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湯原達と同時に召喚されたダンジョンマスターである四宮達はこの詳細説明すら見ておらず、欲望にまみれた歴代のダンジョンマスターも同じだ。
今まで平和な日本にいたのに突然命の危険がある究極の状態に追い込まれれば、生存本能からそうなってしまうのも仕方がないのかもしれない。
実際問題、それほど余裕がある環境に無かったと言う事だ。
召喚を終えてしまった場合、マスターの立場であれば各眷属の能力を知る事が出来るのだが、豊富な知識を活用できているマスターは現時点では存在しなかった。
その原因は、召喚直後の扱いにある。
恐怖からか、眷属を召喚して身の安全が確保できると言う安堵からか、全てのマスターが召喚直後に欲望の捌け口にしている<淫魔族>。
この時点で、信頼関係と言うものは皆無に等しくなっている。
裏切る事もしなければ、主の命令には絶対服従の部分は変わらないが、自ら積極的に知識を披露すると言う事は無くなっているのだ。
例えば……
今回湯原と水野が跡地を利用した混沌の時代のダンジョン。
これは隣接して作られた相思相愛の人物が作成したダンジョンであるのだが、崩壊前にはコアルームを直接つなげるような事はしていなかった。
当然これには理由がある。
他のマスターとは異なり本来の活用方法である“豊富な知識”を得るために<淫魔族>を一体ずつ召喚したダンジョンマスター二人は、当然の流れとして初期の段階で互いのコアルームを接続しようとした。
その際に、<淫魔族>がその知識を自ら披露してくれたのだ。
曰く、片方のダンジョンが万が一にも攻略された際に、敵がいないダンジョンを通過して他方のダンジョンのコアルームを急襲できてしまう事。
互いが即会える環境は、ダンジョンのレベルアップによって転移陣を作成できる事……だ。
召喚直後に欲望にまみれた扱いをしていなければ、積極的に主の為に知識を披露する<淫魔族>だが、そうでなければ、本当に聞かれた事だけに答える存在になる。
その為に、本来<淫魔族>を眷属として召喚したダンジョンマスターが得られるはずの利益を十分に得る事が出来ていないのだ。
そこまでは知らない湯原と水野だが、今は気分転換も兼ねてダンジョンのすぐ外で体を解しつつも、真剣に会話をしている。
猫獣人の二人は、ギリギリ二人が見えるダンジョンの中から、二人の安全を確保している。
実は、この二人の存在が侵入者と認識されてダンジョンレベルの上昇に寄与している事がこの一月の間でわかったのだ。
そもそもコアルームからあまり出たがらないイーシャとプリマの二人だが、主である湯原と水野を守る為に共に行動する事を最優先にしており、その中でもなるべくダンジョンの糧になれる様にしている。
一方でダンジョンマスターである湯原と水野は侵入者にカウントされなかったのだが、推測にはなるが、ダンジョン生成時に同じ空間にいた事が仲間と判定されてしまったのかもしれない。
この情報や、眷属がレベルアップした際の能力についても<淫魔族>がいれば正確な情報を与えてくれていた事だろう。
眷属召喚について調べている時に召喚時期をずらす事も試してみたのだが、<三傑>を選択した場合には、一気に三体選択しなければメニューを終了する事が出来なかった経緯があるので、結局湯原と水野は<淫魔族>の召喚を諦めた。
「いよいよ召喚だ。油断はできないけど、これでグッと安全性が高まるはず」
「そうですね。でも、どれにしますか?眷属のレベルアップの能力は想像になりますけれど、その部分を含んで考えないと、数に限りがありますからね」
互いが互いを補完するような選択をする予定だが、湯原としては仮に自分が水野を残して死亡してしまった場合に、残された水野の戦力激減を防ぐ方向で選択したかったのだ。
当然水野も同じ気持ちなのだが口には出さず、結局悩みに悩んだ結果、こうなった。
<湯原>のダンジョン レベル3 内包魔力70 <保有レベル6>
眷属:<魔人族><蜂族><スライムB>
<水野>のダンジョン レベル3 内包魔力70 <保有レベル6>
眷属:<属性族><スライムA><鎖族>
全く同じ状態で一月過ごしたので、レベルを始めとして全て同じ状態になっているのだが、ここで漸く眷属の種類に差が出た。
人型の眷属は二人共に一体であり、結局<三傑>のみで選択できる眷属の中で選択されなかったのは<狼族>と言う結果になった。
既に二人の頭の中には、一度経験している“本日中”と言うメッセージが出て時間のカウントに移っているので、眷属を各自召喚する事にした。
初期のレベルは、全眷属を10と均等にして、更に持っている保有レベルも全て消化して全眷属のレベルは12になっている。
こうして、ダンジョンマスターとして必要な最低限の戦力を手に入れた二人は、眷属をイーシャとプリマの二人に紹介するために、一旦全員ダンジョンの外に出て集合する。
「お、カーリも上手く行ったみたいだな」
