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絶対に守りたい主の為になるので、安易な事は口にする事はできないミズイチとハライチ。
その思いを正確にくみ取ってくれた湯原が、少々怯えている水野の横に移動して肩を抱きながら続きを促す。
同時にさりげなくビーが、巣からありとあらゆる物を回復させる飲み物を持ってきて水野に渡し、嬉しそうに受け取った水野はゆっくりと口にして気持ちを落ち着ける。
「確証がない状態で安全だと言われるより、事実を伝えてくれた方が俺達としても助かるよ。言いにくいのに悪いね、ミズイチ。続きを頼むよ」
「もったいないお言葉です。続けますが、そのマスターが私達に牙を向けるかと言うと、そこは今の所不明と言わざるを得ません。どのマスターがどのマスターを狙ったのか、何のために狙ったのか、一切不明だからです。ですが、やはり今まで以上に警戒する必要はあるでしょう」
少々重い話になってしまったが、この世界とはそう言う者なのだと改めて認識した二人のダンジョンマスターである湯原と水野。
「今は、四階層を大幅に拡張した状態。今後はどうする?」
「今の不確定要素を考慮しておりませんでしたので……ここに書かれている案は使用できません。もう少々お時間を頂けますか?」
いつの間にか作成されていたダンジョン構想案を指しながら、少々苦い顔をしているハライチ。
明るい未来を思い描いて作成した案が使えなかった事が悲しいのか、甘えがあった事が悔しいのかは不明だが、再度相当格上のダンジョンマスターに対抗できる事を練り込んだ案を作成すると宣言した。
実は彼女達、ダンジョンを合成できる能力を将来的に持てる事を知っており、湯原と水野のダンジョンを合成してしまえば防御も一か所で済む事から非常に楽になるのだが、それが出来るのはレベル90を超えなくてはならず、その力を得ている時点で敵なしになっているはずだと、頭を振る。
実際に今のレベル40近辺で、最悪は一月経過せずにダンジョン生成を実行した際の上限レベル限界のレベル60のダンジョンを持つマスターとその眷属・魔物を相手にしなければならないのだ。
食後に二人で必死に案を考えているハライチとミズイチ、そして共にその場にいる湯原と水野だ。
<淫魔族>の二人は自分達の主を守る為、それこそ耳から煙が出そうなほどに必死で頭を働かせているが、湯原と水野は大した知識が無いので、少々申し訳なさそうに二人の姿を黙って見守っている。
「外部の情報収集とレベルアップを同時並行で行うのは定石ですね」
「階層だけは広大ですが、敵の眷属の種類によっては最短距離で通過されてしまうでしょう。再び内包魔力を集めて頂いた後、どう改装するのが良いのか……敵の情報が見えないのが痛いですね」
目下の所は高レベルのダンジョンマスターが最大の脅威であると想定して動くので、自分達の有りえない程幸せな環境に浮かれて夢見がちに作ってしまったダンジョンの構想案を切り捨てる。
魔物の収集に当たっていた眷属達の話を聞いた結果、どうやらこのダンジョンの最大の糧になったのは、ハライチ達と同族の<隠魔族>であるサキュバスらしいと言う所までは突き止めていた。
恐らく力が激減する昼間に仕掛けられたか、同性の眷属を差し向けられたかなのだろうが、その敵の姿が分からずに、苦悩する。
「今の所、冒険者側はそう脅威ではなさそうに思えますが、そこも油断はしてはなりませんし、難しい所です」
二人が悩んでいる最中も、眷属達は自らよりも格上が潜んでいると言う事を肝に銘じつつ魔物を捕縛しに向かっている。
同じくイーシャとプリマもそれぞれのコアルームの扉の前に陣取り、只々広い地平線が見える空間を油断なく見回している。
取り敢えずダンジョン入り口にも眷属の分裂個体がいるので、そこまでしなくても……と言う湯原と水野の言葉は一蹴されている。
各自がそれぞれ出来る事を行っている間、ハライチとミズイチの会話も止まらない。
「魔物を捕縛、吸収するのも良いですが、やはり同じ立場である以上、制約はありますね。理想は対極、冒険者の侵入者が継続していると、相手のレベルに係わらずダンジョンの糧になるのですが……」
同じ立ち位置、ダンジョンマスター側の者であれば、レベルが上の者でなければそうそうレベルアップは望めない。
内包魔力については魔物の種類やレベルによって得られる魔力量に大きな違いは出て来るが、得られないと言う事はないので必要な作業だが、やはり対極の存在がいてくれるだけで効率よくレベルアップ、内包魔力共に上昇するのだ。
「ここは吸収率が非常に高いですから、何はともあれ内包魔力を集める事が先決ですが、万能型の魔物を召喚するのが良いのではないでしょうか?それも、足止め型であれば尚良いかと」
「成程。その間に有効な対策を練って実行する……となると、対策を即座に行う為に高位の鑑定を行える必要がありますが?」
話が途切れないのだが、湯原は気になった言葉あったので割り込ませてもらう事にした。
「話し中に申し訳ない。その、吸収率って何のことかな?」
そう、あっさりと流してしまいそうになるが、不穏なワードが隠れていたのだ。
「はい、主様。眷属、つまりはダンジョンそのものとの繋がりが良い状態である程、ダンジョンの性能が良くなるのです。その性能が良ければ、魔物や魔力の吸収も良くなるのはこの世界の理です」
