを訪ねようとしていたところなのよ」
「はい、どうかされましたか?」
「それがね、申し訳ないんだけど、このアパートたたもうと思っているのよ」
「ええっ!」
たたむって、アパート辞めちゃうの?
「私も主人も、もう歳でしょう? どっちが先に天に召されてもおかしくないし、今のうちに相続のことも考えて身軽になっておこうと思ってね。今風に言うと終活ってやつね」
大家さんご夫妻は、今年確か傘寿だって言ってたな。お孫さんが5人いて、そのうちの一人は私と同じO大生だと聞いていた。
つまり私の祖父母と同年代ということか。
数年前に祖父が他界したときのことを思うと、大家さんの話はまっとうな考え方だと思う。
でも、住人にとっては死活問題だ。新たにこんなに安い物件を探すなんて至難の業!
えー、どうしよう……。
「11月までには引っ越しをお願いしたいの。こちらの都合だから、敷金と礼金は全額お返しするわ」
「はあ……」
「ごめんなさいね。退去日が決まったら先払いの家賃を日割り清算するから、いつでも連絡ちょうだいな」
そう言って、大家さんは二階への階段を上がっていった。今から同じ内容を在宅中の二階住民に伝えるのだろう。
でもその足取りは八十歳だけあって、一段一段上がるのが大変そうだった。
こんな風に間近で見てしまうと、納得せざるを得ない。
しかし困ったな……。
「ちょうど良かったじゃないか。やっぱりうちに引っ越してこい」
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そうだ、太一くんに全て聞かれていたんだった。
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