「はい。セーギ君も、問題なく召喚できたみたいですね」
今まで平和な日本にいたのに突然命の危険がある究極の状態に追い込まれれば、生存本能からそうなってしまうのも仕方がないのかもしれない。
実際問題、それほど余裕がある環境に無かったと言う事だ。
召喚を終えてしまった場合、マスターの立場であれば各眷属の能力を知る事が出来るのだが、豊富な知識を活用できているマスターは現時点では存在しなかった。
その原因は、召喚直後の扱いにある。
恐怖からか、眷属を召喚して身の安全が確保できると言う安堵からか、全てのマスターが召喚直後に欲望の捌け口にしている<淫魔族>。
この時点で、信頼関係と言うものは皆無に等しくなっている。
裏切る事もしなければ、主の命令には絶対服従の部分は変わらないが、自ら積極的に知識を披露すると言う事は無くなっているのだ。
例えば……
今回湯原と水野が跡地を利用した混沌の時代のダンジョン。
これは隣接して作られた相思相愛の人物が作成したダンジョンであるのだが、崩壊前にはコアルームを直接つなげるような事はしていなかった。
当然これには理由がある。
他のマスターとは異なり本来の活用方法である“豊富な知識”を得るために<淫魔族>を一体ずつ召喚したダンジョンマスター二人は、当然の流れとして初期の段階で互いのコアルームを接続しようとした。
その際に、<淫魔族>がその知識を自ら披露してくれたのだ。
曰く、片方のダンジョンが万が一にも攻略された際に、敵がいないダンジョンを通過して他方のダンジョンのコアルームを急襲できてしまう事。
互いが即会える環境は、ダンジョンのレベルアップによって転移陣を作成できる事……だ。
召喚直後に欲望にまみれた扱いをしていなければ、積極的に主の為に知識を披露する<淫魔族>だが、そうでなければ、本当に聞かれた事だけに答える存在になる。
その為に、本来<淫魔族>を眷属として召喚したダンジョンマスターが得られるはずの利益を十分に得る事が出来ていないのだ。
そこまでは知らない湯原と水野だが、今は気分転換も兼ねてダンジョンのすぐ外で体を解しつつも、真剣に会話をしている。
猫獣人の二人は、ギリギリ二人が見えるダンジョンの中から、二人の安全を確保している。
実は、この二人の存在が侵入者と認識されてダンジョンレベルの上昇に寄与している事がこの一月の間でわかったのだ。
そもそもコアルームからあまり出たがらないイーシャとプリマの二人だが、主である湯原と水野を守る為に共に行動する事を最優先にしており、その中でもなるべくダンジョンの糧になれる様にしている。
一方でダンジョンマスターである湯原と水野は侵入者にカウントされなかったのだが、推測にはなるが、ダンジョン生成時に同じ空間にいた事が仲間と判定されてしまったのかもしれない。
この情報や、眷属がレベルアップした際の能力についても<淫魔族>がいれば正確な情報を与えてくれていた事だろう。
眷属召喚について調べている時に召喚時期をずらす事も試してみたのだが、<三傑>を選択した場合には、一気に三体選択しなければメニューを終了する事が出来なかった経緯があるので、結局湯原と水野は<淫魔族>の召喚を諦めた。
「いよいよ召喚だ。油断はできないけど、これでグッと安全性が高まるはず」
「そうですね。でも、どれにしますか?眷属のレベルアップの能力は想像になりますけれど、その部分を含んで考えないと、数に限りがありますからね」
互いが互いを補完するような選択をする予定だが、湯原としては仮に自分が水野を残して死亡してしまった場合に、残された水野の戦力激減を防ぐ方向で選択したかったのだ。
当然水野も同じ気持ちなのだが口には出さず、結局悩みに悩んだ結果、こうなった。
<湯原>のダンジョン レベル3 内包魔力70 <保有レベル6>
眷属:<魔人族><蜂族><スライムB>
<水野>のダンジョン レベル3 内包魔力70 <保有レベル6>
眷属:<属性族><スライムA><鎖族>
全く同じ状態で一月過ごしたので、レベルを始めとして全て同じ状態になっているのだが、ここで漸く眷属の種類に差が出た。
人型の眷属は二人共に一体であり、結局<三傑>のみで選択できる眷属の中で選択されなかったのは<狼族>と言う結果になった。
既に二人の頭の中には、一度経験している“本日中”と言うメッセージが出て時間のカウントに移っているので、眷属を各自召喚する事にした。
初期のレベルは、全眷属を10と均等にして、更に持っている保有レベルも全て消化して全眷属のレベルは12になっている。
こうして、ダンジョンマスターとして必要な最低限の戦力を手に入れた二人は、眷属をイーシャとプリマの二人に紹介するために、一旦全員ダンジョンの外に出て集合する。
「お、カーリも上手く行ったみたいだな」
「はい。セーギ君も、問題なく召喚できたみたいですね」
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