その思いを正確にくみ取ってくれた湯原が、少々怯えている水野の横に移動して肩を抱きながら続きを促す。
同時にさりげなくビーが、巣からありとあらゆる物を回復させる飲み物を持ってきて水野に渡し、嬉しそうに受け取った水野はゆっくりと口にして気持ちを落ち着ける。
「確証がない状態で安全だと言われるより、事実を伝えてくれた方が俺達としても助かるよ。言いにくいのに悪いね、ミズイチ。続きを頼むよ」
「もったいないお言葉です。続けますが、そのマスターが私達に牙を向けるかと言うと、そこは今の所不明と言わざるを得ません。どのマスターがどのマスターを狙ったのか、何のために狙ったのか、一切不明だからです。ですが、やはり今まで以上に警戒する必要はあるでしょう」
少々重い話になってしまったが、この世界とはそう言う者なのだと改めて認識した二人のダンジョンマスターである湯原と水野。
「今は、四階層を大幅に拡張した状態。今後はどうする?」
「今の不確定要素を考慮しておりませんでしたので……ここに書かれている案は使用できません。もう少々お時間を頂けますか?」
いつの間にか作成されていたダンジョン構想案を指しながら、少々苦い顔をしているハライチ。
明るい未来を思い描いて作成した案が使えなかった事が悲しいのか、甘えがあった事が悔しいのかは不明だが、再度相当格上のダンジョンマスターに対抗できる事を練り込んだ案を作成すると宣言した。
実は彼女達、ダンジョンを合成できる能力を将来的に持てる事を知っており、湯原と水野のダンジョンを合成してしまえば防御も一か所で済む事から非常に楽になるのだが、それが出来るのはレベル90を超えなくてはならず、その力を得ている時点で敵なしになっているはずだと、頭を振る。
実際に今のレベル40近辺で、最悪は一月経過せずにダンジョン生成を実行した際の上限レベル限界のレベル60のダンジョンを持つマスターとその眷属・魔物を相手にしなければならないのだ。
食後に二人で必死に案を考えているハライチとミズイチ、そして共にその場にいる湯原と水野だ。
<淫魔族>の二人は自分達の主を守る為、それこそ耳から煙が出そうなほどに必死で頭を働かせているが、湯原と水野は大した知識が無いので、少々申し訳なさそうに二人の姿を黙って見守っている。
「外部の情報収集とレベルアップを同時並行で行うのは定石ですね」
「階層だけは広大ですが、敵の眷属の種類によっては最短距離で通過されてしまうでしょう。再び内包魔力を集めて頂いた後、どう改装するのが良いのか……敵の情報が見えないのが痛いですね」
目下の所は高レベルのダンジョンマスターが最大の脅威であると想定して動くので、自分達の有りえない程幸せな環境に浮かれて夢見がちに作ってしまったダンジョンの構想案を切り捨てる。
魔物の収集に当たっていた眷属達の話を聞いた結果、どうやらこのダンジョンの最大の糧になったのは、ハライチ達と同族の<隠魔族>であるサキュバスらしいと言う所までは突き止めていた。
恐らく力が激減する昼間に仕掛けられたか、同性の眷属を差し向けられたかなのだろうが、その敵の姿が分からずに、苦悩する。
「今の所、冒険者側はそう脅威ではなさそうに思えますが、そこも油断はしてはなりませんし、難しい所です」
二人が悩んでいる最中も、眷属達は自らよりも格上が潜んでいると言う事を肝に銘じつつ魔物を捕縛しに向かっている。
同じくイーシャとプリマもそれぞれのコアルームの扉の前に陣取り、只々広い地平線が見える空間を油断なく見回している。
取り敢えずダンジョン入り口にも眷属の分裂個体がいるので、そこまでしなくても……と言う湯原と水野の言葉は一蹴されている。
各自がそれぞれ出来る事を行っている間、ハライチとミズイチの会話も止まらない。
「魔物を捕縛、吸収するのも良いですが、やはり同じ立場である以上、制約はありますね。理想は対極、冒険者の侵入者が継続していると、相手のレベルに係わらずダンジョンの糧になるのですが……」
同じ立ち位置、ダンジョンマスター側の者であれば、レベルが上の者でなければそうそうレベルアップは望めない。
内包魔力については魔物の種類やレベルによって得られる魔力量に大きな違いは出て来るが、得られないと言う事はないので必要な作業だが、やはり対極の存在がいてくれるだけで効率よくレベルアップ、内包魔力共に上昇するのだ。
「ここは吸収率が非常に高いですから、何はともあれ内包魔力を集める事が先決ですが、万能型の魔物を召喚するのが良いのではないでしょうか?それも、足止め型であれば尚良いかと」
「成程。その間に有効な対策を練って実行する……となると、対策を即座に行う為に高位の鑑定を行える必要がありますが?」
話が途切れないのだが、湯原は気になった言葉あったので割り込ませてもらう事にした。
「話し中に申し訳ない。その、吸収率って何のことかな?」
そう、あっさりと流してしまいそうになるが、不穏なワードが隠れていたのだ。
「はい、主様。眷属、つまりはダンジョンそのものとの繋がりが良い状態である程、ダンジョンの性能が良くなるのです。その性能が良ければ、魔物や魔力の吸収も良くなるのはこの世界の理です」
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【作者より、感謝を込めて】
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