能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。

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三章

第56話 最後の悪足掻きですか?

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 大型破壊兵器『ヴァレンシア』が見るも無残な姿となった。

 胴体はバラバラに飛び散って、周辺の平原のあちらこちらに破片が転がっている。

 僕は自分が起こした爆風に飛ばされていた。


 ……

 …………

 何だか、柔らかい枕が凄く気持ち良い。

 柔らかい感触と共に、ふんわりと甘い匂いもしてて気持ち――――

 バン!

「痛っ~い!! あれ? アイリス??」

 起きると目の前に顔を真っ赤にして怒っているアイリスがいた。

「変態!」

「えっ!? あれ……?」

 どうやらアイリスの膝枕だったようで、僕がベタベタ触っていた事にお怒りみたい。


「あれ? そう言えば、丸いモノ達は大丈夫だった?」

「うん、私とグレンくんで全滅させたわよ」

「ぜ、全滅……」

「大した事はなかったわ。途中で物凄い爆音がして、動かなくなったからグレンくんにトドメをお願いして、私がこちらに急いで来たら、爆風に飛ばされるアレクを見つけたから助けたわよ?」

「あ、あはは……自分で起こした爆風に飛ばされてしまったか……」

「ま、全くアレクったら、私がいないと何も出来ないんだから!」

 ドヤ顔するアイリスがまた可愛らしい。

 それはそうと、ヘルドさんは無事なのだろうか?

 そんな事を思っていた時、平原の破片の間から爆発が起き、その中からボロボロになっている守護神が出て来た。

「ええええ!? 守護神!? ヘルドさんは――――あ」

 ボロボロの守護神が現れた後方から、物凄い威圧感を放ちながら不敵な笑みのヘルドさんが現れた。

 ヘルドさんも同じくボロボロなんだけどね。

 頭から血も流れているし、あのヘルドさんをあんなに追い詰めるなんて……守護神って物凄く強いんだね。


「おいおい石人形ふぜいが! 俺様との戦いの最中に逃げ出すとは、いい度胸だな!」

 守護神が何処かを目指してひたすら進んでいるのを、後ろからヘルドさんがボコボコにしている。

 ヘルドさん……弱い者虐めてるみたいですよ?

「私も手伝うわ! スキル! 魔女ノ鎖!」

 衣装がいつの間にか黒いドレスになっているアイリスの背中から、真っ黒い鎖が十本、守護神をぐるぐる巻きにした。

「よくやった! トドメは俺様が刺してやろう!」

 ヘルドさんは、剣を両手に握り態勢を低くした。

 ――――そして。


「奥義! 天地崩壊!」


 ヘルドさんから赤と青の二つの色の光が溢れ出し、構えている剣に渦巻いた。

 そして、守護神に向かって、剣を突き出す。


 赤青の光が一つの塊となり、守護神を狙い放たれた。

 放たれた光は回転しながら、大地を割るような音と共に守護神を襲う。

 ――――――――。

 逃げる守護神から見た事もないような爆発と共に、周辺に大きな爪痕を残した。



 ◇



 守護神の消滅を確認して、僕は倒れているヘルドさんを抱えた。

「ねえ、アレク」

「うん?」

「その……さ」

 言いにくそうにしているアイリス。

「その人……今ならトドメを刺せるんじゃないかな?」

「あ……確かにそうかもね」

 僕が背中に負ぶっているヘルドさんは、大技を使った後、死んだように眠っている。

 頬っぺたとか、つんつんしてみたけど起きなかった。

 大技の所為なのか、守護神との戦いの疲労なのかは分からない。

 それでも、あんなに強い人が、今は静かに眠っている。

 確かにアイリスに言われた通り、今ならトドメを刺せるかも知れない。


「でもさ、最初は敵だと思っていたけど、今は良き隣人じゃん? こうして戦争に借り出されてはいるけど、おかげで安全に商売も出来るし、色んな人に便宜も図ってくれてるから……僕は嫌いにはなれないかな」


 僕の言葉に満面の笑みを浮かべたアイリスが、「アレクは相変わらず優しいね」と言いながら僕の腕に絡んできた。

 ヘルドさんを負ぶっているから拒否出来ないけど、悪い気が全くしないというか、アイリスの甘い匂いが戦い終わりの僕の心に幸せを与えてくれた。




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