湯原と水野のダンジョン創世記

焼納豆

文字の大きさ
105 / 159

(104)

しおりを挟む
「クック。ま、まさかあの二人がここまでやるとは……い、いや、岩本とか言う召喚冒険者のせい……神保様、ぼ、僕の眷属の蟻族と鳥族は、し、死んだみたい。ちょっと手を貸して欲しい……です」

 ここは弦間のダンジョンのコアルーム。
 そこに転移魔法陣Cで神保が眷属と多数の魔物を引き連れて存在している。

 淀嶋と水元の二人を支配下に置くために攻め込んではいるものの、やや劣勢になりつつある状況に焦りを覚え、自らの絶対の主である神保に助力を願い出ている弦間。

「貴方は本当にバカよね~。せっかくゴーストを貸してあげたのに有効活用できないばかりか、死なせるなんて。劣勢なのも、二つのダンジョンを相手にするのだから、眷属を各一体しか出さないのであれば負けるに決まっているでしょう?レベル60だからって油断しすぎじゃないの?そんな事も分からないのかしら」

「そ……それは」

「本当に困っちゃうわね。今残っているあなたの眷属、蜘蛛族と馬族か……今潜ってきている向こうの眷属の蜘蛛族と自然族はそれで相手しなさい。本当は召喚冒険者の岩本には、同じ召喚冒険者の三原とか言う女を引き込みたかったけれど、ちょっと接触が間に合わなかったのよね。一時期どこにいるか分からなくなっていたから……もう。本当に面倒くさいわね。岩本とか言うのは、私が相手にしてあげるわよ。ゴースト二体。これ以上は出さないわ。じゃあ、頑張ってね!」

 一気に言いたい事だけ伝えて消えて行く神保だが、約束は守るようで、レベル80のゴースト二体がその場に佇んでいる。

「クック。この二体であれば、か、勝てる」

 弦間としては、岩本にはゴースト二体。

 侵攻している自然族には鳥族を、蜘蛛族には蟻族を対処させる事で排除できると見ていた。

 残っている眷属の馬族と蜘蛛族もレベル60であり、そこに負ける要素は何一つないと安堵する。

「クック。こ、こうなれば、散々痛めつけて、は、配下にする」

 二度と呼び出す事の出来ない眷属と言うダンジョンマスターにとっては特別な存在を、二体も始末された鬱憤を晴らそうとしている。

 27階層のコアルームにいながらも自らのダンジョンの情報を集め……敵は23階層を進んでいる為に、24階層である大草原エリアに眷属とゴーストを差し向ける。

 この弦間はダンジョンレベル60であり、神保を除けば自分が最強であると自負しているので、そこに大きな油断が生まれる。

 淀嶋と水元は、自分達よりもどう見ても格上、二人で共闘しても不利であると分かっているので、この戦いで何かを温存する事はない。

 今回の侵入者である弦間の眷属二体も全力で屠り、その戦闘によって召喚魔物達が大ダメージを受けたが、それでも手を緩める事はない。

 ダンジョンの護衛には召喚魔物を残し、残り全ての眷属を弦間のダンジョンに向かわせたのだ。

 例えレベルの低い隠魔族であろうが、少しでも敵を不利にするためにその全てを放出したので、隠魔族二体、光族二体、蜘蛛族、自然族が弦間のダンジョンに侵入する事になった。

 この作戦は水元の眷属である自然族には事前に伝えられており、スキートの感情を信号として淀嶋と水元のダンジョンを出たと互いに連絡を受ける。

「おい、どうした?何故突然侵攻速度を下げる?俺が思うに、一気に行くべきだ」

 後から追ってくる眷属と合流する事を目的に侵攻速度を露骨に下げた自然族に対し、事情を知らない岩本は、今のところは何とか敵を捌けているので、この勢いのまま体力が無くなる前に一気に攻めるべきだと主張する。

「岩本様、ここでは申せませんが……事情があります。レベル60を公言しているダンジョン、眷属も残っているはずですので万全を期す必要があります」

 自然族のこの一言である程度の事は理解できた岩本は、黙って速度を合わせ、慎重に進んで行く。

「ちぃ、おい!俺が思うに、ゴーストだ。ゴーストが来たぞ!!」

 岩本の最も得意とする攻撃は槍による物理攻撃であり、物理攻撃が効かない魔物を発見して思わず舌打ちして魔法が得意な他の者に対処を任せようとするのだが、二体のゴーストはどう見ても自分を狙ってきているので、止む無く対応する。

 そこにゴーストよりも弱そうだが、ダンジョン下層から蜘蛛族と馬族が現れ、岩本の味方である自然族と蜘蛛族に向かって行く。

「どうやら、そいつらが残りの眷属らしいな!俺が思うに、こいつらを始末すれば、レベル1のダンジョンマスターだけだ!」

 何故か眷属よりも格上のゴースト二体がいる事は考えずに、安易に結論づける岩本。

 弦間の蜘蛛族は水元の自然族に向かい、馬族は淀嶋の蜘蛛族に向かっている。

 明らかに大きくレベルが違うので、相性云々は全く関係が無いのだが……そこに、淀嶋と水元の残りの眷属が全て現れて大混戦になる。

「俺が思うに、良い作戦だぜ!」

 収納袋から魔法のスクロールを出し、一気に近接してきたゴーストに対して連続して魔法を行使する岩本。

 今までの情報から槍使いと認識していたので、ゴーストの一体はある意味不意打ちを食らって魔法を真面に受けてしまう。

 そこからは、敵も味方もない大混戦に陥る。

 周囲は荒れ果て、自分の攻撃が味方に当たろうが関係ない程に岩本を含むこの場の存在が攻撃を乱発したのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった

夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

氷結の夜明けの果て (R16)

ウルフィー-UG6
ファンタジー
Edge of the Frozen Dawn(エッジ・オブ・ザ・フローズン・ドーン) よくある異世界転生? 使い古されたテンプレート? ――そうかもしれない。 だが、これはダークファンタジーだ。 恐怖とは、姿を見せた瞬間よりも―― まだ見えぬまま、静かに忍び寄るもの。 穏やかな始まり。ほのかな優しさ。 だが、石の下には、眠る獣がいるかもしれない。 その時が来れば、闇は牙を剥く。 あらすじ 失われた魂――影に見つめられながら。 だが、英雄とは……本当に常に“光”のために戦う者なのか? 異国の大地で、記憶のないまま、見知らぬ身体で目を覚ます。 生き延びようとする本能だけが、彼を前へと突き動かす。 ――英雄か、災厄か。それを分けるのは、ただ一つの選択。 冷たく、謎めいた女戦士アリニアと共に、 彼は武器を鍛え、輝く都市を訪れ、古の森を抜け、忘れられた遺跡へと踏み込んでいく。 だが、栄光へと近づく一歩ごとに、 痛みが、迷いが、そして見えない傷が刻まれていく。 光の道を歩んでいるかのように見えて―― その背後で、影は静かに育ち続けていた。 ――これは、力と希望、そして自ら築き上げる運命の物語。 🔹 広大で容赦のない世界が、挑む者を待ち受ける。 🔹 試練と沈黙の中で絆を深めていく、二人の仲間。 🔹 「居場所」を探す旅路の果てに待つものとは――。 ヴェイルは進む。 その選択はやがて、一つの伝説を生み出すだろう。 それが光か、闇か。――決めるのは、あなた自身だ。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

処理中です...